第2話 妹たちと週末デート
一階のリビングでテレビでゴールデンウィークについての特集をやっていた。オススメの観光地やスポットなどを紹介していた。それを観ていると、玲華が降りて来た。
「おはよう玲華」
「おはよー優くん」
この様に、玲華は俺のことを『優くん』と、名前で読んでくる。妹からの呼ばれ方だと、あまりない呼び方だと思う。
「そっかー、もうゴールデンウィークかー」
「玲華どっか行きたいところとかあるか?」
「え?連れてってくれるの?」
「ああ、いいぞ」
「遊園地行きたいかも」
「遊園地か」
「ダメ?」
「全然良いぞ」
「やった!」
「せっかくだし他のメンバーとかも誘うか?」
「うん、いいよ」
「じゃあ、連絡してみるか……」
「どうだった?」
「東雲兄妹しか捕まえられなかった。どうやらみんなそれぞれ家族と旅行とかに行っているらしい」
「そっかー……」
「まあ、俺と二人で行くより良いじゃないか」
「でも、私はお兄ちゃんと二人きりでも良いよ……?」
こういう時だけ何故か『お兄ちゃん』と呼んでくる。そして、めちゃくちゃ可愛い。
「……じゃあ、行くか」
「お待たせ、大幹。葉月も待たせたな」
「全然気にすんなって」
「そうですよ、いつもお世話になってるんですから」
「そう言って貰えると嬉しいが……」
「零奈も、こんちには」
「ええ、こんにちは。」
「みんな行きたいアトラクションとかあるか?」
「私、絶叫系のやつ行きたい!」
「葉月って、そういうの乗れるのか?」
「うん、大好き」
「俺はいいけど、大幹と玲華はどうだ?」
「俺もいいよ」
「私も」
「じゃあ、最初は絶叫系のやつだな。早速行くか」
「なあ、玲華」
「ん?なに優くん」
「やっぱメンバー達の前では、素を出してもいいんじゃないか?」
「うーん。考えとく」
「まあ、これからも一緒に仕事していく仲なんだから前向きに考えとけよ」
「ほーい」
◇
「これなんだよな……?」
「ああ……これだな……」
「思った以上に、ヤバそうなんだが……」
「来てしまったんだ。乗るしかない。」
「なあ大幹、俺やっぱやめるわ」
「いや、お前も道連れだ」
「………」
「葉月達もだからな」
「ええ……これ乗るの……?」
「ああ。零奈ちゃんは行けるよね?」
「はい。行けます」
本当に行けるんだか、見栄を張ってるんだかよく分からないな。
「別に無理しなてもいいんだぞ?」
「だ、大丈夫よ」
多分だけどダメなやつかも知れない。
「とりあえず、乗るか……」
◇
「意外と楽しかったね!」
「ほ、ほんとに言ってるのか……?」
「うん。優くんは?」
「全然楽しくない……。もう俺は絶叫系には乗らん。」
「えー、葉月も楽しかったよね?」
「う、うん……楽しかったよ……」
うーん。これは絶対楽しくなかったやつだ。結局大好きとか言ってた割には、ボロボロじゃないか。
「大幹くんは?」
「………」
こいつ、ぶっ倒れてるが大丈夫か……?
「次行こ、次」
「ちょ、ちょっと休憩しないか……?」
「えー、じゃあ私これもう一回乗ってきてもいい?」
「え、いいけど。大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫。行ってくるね」
「お、おう……」
俺の妹は恐ろしいな。何故あんなのに二回も乗れるんだ。
◇
「ただいまー」
「お、おかえり……。よくあんなのに二回も乗れるな……」
「え?だって楽しいじゃん」
「そ、そうか……。楽しいならいいんだが……」
「次行こうよ」
「そうだな。大幹と葉月は大丈夫か?」
「だ、大丈夫だ」
「うん。大丈夫ですよ」
「なんかメリーゴーランドとかにしないか?」
「えー、メリーゴーランド?」
「ああ。厳しめのやつに乗ったから次は優しめのやつでも良くないか?」
目線を大幹と葉月に送る。
「そ、そうだな」
「うん、やっぱ色んなのに乗った方が楽しいと思うし」
ナイスフォローだ。また絶叫系行くとか言い出されたら、色々とおかしくなりそうだ。
「じゃあ、メリーゴーランドでもいいよ」
「よし、じゃあ行くか」
◇
「いいね、こういう子供でも大人でも楽しめるやつは」
「だよな〜」
「うんうん。私もそう思います」
この様に数的優位を作れば、絶叫系は避けることが出来るだろう。
「でもやっぱ、絶叫マシンの方が迫力とか刺激があって楽しいよね」
「あれは、迫力とか刺激がありすぎだ」
「それがいいんじゃん」
「まあ、趣味の合う友達を見つけるんだな」
「でも、ジェットコースターくらいなら乗れるでしょ?」
「ジェットコースターな……」
「ジェットコースターも乗れないの?」
「普通の奴なら乗れるが、くるくる回ったり、ひっくり返ったりするのは絶対に無理だな」
「じゃあ、この後普通のでいいから乗りに行こうよ」
「ええ……」
「いいじゃん」
「んん……、まあ、いいか……」
◇
「まあ、これくらいなら乗れるかな……」
「悪いな、優。俺はやめておく」
「そ、そうか……。葉月は……」
「ごめんなさい。私もやめておきます」
「あ、そう……」
「じゃあ、二人っきりだね、優くん」
「そ、そうだね……はは……」
◇
「これくらいなら楽しいもんだな!」
「でしょ!?」
「また後でもう一回乗るか?」
「うん!」
「君たち元気だね……」
「まだ、具合戻らないのかよ。葉月はもう元気になってるじゃないか。情けないぞお兄様」
「ほっとけ」
「そういえば、大幹と葉月は昼飯食べてきたのか?」
「ああ、一応食べて来たぞ」
「そっか」
「ん?どうした?」
「俺達食べてきてないから、なんか食べたいなーって」
「じゃあ、俺達はどっか行って遊んでくるから、優達は食べてたらどうだ?」
「いいのか?」
「ああ、いいぞ」
「じゃあ、食べてくるな」
「おう」
「なんか食べたいのあるか?」
「うーん。カロリー控えめのやつかな」
「昨日の夜に肉まん食べといて何言ってるんだ」
「まあ、いいじゃん。その話は」
「でも、カロリー控えめのやつなんてあるのか?」
「ねえ、あそこのカレー屋さん行こ?」
「カロリー控えめの物を食べたかったんじゃないのか?」
「まあまあ、いいじゃん。ゴールデンウィークなんだし」
「………」
「なあ、どれもかなり量が多いようだが」
「まあ、大丈夫でしょ」
「うーん。まあその分明日は少なめにしろよ」
「はーい」
「じゃあ、俺はこれにしよっかな」
「じゃあ私はこれ」
カレーが運ばれてきたが……
「ちょっと、これ多くないか?食べれるか?」
「大丈夫、大丈夫」
「案の定食べられたな」
「でしょ?」
「じゃあ、大幹達と合流するか」
「うん」
◇
「お待たせ」
「何食ってきたんだ?」
「カレー食べてきた」
「カレーか、いいな」
「美味しかったぞ」
「そっか。次来た時に行ってみるか」
「で、次どうする?」
「でも、もういい時間だしな」
「そう言えば、もうそんな時間だな」
「観覧車でも、乗るか?」
「お、いいな」
「どうする?四人で乗るか?」
「でも観覧車に四人は窮屈じゃないか?」
「それもそうだな」
「じゃあ、お互い兄妹で乗るか」
「そうだな」
「玲華って、観覧車とか乗るか?」
「観覧車?遊園地来たら毎回乗ってるかな」
「そうか」
「どうしたの?」
「いや、観覧車って定番すぎて逆に誰も乗ってないんじゃないかって思って」
「確かに普通のどこにでもある様な遊園地だと特別感ないよね」
「そうそう」
「今日は、楽しかったか?」
「うん、楽しかったよ。でも、ライブの翌日だからちょっと疲れたかも」
「そっか。明日は家でゆっくりしような」
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