パワードスーツから出るシュレ
シュレイノリアは、ジューネスティーンの乗っていた脹脛の第二装甲板に移動する。
片膝を上げて、降ろしていたパワードスーツの腰に踵を乗せると、両手でパワードスーツの開いた背骨に両手を当てて体を支えつつ、踵に力を入れて、もう一方の足を引き上げつつ、腰を上にあげる。
両足をパワードスーツの腰の部分に乗せる。
両手をパワードスーツの背骨に当てているので、シュレイノリアの体は、くの字になって、腰を突き出した様になる。
シュレイノリアは、ゆっくりと、片足を後ろに下ろして、地面と平行になっている、パワードスーツのふくらはぎの装甲の上に乗せる。
片足を乗せて、自分の体重を支えてくれるのを確認すると、もう片方の足を下ろすと、両手を離して、直立して振り返る。
その間、ジューネスティーンは、パワードスーツの真後ろから、その姿を眺めていた。
ただ、ジューネスティーンは、音を消すボタンの事をズーッと考えていたのだろう、シュレイノリアがパワードスーツから出る姿を、ボーッと後ろから眺めていただけだった。
そんな、ジューネスティーンをシュレイノリアは見て、少しガッカリした様子で答える。
「多分問題無い。」
「魔法紋を描く飾りボタンってどうするんだ。」
聞かれてシュレイノリアは、ニタリと笑うと、脹脛の第二装甲から降りて、ジューネスティーンの前に立つ。
シュレイノリアは、ジューネスティーンと体が触れる程度のところに立つと、顔を見上げる。
その顔には、勝ち誇ったような表情が窺える。
「飾りボタンは多めに作ってある。 全員分用意できる。」
唖然としているジューネスティーンを、カミュルイアンとレィオーンパードが見ている。
2人もシュレイノリアがパワードスーツから降りる時の姿と、ジューネスティーンの顔を見比べていた。
シュレイノリアの言葉を聞いて、ジューネスティーンの表情を見て、その後のジューネスティーンがどんな様子になるのか、2人は面白がって見ていたのだろうが、それ以上に、シュレイノリアの行動とジューネスティーンの表情が気になった様だ。
ジューネスティーンが唖然としているその顔を、2人はジーッと見ている。
2人は、何も言えず、ただ呆然としてジューネスティーンとシュレイノリアを視線で追いかけている。
2人は、シュレイノリアがパワードスーツから出てくるところから見ていたので、ジューネスティーンが何を見ていたのか理解できていたのだ。
ジューネスティーンが、シュレイノリアをパワードスーツから出るのを補助しているところから飾りボタンの話まで全て見ていたのだ。
「なあ、カミュー、今の見たか? 」
「ああ、見た。」
2人は、見てはいけないものを見てしまった様な顔をしている。
「にいちゃん、あの状態だと、姉ちゃんのお尻が丸見えだったんじゃないの? 」
「多分、丸見えだけど、でも、インナースーツを着ているんだから、気にしないんじゃないの? 」
「でもさぁ、あっち見てみろよ。」
そう言って、アンジュリーンの方を、レィオーンパードは示す。
「アンジュの顔、真っ赤だぜ。 見ている方向もシュレ姉ちゃんを見てるから、いくらインナースーツ着ててもはずかしい格好なんじゃないの? 」
アンジュリーンは、2人から少し離れたところで、シュレイノリアが、パワードスーツから降りる姿を一部始終見ていた様だ。
その姿を見てアンジュリーンは、顔を赤くして、2人から目が離せなかった様で、レィオーンパードとカミュルイアンの視線に気づく事は無かった。
「だけど、シュレの事だから、あの程度の事じゃ気にならないんじゃないの? 時々、下着丸出しでも気にしてない時だってあるだろ。」
カミュルイアンの指摘に、レィオーンパードは、少し考える。
レィオーンパードは、ジューネスティーンとシュレイノリアとは、メンバーの中では、一番付き合いが長い。
レィオーンパードが転移してきたのは、ジューネスティーン達が転移してから、6年の月日が経っていた。
その間に新たな転移者が現れた事は無く、レィオーンパードが現れた時に、歳もそれほど離れてない事で、ギルドは、3人を纏めていたのだ。
そのため、ジューネスティーンにレィオーンパードの名前も付けさせたりと、ギルド側も雑な扱いをしてしまっていたのだ。
ジューネスティーンは、どうしたものかと思っていたのだが、シュレイノリアが、レィオーンパードの耳と尻尾に興味を示しており、弟の様なものと考えれば良いかと思ったのだ。
そのため、3人兄弟の様な立ち位置で、今までを過ごしてきたのだ。




