シュレのパワードスーツ
中衛の二人のパワードスーツが完成したので、残りのシュレイノリアのスーツに入る。
パワードスーツは、基本的には相手の攻撃から身を守るのだが、その事によって重量が増してしまう。
その重量によって動きが遅くなってしまうが、それを外装骨格と人工筋肉によって補う様にしている。
人工筋肉については、魔力によってエネルギーを受けて筋肉の動きを補う。
ただ、完全な人の動きに対応するには外装骨格の限界によって制限される。
走るについても、足を交互に動かしていては、生身の瞬発力には追い付かないので、当初は車輪を用意しようかと考えていたのだが、地面の状態によっては機能しない。
石畳で舗装されている様な場所なら、小さな車輪でも問題無いのだが、凸凹な地面、ぬかるみの様な場所では、車輪がはまってしまい、全く機能してくれないので、最低でも、50cm以上の直径の車輪が必要となる。
また、車輪の幅も必要となるため、全く機能しない場合もあったのだ。
一時は、二つの車輪にキャタピラを用意してみたのだが、速度的な問題、足元が大きくなってしまい、取り回しも悪くなってしまったので、問題の解決にはならなかった。
問題が、暗礁に乗り上げていた時に、シュレイノリアの事件があり、ホバーボードのアイデアを思いついたのだ。
そのホバーボードのアイデアが発展して、直接足にホバークラフト機能を付ける事によって、パワードスーツの移動手段とした。
戦術においては、攻撃の要となるのは、最大の攻撃力を持ち、戦闘中の補助魔法などをかけるシュレイノリアを中心に陣形を組む事が多い。
ただ、シュレイノリアの魔法が強すぎることもあり、使う場所が限定されてしまう事が多かったのだが、最近は、砲弾型アイスランスの様な単発の攻撃を覚えた事で、魔法による攻撃手段も増えてきている。
基本戦術について、シュレイノリアを中心に陣形を組み立てるのは、変わっていないのだ。
もし、シュレイノリアに、直接攻撃を受ける事態になるという事はメンバー全員が倒された時、攻撃中に奇襲攻撃を受けるが想定されるので、その際にも致命傷を受けない為に、シュレイノリアにもパワードスーツを装備させる。
シュレイノリアのパワードスーツも、大きな装備の変更は無いが魔法による攻撃と防御の他に、探索をメインに考えている。
当初、シュレイノリアの要求の意味が分からないまま設計を進め、なんでこの形になるのかと思ったが、魔素の流れを感知する為のサーチを考えると納得できる。
移動については、ホバーボードにするかホバークラフトにするか悩んだのだが、シュレイノリアがホバーボードを持ち運びをする時に、手を使うのは面倒だと言う事で、足にホバークラフトをつける事にした。
だが、シュレイノリアとしては、ホバーボードをジューネスティーンが思いつく時に、自分がひっくり返った事を思い出しそうだったので、シュレイノリアは、ホバーボードを拒絶したのだが、詳細はジューネスティーンに話してはいないのだ。
シュレイノリアのパワードスーツの組立作業も、アンジュリーン達と同様に胴体部分を作業台に取付けて、足・腕の順番で行った。
組立作業の最中に、シュレイノリアは、外装装甲のパーツ毎に魔法紋を描いていく。
腕と足の取付、インナーの取り付けが終わる頃には、外装装甲の魔法紋の付与も終わって、外装装甲の取付を行うと、頭部の取付になる。
シュレイノリアが魔法職という事も有るが、シュレイノリアの要求に、周辺の魔物検知を取り付けたいと言われたので、魔物検知の機能を頭部に付ける必要に迫られた。
その魔物検知の機能を考えると、大きな円盤で結果として80cmの円盤を乗せる様になってしまったことで、首部分だけで固定する事が出来ず、両肩に補助用の接続枝を用意して固定する事になった。
その結果、首は全く動かす事が出来なくなってしまっている。
首を動かせる様にしようかと思ったのだが、円盤の大きさが大きい事で、万が一円盤の縁に大きな荷重が掛かった時、首に大きな力が掛かる可能性が考えられた為、肩に頭を完全固定する事となった。
円盤は、頭の天辺に配置したのだが、頭の上に円盤が乗っているだけなのは嫌だと言われ、中央に10cm程の円錐を取り付けた。
形としては魔法職のハットの様な形になった。
顔は完全に覆われており外は魔法のビュワーでみる事が可能になっている。
頭部に使った金属は軽量金属を使って入るが、形が大きくなってしまったため、他のパワードスーツと比べると重心が上がってしまっている。




