エルフの事情とレオンの事情
ジュエルイアンがジューネスティーンに、不思議そうに聞く。
「おい、あの3人は、どこに行くんだ。」
「別の部屋に行ってます。」
その質問にジューネスティーンは、まったく感情を込めずに答えた。
そう言われて、ジュエルイアンは、あの3人が別の部屋で何をするのか、すぐに理解したようだ。
だが、男1人に女2人という事に驚いたのだろう。
「3人、一緒なのか? 」
ジュエルイアン自身、そんな経験は無いのだろう、少し引き気味で、ジューネスティーンに尋ねた。
「そうらしいですよ。 前回もそうでした。 エルフの都合らしいです。」
ジューネスティーンは、また、感情の籠らない声で答えた。
ジューネスティーンにしてみれば、前回のアンジュリーンの追及した話を、横の部屋で、途切れ途切れで聞いていただけだったのだが、断片を繋ぎ合わせて、ちょっと信じられない話だったので、ジュエルイアンの質問に、あまり、詳しく答えたく無い様子だ。
「おい、お前のところのカミュルイアンは、あの2人を一度に相手しているのか? 」
「そうらしいです。」
ジューネスティーンは、しつっこいと思った様子で、少し、声にイラついた様子が窺える。
「エルフは一夫多妻だと聞いていたが、同時に何人も相手にするのか? 」
「そうらしいです。」
ジュエルイアンが、色々、聞いてくるので、流石に鬱陶しいとジューネスティーンも思った様子になると、自分ではなく、アンジュリーン達の方が詳しく聞いているので、そっちに聞けと思ったのだろう。
「詳しい話は、アンジュとアリーシャが、前回の状況を、詳しく聞いていましたから、必要ならそちらから聞いてください。」
ジューネスティーンに、そう言われて、チラリと、アンジュリーンとアリアリーシャを、ジュエルイアンは見るのだが、カミュルイアンとウィルリーンとシェルリーンが、どんな様子だったのかを、女子2人に聞く勇気は無い様だ。
「いや、流石に、あの2人が聞いた話を、俺に話せとは言えないだろう。」
「それもそうですね。 まあ、聞かない方が良い事も有ると思います。 レオンもエルフに対する考え方が変わってしまいましたから。」
そのあっけらかんとした言い方に、何か思い当たる事があったのかどうかは分からないが、ジュエルイアンは、珍しく知らなかった様な顔をした。
「そうなのか。」
「自分はカミュルイアンの様な、数を打つ必要のある女性とは、付き合いたくないです。」
ジュエルイアンにも何か心当たりがあるのか、少し渋い顔をすると、つぶやく様に話し出す。
「噂には聞いていたが、女性エルフの昼と夜のギャップってやつか。」
「多分、そうだと思います。」
ジュエルイアンは、ウィルリーンに対する考え方が少し変わった様だ。
ジュエルイアンが、感心していると、後ろから、レィオーンパードがげっそりした様になって近づいてくる。
「レオン? 」
食事をしていただけだったのだが、レィオーンパードは、やつれた様な顔をしていたので、ジューネスティーンは、気になって声を掛けた。
それを見た、アンジュリーンとアリアリーシャが、ニヤニヤとしていた。
「レオ〜ン。 どおだったぁ? お姉様方とご一緒で、嬉しかったでしょ。」
「そおですぅ。 ちゃんと気を利かせてぇあげたのにぃ、皆さん、帰ってしまいましたよぉ。」
2人は、意地悪そうにレィオーンパードに話しかけた。
それを聞いて、レィオーンパードは、2人を睨みつける。
「もう、あんなのはごめんだよ。 ずーっと、話してなければいけなかったじゃないか。 何食べたかだって覚えてないよ。」
レィオーンパードの嘆きを聞いて、アンジュリーンとアリアリーシャは、クスクスと笑い出す。
「笑い事じゃなかったんだからな。」
それを聞いて、2人は、笑いが止まらなくなった様だ。
お腹を抱え出した。
それを見て、レィオーンパードはムッとしていると、アンジュリーんが笑いながら話し出す。
「だって、カミューだけ、相手がいるのに。」
アンジュリーンは、笑いが止まらない様だ。
「だって、レオンだけ、ウフフ。 レオンだけ、独り身じゃあ、ハハハ。 可哀想かと、フフフ。 思ったから。」
アンジュリーンは、笑いながら話ていたが、ツボにハマってしまって、笑いが止まらないようだ。
そんなアンジュリーンの話を受けて、アリアリーシャが話し出す。
「私はぁ、てっきり、ぷっ。 ヴィラレットさんと、ククク。 良い仲に、フフフ。 お持ち帰り、ククク。 するのかとぉ、フフフ。 するかと思ってましたぁ。 ハハハ。」
「そうよ。 私たち、レオンのために、気を利かせたのよ。 プッ、フフフ。」
それを聞いて、レィオーンパードは、赤くなる。
「俺は、カミューとは違う! 」
その答えを聞いて、アンジュリーンとアリアリーシャは、高笑いをしだした。
流石にその話を聞いていた、ジューネスティーンとジュエルイアンも、顔を見合わせると、ジュエルイアンが、顎をしゃくって、ジューネスティーンに助けてやれという態度を示した。
ジューネスティーンは、少し困ったような顔をするが、レィオーンパードが不憫に思ったようだ。
「レオン。 お前は、よくやったよ。 ちゃんと話し相手をしたんだ。 今日は、ゆっくり休もうな。 明日は、大仕事が待っているんだから。」
そういうと、まだ笑っている2人に向く。
「2人も、あんまり、レオンを揶揄うんじゃない。 いい大人が、子供を揶揄うなんて、いい趣味とは言えないんじゃないか。」
そう言われると、少し笑いを堪えるようにしてアンジュリーンが答える。
「うん。 今度から気をつけるわ。」
どうも、年齢的に一番年下のレィオーンパードが可愛いのか、それとも、ペットの様なつもりなのか、なんとも言えない感じで、2人はみているようだ。
(そういえば、シュレもホバーボードのテストの時に、レオンを使っていたけど・・・。 うちの女子達からしたら、可愛い弟か何かに見えているのかもしれないな。)
ジューネスティーンは、微妙な顔をしているのだが、それを、少し頬を赤くしてレィオーンパードは睨んでいる。
レィオーンパードは、もう少しきつく言って欲しかったようだ。




