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ジュエルイアンとユーリカリア達

 

 ユーリカリア達が訪ねてきた話を、横で聞いていたジュエルイアンが、カインクムの店での話を思い出し、ジューネスティーンに声をかける。


「なあ、ジューネスティーンよ。 その人達を俺に紹介してもらえないか? 」


 ジューネスティーンは、思いも寄らないジュエルイアンの言葉に、少し驚いていると、ジュエルイアンは続ける。


「あちらは、帝国で活動している冒険者の中でもトップクラスだからな。 今後のために俺も面識を持っておきたい。 それに話をしておきたい事もある。 多分、お前も絡んでいるはずなので、丁度良い機会だ。 一緒に食事でもしてもらおう。」


 ジュエルイアンが、乗り気なのが気になるジューネスティーンだが、ジュエルイアンが良いのならそれで良いと思った様だ。


 先日、あのメンバー達に魔法を教えてしまった事が、気がかりになのだあ。


「あのー、あちらの方は、ドワーフも居ますから、酒代はかなり掛かりそうですよ。」


 乗り気で無いジューネスティーンは、後ろ向きの発言をするが、ジュエルイアンには、どうでもいい事だったようだ。


「なあに、問題無い。 そう言う事なら、幾らでも飲んでもらって構わない。」


 ジューネスティーンにそう言うと、リアミーシャに向かって、ジュエルイアンは機嫌を良くして、オーダーを追加する。


「君。 彼女達をここに連れて来てくれ。 それと、彼女達の食事も追加だ。 それと、この店で一番良い酒を持って来てくれ。 俺が持てなすから、金額は気にしなくて良い。 好きなだけ飲んでもらって構わない。」


 リアミーシャは、ジュエルイアンに向くと、笑顔を向ける。




 リアミーシャは、喜んでいる。


 ドワーフであるユーリカリアに、金額を気にせず酒を飲ませるのである。


 高額のお酒を、好きなだけ飲ませるのであれば、今日の売り上げは通常より高くなる。


 忙しい調理と違って、酒ならボトルを届けるだけなので、厨房の作業は多く無い。


 売り上げが高く厨房の作業が多くなければ、終わった後の賄いが期待できると、リアミーシャは考えたのだろう、満面の笑みをジュエルイアンに向けた。


 終わった後の楽しみが増えたと考えると、笑顔が抑えきれなくなってしまったのだが、ジュエルイアンには良い接客をしてくれる亜人だと思われた様だ。


「かしこまりました。 ユーリカリア様とメンバーの方をお連れいたします。 それと、料理長に6名様分の料理の追加をお伝えいたします。 後、お酒は、直ぐにお持ちする様にいたします。」


 リアミーシャの対応にジュエルイアンは満足そうな表情をする。


「ああ、それで良い。 それと、一つ頼まれてもらいたい事がある。」


 そう言うと、リアミーシャを手招きして、何か耳打ちをすると、手に銅貨1枚を渡す。




 手渡された銅貨を見て、更に喜ぶリアミーシャは、満面の笑みをジュエルイアンに向ける。


 そして、スカートのお尻の部分が、モゾモゾと動いていた。


 嬉しさを隠しきれずに、スカートの中の尻尾が震える様に動いているのだろう。


 リアミーシャは、ジュエルイアンにお辞儀をして個室から退室する。




 それを見て、ジュエルイアンが、カインクムが魔法で付与する魔法紋についての問題解決の機会が、こうも早く訪れるとは思わなかったのだ。


 こちらからユーリカリアへの接触の手間が省けたと思ったのだろう。


 今日のジューネスティーンとの会食には、ユーリカリアとの接触をジューネスティーンに頼もうと思っていたのだ。


「丁度良いタイミングだ。 ユーリカリアと面識を持てないか、お前に相談するつもりだったのだが、向こうから着てくれたよ。」


 ジュエルイアンは、ご満悦そうに言う。


「あのー、何かあったんですか? 」


 ジューネスティーンは、恐る恐る聞くと、ジュエルイアンはカインクムに会った時の事を思い出し、少し表情を硬らせながら聞く。


「お前達が不用意に魔法の話をするから、それの尻拭いだ。」


 そう言われて、表情を硬らせるジューネスティーンには、先日、一緒に狩りをした時の事を思い出すのだが、それを見てジュエルイアンは、ジューネスティーンの表情を気にする事なく、帝国の大物冒険者に伝手ができる事をよろ込んだのだ。


「まあ、そのお陰で、ユーリカリアの様な、大物冒険者に伝手ができたんだ。」


 そう言って、ジューネスティーンの顔を覗き込み、表情を硬らせるジューネスティーンを面白そうに見る。




 ドアがノックされ、先程のリアミーシャが、衝立の横に立つと、客人を連れてきた事を伝える。


「ユーリカリア様と、パーティーの方々を、お連れいたしました。」


 ジュエルイアンに声を掛ける。


 ジュエルイアンは、嬉しそうにして答える。


「ああ、入ってくれ。」


 そう言って、立ち上がると、リアミーシャの方に歩いていくので、ジューネスティーンも立ち上がると、メンバーもそれに続いて立ち上がる。


 リアミーシャは、衝立の後ろに合図を送ってから、横に避けると、ユーリカリアとメンバー達が衝立の前に入って来た。




 ユーリカリアとメンバー達が入ると、その後ろを金糸雀亭のルイセルと亜人達が入ってくる。


 リアミーシャは、直ぐに個室を出て行ったが、残ったルイセル達は、テーブルの用意を行い始める。


 ルイセル達の準備をしている間に、ユーリカリアにジュエルイアンが挨拶をする。


「初めまして。 私は、ジュエルイアンと言います。 南の王国で商人をしています。」


 ユーリカリアは、ジューネスティーン達に会いに来たのだが、ジュエルイアンが出て来たので、どうしようかと思っているのだ。


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