魔物のコアとギルド誕生
ギルドは、冒険者から魔物のコアを買い取ることで、冒険者とギルドとしての関係が結ばれている。
ギルドは、召喚した魔物が、召喚者の命令をきくことを、発見した事で召喚した魔物を、農作業・鉱山・街道整備等の労働力として、提供することで、魔物のコアの、活用によって利益を得ている。
その魔物のコアを使った召喚術の独占により、召喚した魔物の貸し出しや販売で収入を得ている。
魔物のコアの利用方法については、ギルドがその技術を独占している事でギルドが成り立っている。
当初は、国や軍の下請けとして、魔物の討伐を個人で行っていたのだが、南の王国に現れたジュールクエームのパーティーが、魔物を召喚させて意のままに扱う方法を見つけた事によって、魔物の利用方法が確立される。
当初は、自分達のパーティーの戦力不足を補う為に使っていたのだが、そのコアを使った労働力の提供によって、農業や建築現場で大いに利用できたので、ギルドを設立し、魔物のコアによる召喚された魔物の貸し出しや販売でギルドの収入源として利用した。
その後、討伐の依頼料以外に魔物のコアの買取を行ってくれることで、冒険者に新たな収入源が出来たのだ。
その事で、ギルドには冒険者が集まり始め、魔物討伐などを、国から一手に引き受け、また、民間からも商業馬車による移動の護衛などの、依頼を引き受ける事で事業が拡大した。
特に魔物のコアの召喚術によって、魔物による労働力の提供は、農地の開拓に大きく貢献し、農業生産量が大きく上がり、南の王国の国力が飛躍的に伸びた。
ジュールクエームは魔物の労働力提供によってえた莫大な利益を、魔法や召喚術の開発に当てる事と、南の王国付近に、時々、現れる転移者の保護に当てた。
特に転移者の保護は、技術革新につながって、さらなるギルドの発展に寄与している。
転移者には完全な記憶が残っている場合は無く、断片的な記憶が、時々、浮かび上がる程度なので、大きく技術革新が行われる事は無かったが、その断片的な記憶を頼り、ギルドは、他国より魔法や他の技術がずば抜けている。
ただ、国家としての権力より、転移者の保護を優先させた事と、この世界で生まれた、全ての人々との共存を考えたジュールクエームは国家となって謀略の限りを尽くして統一するより、国を超えたギルドを作る事で、国家間の争いには参加せずに済ませた。
それもジュールクエームの無意識下の中にあった政治家としての性が、血塗られた統一より交渉による和解によってなされた。
魔物のコアによる魔物の召喚については、ギルド創設者のジュールクエームが冒険者として南の王国の魔物討伐の下請けをしていた頃に偶然発見された。
それまでは魔物のコアには観賞用程度の価値しか無かったのだが、ギルド創設者のメンバーの1人が怪我をして休んでいた際に発見される。
先行偵察に出たメンバーが、自分の所在を狼煙で知らせようと火を起こしていた際、魔物に不意を突かれた。
何とか魔物を倒すことが出来たが、自分自身も瀕死の重傷をおってしまった。
その際、倒した魔物のコアを拾おうとした魔物のコアに、手に付いた自分の血と、自分の魔力に反応して、魔物が召喚されてしまった。
怪我で、ほとんど動けなかった、そのメンバーは魔物を見て、慌てて逃げようと思ったのだが、動けず、もうダメだと思ったのだが、その魔物は、一向に攻撃してくる気配が無く、ただ、見ているだけだった。
現れた魔物は、怪我をしたメンバーの脇に立って覗き込んでいるだけで、何もしてくる事はなかった。
しかし、瀕死のメンバーにしてみれば、魔物と対峙していると同じだったので、喉が渇き、思わず声がもれた。
「喉が渇いた。 水が飲みたい。」
口に出た言葉で、初めて魔物が反応した。
その言葉を聞くと、魔物は去っていってしまった。
不思議なこともあるものだと思っていると、さっきの魔物が、ゆっくりと戻ってきた。
その手には、大きな葉っぱを持って帰ってきたのだ。
魔物は、その怪我をしたメンバーの口元に大きな葉っぱを口元に持っていく。
それは、怪我をしたメンバーに、持ってきた水を飲めと言っている様だったのだ。
怪我をしたメンバーは、恐る恐る、魔物の手の上の葉っぱの水に口を持っていくと、魔物は、丁寧に、水を飲ませてくれた。
「ありがとう。もう大丈夫だ。」
そう言うと、魔物はその葉っぱを持って、そのまま佇んでいる。
攻撃する意思はないことだけはわかるが、何もせずに佇んでいる魔物に、瀕死のメンバーは、気晴らしに話をし始めると、それを魔物は、無表情で聞いている。
狼煙に使おうとして、火をつけた焚火の火が弱まっているのをみる。
その怪我をしたメンバーは、魔物が喉が渇いたと言ったら、水を持ってきてくれて飲ませてくれたのなら、それ以外にも命令を聞いてくれるかもしれないと思ったのだ。
試しに魔物に、命令を与えてみることにする。
「焚火の中に、枯れ木をくべてくれないか。」
そう言うと、魔物は言われるまま、枯れ木を火にくべる。
先ほどの水の件といい、焚き木を焼べる件といい、どちらも自分の言ったことに反応したのだと気がつくと、その魔物に色々と命令してみた。
命令通りに魔物が動いてくれた。
魔物のコアには魔物を召喚して操ることが出来ると確信する。
怪我をしたメンバーは、魔物に鞄の中にある狼煙の包みを出させて、火の中に入れさせた。
焚き火から煙が上がる。
それは、自分の居場所を、他のメンバーに知らせるためのものだ。
しばらくすると、残りのメンバーがくる。
しかし、探していたメンバーの近くに魔物がいる事に驚き、血相を変えて魔物に向かうと、怪我をしたメンバーが魔物を庇おうとして、魔物に手をかざした時、その怪我をしたメンバーの魔力に反応した魔物がコアに戻った。
突然消えた魔物の地面には、魔物のコアがある。
怪我をしたメンバーから、今までの話を聞くと、もう一度試してみることになった。
すると、魔物のコアは、周辺の魔素を集める様にして、魔物の体を形成していくと、先ほどの魔物が現れた。
驚いたメンバー達だが、現れた魔物が、襲う事も無かった。
怪我をしたメンバーが魔物のコアを手に持って、魔物を召喚してみせたことで、魔物のコアに召喚術の使い方がある事に気がついた。
その後、様々なコアで試してみたところ、魔物のコアに、自分の血と自分の魔力で、そのコアの魔物を召喚できて、自分の命令通りに動いてくれる事が分かった。
そこから、魔物のコアによる召喚した魔物を使役する事を思いつき、魔物のコアに召喚された魔物を貸し出す商売に結びつける。
当初は、召還した魔物を使って自分達の依頼による魔物退治の戦力として使っていた。
その後、農家の家畜より、魔物の方が力が有る事で、耕作用の魔物を農家に貸し出す事で収入を得ることを思いつく。
当初は、農家から魔物と聞いて、かなり抵抗が有ったが、ジュールクエームが、南の王国に働きかけ、新たな農地の開拓の依頼を引き受ける。
その際に、魔物を使って開拓を行わせた事で、通常の開拓の倍の速さで2倍の面積の開拓を行ってみせた。
そのお陰で、召喚した魔物の有用性を、南の王国と王国の農民に見せつけた事で受け入れさせた。
開拓した土地は、入植者を募り農家の三男や四男以下や王都で食に溢れた人達に、最初の5年間は無料で、その後は、30年分割で、その土地を販売した。
この時、召喚された魔物を使うことを条件として、土地を販売したのだ。
魔物を使う事に、新たな農民達に抵抗は有ったが、魔物が命令通りに動くことを、実演することで、召喚された魔物には、召喚主の意思どおりに働く事が分かると、爆発的に需要が増えた。
その後はその魔物のコアの召喚術を独占し、ギルドの創設を行うこととなる。
その時の召喚魔法については、メンバー内で秘密にしていた事で魔物召喚を独占した。
魔物のコアを事業として発展させ、ギルドの設立を行い、冒険者を募り魔物の討伐したコアの買取を行い始めることになると、冒険者という職業を安定した職業として確立させた。
南の王国で設立されたギルドは、王国の農業生産力に大いに貢献したことで、南の王国の経済力を急激に伸ばすことになり、王国の農地拡大に大きく貢献した。
その事が他国にも知れ渡ると、ジュールクエームは、各国にギルドの支部の設立を働きかける。
魔物の召喚術によって単純労働力の増加によって、ギルド支部を設立した国の農業生産力の向上によって、ギルドは各国の国力の貢献を果たす。
また、ギルドは王国付近の砂漠に、突然現れる転移者達を積極的に支援をすることで、更なる冒険者の確保を行うこととなった。




