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多対1 〜魔物を誘き寄せる魔法〜


 ジューネスティーンが、複数の魔物に対しての時間差攻撃による戦法を伝えると、レィオーンパードも理解してくれた様だが、問題に気がついた様だ。


「にいちゃん、それは分かった。 でも、呼び寄せる方法はどうするんだ。」


 そういうと、シュレイノリアが話に入ってきた。


「“アトラクト” の魔法なら、呼び寄せられる。」


 全員が、シュレイノリアに向く。


「“アトラクト” は、見えている魔物でも、感知している魔物でも、魔力の強さで呼び寄せることができる。」


 いまいち理解できてないメンバーに、ジューネスティーンが、説明を始める。


「“アトラクト” は、昔、2人で始まりの村周辺で狩ってた時に見つけた魔法で、意味は呼び寄せるみたいなことなんだ。 だけど、特定の魔物だけに反応するわけじゃなくて、かなり広範囲の魔物に反応してしまうから、今までは使わなかったんだ。」


 説明すると、ジューネスティーンは、アイデアが浮かんだ様だ。


「なあ、シュレ。 “アトラクト” だけど、あれ、魔物を1体だけ、引き寄せられないか? 」


「多分、できると思うが、練習が必要。 今は、周囲に均等にかかる可能性が高い。 指向性を持たせるには、練習が必要。」


 それを聞いて、ジューネスティーンは考える。


(だったら、シュレが指向性を持たせる訓練にもなるのか。 倒す方法は、最悪は、シュレの攻撃魔法で何とかするか。)


 考えていると、横から話しかけられた。


「ねえ、ジュネス、その魔法って、誘き寄せ過ぎになるんじゃないの? 」


 ジューネスティーンの話を聞いていた、アンジュリーンも気になったのだろう、話に入ってきた。


「まぁ、呼び寄せすぎたら、対応するけど、でも、その、 “アトラクト” ってどうやって使うの。」


「そうですぅ。」


 アリアリーシャが相づちをする。


「ああ、すまない。 “アトラクト” は、魔物を自分に誘き寄せる必要があるから、ターゲットの魔物に、こっちに向かって来念じて、シュレが、 “アトラクト” を使えば向かってくるし、この範囲とかって考えれば、複数の魔物も集めることができる。 それと、 “アトラクト” は、シュレにやってもらうから、あまり気にしなくていいよ。」


「それなら、向かって来るのは、その魔物だけじゃないの。」


 カミュルイアンがそういうと、ジューネスティーンは渋い顔をする。


「ああ、そうなんだが、案外狙った魔物以外の魔物も釣れてしまうんだ。 昔、それで10匹位釣れて対処に困った事があったんだ。 だから、今まで教えなかったし、使わなかったけど、東の森に入った時は、2体以上の魔物に対処する可能性も考えられるから、今のうちに複数の魔物に対処する事も考えておきたいのと、シュレには、単体を引き寄せる練習もして欲しいと思っている。」


「じゃあ、にいちゃん。 その “アトラクト” を使う時って、案外後ろからも来る事が有るって事なのか。」


 レィオーンパードがそう尋ねる。


「そういった事も考えられるから、使う時は、全員で周辺の警戒を行うことになる。」


「分かった。」


「なので、別方向からの魔物と、多過ぎた魔物は、シュレイノリア、アンジュリーンとカミュルイアンに弓と魔法で対応してもらう。 それと、その中の1人が魔物に対峙する時は、俺も周りの警戒に入る。 それと、アンジュとカミュルイアンにも剣で対応してもらいたい。」


 その言葉に、エルフの2人が顔を曇らせるとアンジュリーンが、嫌そうな顔をする。


「何で私達も剣で戦うの。」


 自分達のメイン武器は弓なので、剣は得意な武器とは言えない。


 今更、剣を使う必要があるのかと考えたのだ。


 アンジュリーンの言った通りで、自分も同意見だと思ったカミュルイアンも、聞き返す。


「そうだよ、にいちゃん。 俺達はメインが弓なんだから、弓の訓練にならないじゃないか。」


 アンジュリーンとカミュルイアンが聞いてくる。


「まあ、警戒している時に左右後方の援護に入るから、弓はその時に使うだろうし、それに接近戦にも慣れておいてもらいたいんだ。 いつも、この前の街道での戦いが出来るとは限らない。 何らかの形で突破されて襲われた時、・・・。 複数の魔物と対峙する時とかは、取りこぼしが出ることも有るから、その時の為に、接近戦になってしまったら、弓引いて撃つより剣の方が生存率は上がる。 剣にも慣れてもらった方が良いと思うから、それで剣にも慣れていて欲しいんだ。」


 その説明を聞いて、2人は、渋々納得するような顔をする。


「そう言うことなら、分かったわ。」


「分かった。」


 納得する2人に、少しほっとするジューネスティーンは、最初に話した魔法について聞いてみる。


「じゃあ、 “アトラクト” も分かったか。」


 4人が肯いたので、実戦に入る事にする。




 個々の能力を上げるので、一度に全員とはいかないので、順番を決める事にする。


「じゃあ、誰から行く? 」


 そういうと、アリアリーシャが、名乗りを上げた。


「わたしからぁ、いきますぅ。」


 ちょっと自信がなさそうに言うが、あまり気にせずにジューネスティーンは話を進める。


「じゃあ、姉さんから、最初は、2体位から始めようか。 もし、それ以上釣れた場合は接近中に2体まで減らすから安心して試してみてくれ。」


「そうしますぅ。」


 そう言うと、周りを見渡して聞き耳を立てながら魔物を探すと、レィオーンパードが、魔物を見つけた様だ。


「ちょっと遠いけど、あっちの方角に何体か居るみたい。」


 そう言って、左の方向に指を指す。


 その方向を見ると、かなり先の方に離れて2体いる事が分かる。


 それも地面の窪みに寝転んでいて、指摘されなければ見落としてしまう様な場所に居る。


 遠くの2体を見て、 “アトラクト” が、そこまで届くのかと思ったのだろう。


「ちょっと、遠いな。 少し移動するか。」


 ジューネスティーンが、そう言うと、シュレイノリアは、気にしてない様な顔をする。


「あの距離でも、私のアトラクトなら捉えられると思う。」


 そう言うと、周りを気にする事なく魔法を唱える。


「アトラクト! 」


 止める暇ものなくシュレイノリアが魔法を唱えてしまったのだ。


「えっ! 」


 周りの事を気にする事なく、シュレイノリアは、 “アトラクト” を使ってしまった。


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