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ウィルリーンのアイスランス


 フィルルカーシャが、砲弾型アイスランスを放った時点でウィルリーンが出来てないので、ウィルリーンも苦労したのだろうと、ジューネスティーンは、思ったのだろう、ウィルリーンにフィルルカーシャに説明した内容を伝える。


「多分、形が整わないのは、段階を踏んで無いからだと思います。 なので、手順を踏んで順番に進めれば、直ぐに出来ると思います。」


 話をしながら、水の球を作ると、ラクビーボールの形にすると、それを凍らせる。


 その様子を、ジーッとウィルリーンは見ていた。


「そうやって、マジマジと見られると、ちょっと、恥ずかしいですね。」


 ジューネスティーンは、学校の先生に見られてダメ出しをもらう時の様な気持ちになる。


 ジューネスティーンが少し恥ずかしそうにしていると、ウィルリーンはジューネスティーンの作る砲弾型アイスランスが出来る手順を見ていた。


 氷の塊を作るのだから、水を集めてから形を作って、凍らせてるのを見て、手順がある事に気がついたのだ。


 シュレイノリアの説明には細かな説明は無かった。


 それに、シュレイノリアは、一瞬で氷の塊を作ってしまったので、同じ様に作っていたのだが、上手く出来なかったのだ。


 手順が分かれば、その通りに進めれば、自分にも同じ物ができる。


 なる程と思って、視線を上に上げて、お礼を言おうかと思い、ジューネスティーンの顔をみると、何だか恥ずかしそうな顔をしていたのだ。


「ああ、すまん。 何だか、今ので手順が見えてきたみたいだ。 ん? 」


 ジューネスティーンの恥ずかしそうな顔を見て、何なのかと疑問に思う。


「どうかしましたか? 」


「いや、そのー。 何だか、マジマジと見られて、ちょっと、恥ずかしかったって言うか。 何というか、そのー、ただ、それだけです。」


 そう言われて、そんな物なのかと思う。


「でも、今のでヒントが掴めたと思う。 水から作るとは思わなかったよ。」


「ああ、シュレイノリアは、一瞬で作ってましたからね。 あいつはそういったところに頭が回らないから。」


「そうなんだ。 天才的な才能を持つ者は、出来て当たり前だから、頭の中で手順を考えるより、体が勝手に動くからな。」


「そうなんです。 説明させても、順序立てて説明じゃなくて、擬音で説明することおもあるから、悲惨ですね。 それに、説明されても分からない時もあるから、そんな時は、かなり悲惨です。」


「ああ、何となく分かります。」


 ジューネスティーンは、今の状況を見れば、ウィルリーンが、相当苦労したのだろうと思う。




 ウィルリーンとしてみれば、ジューネスティーンがシュレイノリアの話を理解して解説してくれる。


(この2人は、いいコンビなんだな。 天才的な魔法を行えても、周りがそれを理解できないが、ジュネスがそれを理解して、周りに伝える。 ああ、だから、このメンバーは全員が魔法を使える様になったのか。 シュレもそうだが、ジュネスの理解力はとてつもなく大きな財産なのかもしれないな。 今の私も、その恩恵を受けたと言うことか。 ふふふ。)


 その能力なのか、長い付き合いなので、理解できているのか、何とも言えないが、ただ、自分としては、ジューネスティーンの解説によってシュレイノリアの魔法が理解できるのはありがたい。


 ウィルリーンは、何か含み笑いをしたと思ったら、直ぐに真顔に戻る。


「じゃあ、今のを試してみます。」


 ウィルリーンは、ジューネスティーンがさっき行っていた見本の通り、水の球を作る。


 すると、形をラクビーボールのような形に変形させると、一瞬でその水が氷に変わる。


「あっ、イメージ通りの形に作れました。」


 ウィルリーンはジューネスティーンの言った通りに進めると砲弾型のアイスランスになった。


 手順通り、水を生み出してからアイスランスの形にしてから凍らせることで、思った形に作る事ができた。


「教えてもらった通りに進めたら、思った形になりました。 後は、今の手順で作るスピードを上げるだけです。 でも、シュレイノリアはそれを人の目に止まらぬ速さで作ってしまったけど、それに気づいて手順を直ぐに気がついて教えることができるあなたの才能もとてつも無く凄いものですよ。 天才の才能も凄いと思いますけど、一般的な天才と言われる人達は、無意識にその事ができてしまい、説明を求めても上手く説明できないので、どうやっているのか理解するのに手間が掛かるんですけど、その天才の行っている事を解説できるのだから、あなたの観察眼も天才的ですね。」


「観察眼の天才って才能って、なんか微妙な才能の様な。 冒険者より学者が欲しい才能ですよね。」


 話を聞いていて、観察眼の天才が、冒険者に必要なのか、褒められてはいるのは分かるのだが、その才能が冒険者に必要とは思えない。


 そのジューネスティーンの答えに、ウィルリーンは、観察眼について説明する。


「でも、観察眼が鋭いなら、魔物の弱点とか、相手の苦手な攻撃とかを見極める事ができると思います。」


 それを聞いて、学生時代の事を思い出す。




 格闘技であれば、相手が攻撃してくる時に、動き出す時に動く癖を覚えていた事を思い出す。


 攻撃する際には、相手に打撃を与えるために効率的に攻撃しようとするので、攻撃するための動きに人それぞれの癖が出る。


 相手が何かを繰り出してくる際の初動動作を見て、その攻撃を防御する。


 そうする事で攻撃を防いだり、決定打を急所からずらして防御力の高い部分に攻撃を誘導する。


 同等の相手だったり、自分より少し強い程度ならば、相手に決定打を与えないので、負ける事は無い。


 ただ、圧倒的な力差のある相手には、そういった技術だけでは防御はできない。


 どんなに強い子供でも、大人の力には負けてしまう。


 だが、学校の時には、数多くの相手と対峙することで、初動動作のその微妙な相手の動きを見極める事で相手の攻撃を防いでいた事を思い出した。




 魔物に対峙している時も、それが無意識の内に生きてくるのかと納得する。


「ありがとうございます。 言われてみたら、観察する事が攻撃や防御に大きく影響しますね。 相手の初動動作を見極めれば、何を繰り出してくるのか分かりますから、その後の防御から攻撃に繋がりますね。」


「そうです。 ギルドの高等学校は冒険者になる為の教育を行っているのは、そういった感を養うためにあるのかもしれませんね。Aランク冒険者になるのは、私達の様に冒険者として叩き上げより、ギルドの高等学校を卒業した冒険者の方が多いし、それに、早くランクアップするわ。 まあ、卒業生全員がそうでは無いですけど、明らかに卒業生の方が叩き上げの冒険者より多いわ。 それは、ギルドの高等学校には、そういった能力を底上げする力が有るって事何だと思いますよ。」


 ジューネスティーンは、その話を聞いて納得する。


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