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シュレとジュネスの魔法指導

 

 そこには、杖を持ったシュレイノリアが笑顔でジューネスティーンを見ており、その後ろには、ウィルリーンが不安そうに立っていた。


 ジューネスティーンは、シュレイノリアの笑顔が怖いと感じていると、シュレイノリアの顔が怒りをあらわにした顔に豹変する。


「おい、今のは何だ? 」


 凄みの効いた声でシュレイノリアはジューネスティーンに問いかける。


 今、フィルルカーシャがアイスランスを成功させたのを見ていたのは、今の言葉でわかる。


 それと顔が怒っているのだから、ウィルリーンのアイスランスは上手くいってない事が分かる。


 シュレイノリアなら、自分が教えた方が早く習得できた事が、気に入らないのだろう。


 見つかっていた事を今の一言が物語っていると感じている。


 なんて言えばシュレイノリアは納得するのかと考えていると、ジューネスティーンのその態度が気に食わなかったのか、シュレイノリアはもう一度ジューネスティーンに問いかける。


「今のは、何かと聞いているのだが、聞こえてないのか? 」


 ジューネスティーンは、聞こえてないかに反応して、慌てて首を横に振る。


「なら、説明してもらおう。 今のフィルルカーシャの魔法は何だったんだ。」


 これは素直に話した方が良いと思うと、今までの経緯を話し出した。




 水魔法で水を作り、形にしてから、圧縮・膨張で温度を下げる。


 そこまではフィルルカーシャに説明したのだが、回転させると撃ち出すは、フィルルカーシャが考えて試したと伝える。


 説明すると、シュレイノリアの表情から怒りの部分は無くなってきた様に思える。




 シュレイノリアは、人に教えるのが不得意なのだ。


 それは自分自身でも自覚しているのだろう。


 ジューネスティーンの話を聞いていて、自分がウィルリーンに教えていた時の事と照らし合わせていたのだろう。


 ジューネスティーンの教え方の話を聞いていて、自分は最初から氷の塊を出していたのだが、ジューネスティーンは、水魔法から作って凍らせる事でアイスランスを作っている。


 シュレイノリアは、その経緯を聞くと、何かを考えている様だったが、直ぐにウィルリーンに顔を向ける。


「おい、今の話を聞いたな。 その話の通りお前もアイスランスを作ってみると良い。」


 少し引き攣った笑いをするウィルリーンを見て、今のシュレイノリアの話を聞くと、ウィルリーンのアイスランスはうまく行かなかった事に引け目を感じている様に思える。


 シュレイノリアは、それだけ言うと、ウィルリーンを置いてユーリカリア達の方に行く。


 フィルルカーシャは、ウィルリーンを見て何とも言えない気分になり、声を掛ける気にならない。


 フィルルカーシャがウィルリーンより先に精度の高いアイスランスを作ってしまった事を後ろめたく思っている。


 その事が分かってかどうかは分からないがウィルリーンは、フィルルカーシャの顔を見ないようにしてジューネスティーンに声をかけてきた。


「ありがとうございます。 あなたのお陰で私も精度の高いアイスランスが作れそうです。 それとフィルルカーシャが使える様になったお陰で、私の手間も減るってものです。」


 ウィルリーンはそう言うと、少し悲しそうに笑顔を向ける。


 強がっているのが分かる。


 やはり、フィルルカーシャが先にアイスランスを成功させてしまった事を気にしているのだと思う。


 だが、ウィルリーンは何も言わずに、アイスランスの練習を始める。


 その間、声をかけられずにいたフィルルカーシャが、ジューネスティーンに申し訳なさそうに声を掛けてくる。


「あのー。 私のせいで、何だか怒られてしまいまったみたいです。 すみませんでした。」


「仕方が無いさ。 それより色々と試してみると良い。 最初は、魔力の使い方が分からないから、少量の魔力しか使わないけど、徐々に慣れてきて、必要以上の魔力を流し込んでしまう事もあるから、魔法に慣れるために色々試してみるんだ。 魔力を使い過ぎているかどうかは、魔法が使える人に見てもらって、魔力を抑えるコツを掴む様にするんだ。 制御を覚えないと一度に全部の魔法を使ってしまって動けなくなるなんて事になりかねないから、その為にも使い始めに、魔力を多く使える様になったら、制御も覚えてもらうんだ。」


「はあ、魔力切れになったら、どうなってしまうんでしょうか? 」


「魔力って、基本は、精神力になるんだ。 だから、それが無くなってしまうと、体が重く感じたり、最悪の場合は、目が回って倒れて動けなくなってしまうだろうね。 そんな時に魔物に襲われたらひとたまりもないから、そうならない様にするのと、自分の魔力の限界がどの程度なのかを覚えてもらうために、魔法が使えたら直ぐに制御を覚えてもらうんだ。」


「わかりました。 それじゃあ、私も魔法の練習してみます。」


 ジューネスティーンは、フィルルカーシャに魔法を続ける様に言うと、フィルルカーシャは砲弾型アイスランスを作って撃ち出すを始めだした。


 その様子を確認しながら、今度は、ウィルリーンの方を確認する。


 先程の話を聞いていたはずなのだが、上手く形が整わない様子だったので、声を掛けてみる。


「どうですか? 」


「ええ、ちょっと、思った様な形にはなってないので、少し困ってます。」


 そう言いながら、胸の前にアイスランスを作っていくのだが、いまいち形が歪になっている。


 何度か確認していると、直ぐに氷の塊を作っているように思える。


 形を作るよりも速さを優先した様に感じるので、アドバイスをすることにした。


「あのー、ちょっとよろしいでしょうか? 」


 ジューネスティーンは、上位の魔法職であるウィルリーンにアドバイスをする事になるので、控えめにウィルリーンに聞く。


「ああ、構わない。 と、言うより、見て、アドバイスをして欲しいです。」


 ウィルリーンは、なかなか上手く行かなくて詰まっていた様である。


 さらに、シュレイノリアの説明なら、知らない人なら理解に苦しむだろう。


 ウィルリーンが魔法に精通していたとしても、あの説明下手では、どれだけ理解できたのか、分かったものではないのだ。


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