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水魔法


 ユーリカリア達からのリクエストが無かった。


 ユーリカリアのメンバー達は、ジューネスティーンが一瞬で4属性の魔法を披露した事に声が出なかったのだ。


 ジューネスティーンは、5人に一番簡単にできそうで、使えそうな魔法を教える事にする。


「じゃあ、水魔法から始めましょうか。」


 5人にそう言うと、ジューネスティーンは、水魔法についてのイメージを教える事にする。


「水魔法ですが、水を集めるつもりになってください。 水はこの空気中に微量に含まれています。 真冬に吐く息が白く見えると思いますけど、あれは呼吸した時に自分の肺の中から水分が出てきて急激に温度が下がった時に見える現象です。 それにお湯を沸かすと湯気が出ますけど、それも水蒸気ですし、空に浮かんでいる雲もほとんどが水蒸気の塊です。 そういった感じで空気中には水分が含まれていますので、それを集めるつもりになってくれれば構いません。 そのイメージが魔素と融合して、魔法となって空気中の水を集めてくれます。」


 その話をしているうちにヴィラレットが、変な声を上げるので全員がヴィラレットの方を向く。




 すると、ヴィラレットの胸の前に10cm程の水の球が出来上がっている。


 ヴィラレットは一番後にメンバーになったので、少し遠慮気味に後ろの方に立っていたのだが、今のジューネスティーンの説明を聞きながら、水をイメージしていたら思わず水魔法を発動してしまったのだ。


 説明を聞きながら、その手順通りに進めれば、確実にできるというお手本を見せてくれたのだ。


 ジューネスティーンは、安心した様な顔を見せる。


「今の説明を聞きながら、イメージを膨らませたのですね。 それに、ほら、彼女は、イメージしただけで、何も詠唱をせずに魔法を発動させていました。 だから、誰でも頭の中でイメージする事で魔法は発動するんですよ。」


 それを見て、他の4人も自信を付けた様に思える。


 4人には、魔法が使えなかったヴィラレットが、魔法を使える様になったのなら、自分にも可能性があると感じたのだろう。


 今までのジューネスティーンやシュレイノリアの話の信憑性が増した様だ。


 4人の目つきが本気になっている。




 今まで魔法が使えなかったヴィラレットが、魔法を使えた事で、自分にも魔法が使える様な気になっている。


 それを見てジューネスティーンは、うまう行きそうだと判断したのだろう。


 顔つきが、良い方向に変化すると、4人に声をかける。


「じゃあ、もう一度説明しますので、それに合わせて試してみましょう。」


 そういうと、もう一度全員を確認する。


「まずは、空気中の水分をイメージして下さい。 湯気とか吐く息の中には水分が含まれていますから、その水分をイメージします。 それが出来たら、今度は、その水分を自分の目の前に集める様にイメージしてください。 徐々に周りから水が集まってきて、目の前に集まった水は、目の前でどんどん大きくなっていきます。」


 そう言うと、メンバー達が興奮した様に息を荒くする。


 それは自分の目の前に大きさは違えども目の前に水の球が出来上がっているのだ。


 一応、全員の目の前を確認するが、問題無くできている。


「全員、水魔法は出来ましたね。 もう集中するのをやめてもいいですよ。」


 ジューネスティーンにそう言われると、目の前にできていた水の球が地面に落ちる。


「でっ、出来た。」


「私も・・・。」


「みっ、水。」


「あっ、ああ、水、水の球ができた。」


 最初にできた、ヴィラレット以外も順当にできた。


 1人が出来た事で、自分にも出来ると思たのだろう。


 逆にプレッシャーが掛かって出来ない場合もあるのだが、その心配は無かった。


 もし、出来なかった時でも、その時の方法は考えていたのだが、その必要は無かった。




 だが、全員が最初のレクチャーだけで魔法が使えたのは、このパーティーの精神的な強さを物語っているのだとジューネスティーンは感じている様だ。


 それがユーリカリアのリーダーとしての資質や、それを補うメンバーの絆の様な物を感じているのだろう。


 これがトップランカーの冒険者パーティーの力なのかと実感している様だ。




 それを見ていたアンジュリーンは、流石だと思う。


 過去にも自分が魔法を覚えた時も同じようなレクチャーをしてくれた事を思い出す。


「やっぱり、こういった時は、ジュネスの教え方は、上手いわね。 みんなを、その気にさせてしまうんだから。」


 アンジュリーンは何か昔を思い出している様に囁いた。


 独り言の様に言ったので、周りから何も気にされてない。


「私の時と同じやり方だわ。 ああやって、自分も出来るって思い込ませるのよね。 あの方法は、私には真似できないかな。」


 アンジュリーンは、自分が覚えた時も手順通りに自分の中でイメージしやすい様に話してくれたと思い出す。




 一方、ユーリカリア達の興奮はいまだに冷めない。


 お互いにもう一度同じ水魔法を作っている。


 今の感覚を忘れない様にする為なのだろうが、それよりも魔法が使えた嬉しさが優っている様に思える。


 時々、奇声をあげたりして喜びを噛みしめている様に思えるが、あまり水魔法を使いすぎて、精神力がおちても、次に進めないと、ジューネスティーンは思ったのだろう。


「水魔法が出来たところで、火魔法も覚えてみますか。」


 ジューネスティーンは、何気なく言うが、水と相反する火と言われて、5人が全員、ジューネスティーンを見る。


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