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ウィルリーンの興味


 ジューネスティーンは、魔素の話から、魔物のコアを説明する為に、炭素とダイヤモンドについての話をしてしまったが、そんな話は、魔法には、大して関係が無いことを、シュレイノリアに指摘されてしまった。


 ジューネスティーンは、少し反省すると、話を戻す。


「魔素の話から少し逸れてしまいました。 要するに、魔法紋というのは、魔法を使うための増幅装置で、少ない魔素でも流し込めれば発動するんです。 ですが、どんなに優秀な魔法紋でも魔素が流し込めなければ発動はしないんです。 だから、魔法紋を発動できるという事は魔素を扱っているという事になりますので、魔法紋で魔法が発動する人は、全員が魔法を使えるって事なのです。 なので魔素を使う量を増幅するのが、自分の意思で魔法が使えると思う事何ですよ。」


 ユーリカリア達は、それぞれが、それぞれなりに考えている様だ。


 そんな中、ウィルリーンが質問してきた。


「つまり、魔法適性が無いのではなくて、魔法発動させる為の魔素を扱えて無かったから、魔法が使えなかっただけで、国の魔法適性検査では、その魔素を沢山扱える人かどうかを見ていたって事で、魔素をより多く扱えれば、魔法が発動して、魔素が足りなければ魔法が発動しなかっただけだったと言うのか。 魔法紋は魔素を増幅してくれるので、少ない魔素しか扱えない人かどうかは、魔法紋を扱えるかどうかで分かるって事なのか。」


「そういう事ですね。」


「それと、少ない魔素しか扱えないのは、自分のどこかに自分は魔法が使えないと考えている部分が有って、それが原因で、魔素をわずかしか扱えなくなり、魔法が発動する魔素が足りないので、魔法が使えないとなっているのか。 ・・・。 そんな簡単な事で魔法が使えたり使えなかったりしていたのか。」


 ウィルリーンは、ジューネスティーンとの会話で、魔法が使えない人の原因が理解できた様だ。


(だが、それを証明された訳では無い。 だが、ここには5人も魔法が使えない人が居る。 実験体として都合が良いな。)


 ウィルリーンは、5人の顔をそれぞれ覗き込んで、ニタリと笑う。


 他のメンバー達は、ウィルリーンのその表情を見て、悪寒が走る。


 あまり、良い考えをしている様に思えないと察したのだ。


 すると、ウィルリーンは、シュレイノリアを見てからジューネスティーンを見る。


「ジュネス。 大変勉強になった。 そんな事が、魔法適性に影響していたとは思わなかった。 丁度良い所に、5人も魔法が使えないと思っている者が居る。 こいつらを使って、今の話を証明しようではないか。」


 ウィルリーンは、乗り気で5人を実験体として、提供しようとしているのだが、ジューネスティーンとしては、困った様な顔をする。


(カインクムさんで、それは証明されているので、ここでは、そんな実験は要らないのだけどなぁ。 魔法が使えないと思う気持ちが、魔法を使えなくさせているのは立証済みなんだけど。)


 何とも言えない表情でウィルリーンを見ている。




 人は、新たな発見が有ると、自分を見失ってしまうもので、子供の様にはしゃいでしまう事が良くある。


 ウィルリーンを見ていると、そう思えてしまうのだ。


 今まで、魔法適性の無かった人が、なんで魔法が使えないのか等と、考えたことも無かったのだろうが、それが、今の話で、魔法を使うための方法が見えてきたのだ。


 後は、自分の中でそれを立証すれば良いと考えているのだろう。


 ウィルリーンは自分の頭の中で閃いた内容を早く実証したくてウズウズしているのが見て取れる。


「さあ、ジュネス。 直ぐに実験を始めよう。 最初の魔法は、何が良いだろうか。」


 ノリノリのウィルリーンが、ジューネスティーンに早く魔法の練習を始めさせようとするが、ウィルリーンには、魔法的性が無い人に魔法を使わせる事が初めてなので、その現場を目撃できると思うと、とてもワクワクしているのだ。




 だが、ユーリカリアと他のメンバー達は、ウィルリーンのその浮かれ気分で、ジューネスティーンに魔法の催促をしている事が、妙に気になっていた。


 これで、もし、自分が魔法を発動できなかったら、ウィルリーンはさぞガッカリするだろうと思うのだが、ガッカリするだけで終わるのだろうかという疑問が湧いてくるのだ。


 今の話の流れだと、ウィルリーンは、魔法が使えない原因が、当人の魔法が使えないと考える気持ちが魔法発動を抑えていると結論付けていると考えられる。


 ユーリカリア達は、ウィルリーンの性格を考えている。


 そして、誰もが頭の中に思い当たる言葉が浮かんだようだ。


『魔法発動しない原因は全てお前の中にある。 出来ないと思う気持ちがそうさせている。』


 そうなって、その後にどんなスパルタな訓練をさせても自分の論理が間違ってないと証明する様に思える。


 メンバー達自身も、魔法が使えれば便利になるので、魔法は使いたいと思って、何度かウィルリーンから魔法を教えてもらった事が有った。


 魔法を使いたいと思って、今まで教えてもらっていたのだが、何時も失敗していたのだ。


 それが、今の自分には魔法が使えると思う事が魔法を発動すると言われても納得できないのだ。


 今までだって、魔法が使える様になりたいと思って教えてもらって、それでも使えなかったのだから、今日も多分使えないで終わるだろうと考えてしまうのだった。


 そう思って、使えなかった時にどうしようかと思うと、この練習を始めたいとは思えないでいるのだ。


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