ユーリカリア達への魔法指導
シュレイノリアは、カインクムに教えた時の事もあるので、この状況ならジューネスティーンが説明した方が早いと思う。
ジューネスティーンは、シュレイノリアが説明する事が面倒だと思ってジューネスティーンに話を振ったと思ったのだろう。
やれやれといった顔をする。
ジューネスティーンとしては、ヴィラレットの太刀が気になっていたので、少し話を聞ければと思っていたが、シュレイノリアに説明を振られてしまったので、後を引き継いで話始める事にする。
「あのー。 多分、自分が説明した方が早いと思います。 この前も、魔法が使えなかった人にシュレイノリアが説明したのですけど、うまく伝わらなかったので、今まで魔法が使えなかったのなら、自分の説明の方が話が早いと思います。」
ユーリカリアの顔が輝く。
「そうか、教えてもらえるか。」
すると、ジューネスティーンの手を持って上下に振ると、後ろに居たメンバー達に向く。
「おい、ジューネスティーンが私達にも魔法が使える様に教えてくれる。 お前達も一緒に教わるぞ。」
ユーリカリアは、後ろに居たメンバー達に声をかける。
だが、メンバー達は、今まで、何度もウィルリーンから魔法を教わったのだが、誰も成功しなかった。
だが、ユーリカリアは諦めておらず、時々、何かあるたびにメンバー達と魔法の練習をする。
メンバーの中で魔法が使えない4人共、何度も付き合わされて、毎回失敗に終わっているので、また、ユーリカリアの魔法好きが始まったと思っている。
後ろに居たウィルリーン以外のメンバーは魔法が使えない。
今の話を聞いていたが、色々と試してはみたが、全くダメだった事を思い出す。
メンバーの中には、ウィルリーンという魔法の達人が居て、何度か試しに魔法を教えてもらった事が有ったのだが、誰も魔法を発動できなかった事を思い出すと、どおしても自分に魔法が使える様になるとは思えないでいる。
ただ、カインクムが魔法を使える様になったのを知っているので、ひょっとしたら自分にも魔法が使える様になるかもしれないとは思うが、カインクムには鍛治においては、帝国で一二を争う腕前なので、何らかの才能が有れば、その才能に釣られて魔法もできたのかもしれない。
そうなると、シェルリーンなら魔法の習得はできるかもしれないが、残りの3人はそれ程期待はしてない。
だが、リーダーのユーリカリアが乗り気で、魔法を習得しようとしているので、試しに魔法を教えてもらおうと思う。
ジューネスティーンは、カインクムの所での事を思い出しつつ、この人達にも魔法を教える事になったと思う。
彼女達5人が魔法を使える様になれば、そのお礼としてヴィラレットに話を聞く事が出来るかもしれない。
そう思うと、マイナスにはならないかと思う。
「じゃあ、始めましょうか。 直ぐに、使える様になると思いますので、さっさと覚えちゃいましょう。」
ジューネスティーンは、簡単に魔法が覚えられる様な風に言う。
それを聞いて、ウィルリーンが怪訝そうな顔をする。
(魔法を使えない人にも魔法が使えるなんて、聞いたことが無かったわ。 そんな事がありえるの? ・・・。 いえ、ジュネスもシュレにも、迷いは無いって事は、事実なのよ。 そうよ。 カインクムだって、魔法が使える様になったのよ。 それは、2人が絡んでいるのだから、うちのメンバーも使える様になるわ。 だったら、それを知る価値は大きいわ。)
ウィルリーンもメンバー達と一緒に、ジューネスティーンに寄っていく。
ジューネスティーンは、寄ってきたのを見ると、中に魔法が使えるウィルリーンも一緒なことに気がつく。
その姿を見てジューネスティーンは、不思議そうな顔をする。
ウィルリーンも魔法を覚えててから、50年冒険者として活動してきた。
活動中には、魔法を使えない冒険者にも魔法を教えた事があったが、魔法適性の無い冒険者にはどんなに教えても覚える事はできなかった。
魔法適性が無い冒険者でも魔法が覚えられる。しかも、直ぐに使えると言う。自分の教え方に問題が有った事になる。
ならば、ジューネスティーンが、魔法適正の無いと言われた冒険者に魔法を覚えさせる方法が有るなら覚えておいて損は無い。
今後、自分達のパーティーに、新たに入ってきた仲間に魔法を使わせる事が可能になるなら、教える方法を覚えておいて損は無い。
いや、絶対に必要な事だと考える。
「ジュネス。 すまないが、私も聞いていて良いか?」
「構いませんけど。 でも、あなたは魔法が使える訳だから、聞いていても大して面白くはないと思いますよ。」
「いや、魔法を覚えさせる方法が知りたいのだ。 私は、今のメンバーにも、その前に一緒にいたメンバーにも教えた事はあったのだが、魔法適性の無い冒険者が魔法を使える様になった冒険者は誰も居なかった。 だから、あなたの話を聞いていれば、自分にも魔法適性の無い冒険者にも教える事が出来る様になれると思うんだ。 だから、あなたの教え方をみて、教え方を覚えたいんだ。」
ジューネスティーンは、ウィルリーンの話を聞いて、まあ、そう言う事なら聞いていてもらっても構わないと思うので、ウィルリーンにも一緒に聞いてもらおうと思ったのだ。
「そう言う事なら構いませんよ。 大して難しい事をしている訳じゃ無いので。 多分、一度見たら、たったそれだけなのかって思うと思います。」
ジューネスティーンは、笑顔で答えた。
「ありがとう。」
ジューネスティーンの笑顔が、ウィルリーンには少し怖かった。
自分には出来なかった、魔法適性の無い人に魔法を使える様に出来る方法を知ることが、少し怖かったのだ。
だが、これは自分が前進するためには避けては通れない道。
師匠から魔法を教えてもらって、その教えてもらった魔法を更に進化させるには覚える必要がある。
その思いが、怖さを抑えるのだった。




