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接敵


 2人が、ゆっくりと下がり始めた時、左右の一番外に居る魔物が岩陰から出ると、一気に走り出してきた。


「レオン! 」


 アリアリーシャが、声をかけると、前を向きながら、ゆっくりと後ろに下がっていたのだが、魔物を見ると、2人は、一気に方向を180°回転させると、全力でホバーボードを走らせる。


 並行に並んで居た2人は、相手とはお互いに反対方向に回転させて、お互いに接触しない方向に回ると、全力で走り出した。




 左右に現れた魔物が2人に向かって走り出したのを確認すると、後衛のシュレイノリアはウィルリーンに指示を出す。


「私が、姉さんの方の魔物を倒す。 ウィルリーンは、レオンの方の魔物を倒す。」


 そう言うと、シュレイノリアは杖を翳すと、直ぐに魔物の手前の上空に光で描かれた魔法紋が現れると、ラクビーボールの氷の塊が現れると直ぐに消えると、アリアリーシャに向かってきた魔物の頭が無くなる。




 隣のウィルリーンは、簡単な詠唱を唱えると、もう一方の魔物の上空に魔法紋が現れ、同じ様に氷塊が現れる。


 だが、シュレイノリアが作った氷塊とは違い、荒削りのラクビーボール型の氷塊だった。


 その氷塊が撃ち出されるが、シュレイノリアの放った氷塊より遅く、辛うじて目で追える。


 通常のアイスランスの速度よりは早いが、シュレイノリアの放った氷塊より遥かに遅い。




 囮りの2人が後ろを向いて走り出すと、アリアリーシャ側の魔物の頭上に光で描かれた魔法紋が現れると、そこからラクビーボール状のアイスランスが現れ、ジャイロ回転を始めたと思った瞬間にラクビーボールは消えて、魔物の頭を粉砕する。


 少し遅れてレィオーンパード側にも光で描かれた魔法紋が現れる。


 しかし、さっきの魔法紋とは異なる形の魔法紋だった。


 そこに現れたアイスランスは、ラクビーボールに近い形をしているが表面が平らではなく、氷を荒削りした程度で、同じ様にジャイロ回転を始めるが、少し不安定な回転をしている。


 そのアイスランスも回転を始めたと思ったら、一気に飛び出していくが、先程より速度は遅かったので、辛うじて目で追うことができた。


 レィオーンパードを狙っていた魔物は、上空に現れた魔法紋から射出されたアイスランスが、先に向こう側に居た魔物の頭を粉砕したのを見ていたので警戒したのか、アイスランスが撃ち出された瞬間に横に移動し初めていたので、辛うじて自分に向かってきた氷の塊を避けてしまった。


 だが、その回避行動によって、レィオーンパードに一直線に向かっていたが、アイスランスの回避の為に距離が少し離れてしまう。




 シュレイノリアは、ウィルリーンのアイスランスが魔物に躱されてしまうのをみた。


 だが、魔物が回避してくれたことで、レィオーンパードは魔物と距離をとっていたので、牽制にはなった。


 それを見て、シュレイノリアは、珍しく早口になって言う。


「最初にしては、上々の出来だ。」


 そう言うと、杖をかざす。


 レィオーンパードを取り逃してしまった魔物は雄叫びをあげていた。


 その魔物の手前に、光で描かれた魔法紋が浮かび上がると、先程の様にラクビーボール型の氷塊が現れて、直ぐに消える。


 氷塊が消えると雄叫びをあげた魔物の頭が粉砕される。




 倒せたのを確認すると、シュレイノリアが口を開く。


「精度を上げるのは、練習だけだ。 コツは掴めたと思うので、数をこなしていけば、私の様なアイスランスになる。」


「はい。」


 狙撃に失敗はしたが、直ぐにフォローが入ると言われていたので、極度の緊張も無くシュレイノリアと同じ様なアイスランスが撃てた。


 だが、ウィルリーンは、狙撃に失敗したので、少し悔しそうにしている。


「あなたは、筋が良い。 ジュネスは、魔法を使いたがらないが、ジュネスと同等のセンスを持っている。 努力次第で今の数百倍の魔法力を身につける事も可能だ。」


 若僧に上から目線で言われているのだが、ウィルリーンとすれば、シュレイノリアは自分の知らない魔法まで自分自身で編み出しているのだと思うと、その物言いにも不満は無い。


「ありがとうございます。」


 そう言うウィルリーンの表情を確認しつつ、シュレイノリアは安心する。


「だが、今度は、少し厄介だ。 この後の魔法は、自分の得意な魔法で対処する様に! 」


 そう言うと前方に視線を向ける。




 レィオーンパードとアリアリーシャは、後5m程でメンバーに合流できる所まで戻ってきており、少し速度を落としている。


 2匹の魔物は後方の魔法職が撃退したのだが、撃退された魔物の、その向こうには、群れが岩陰から出てレィオーンパード達を追いかける様に歩き出してきた。


 レィオーンパードとアリアリーシャが、ジューネスティーンの脇に来て止まると、ホバーボードから降りる。


 レィオーンパードは、ジューネスティーンに声を掛けようとして顔を見ると、ジューネスティーンは、自分達が来た方向を凝視している。


 とても話し掛ける状況では無いと思ったのだろう、レィオーンパードは、自分の来た方向を見ると20匹以上のゴリラの大群がこちらに向かって動き出していたのだ。




 ジューネスティーン達とユーリカリア達の前衛組は、レィオーンパードとアリアリーシャの2人がコアの回収を行なった後に、一旦戻ってきて、全員でもう少し進んでから2人に魔物を引いてきてもらって、数の優位性を保ちつつ戦う予定だった。


 しかし、コアの回収と同時に魔物の方から攻撃に入ってきたので、様子が変わってしまったのだ。


 ユーリカリアとジューネスティーン達の前衛の戦力は7人で、向かってくる魔物は、20匹以上になる。


 単純に1人3匹と戦わなければならない。


 同時に大型の魔物を複数と戦うというのは、ほとんど負けを意味する。


 1匹と対峙している間に、別の魔物に後ろを取られて仕舞えば、それで終わりだ。


 特に、今回の魔物の攻撃に当たって仕舞えば一撃で終わってしまう程の攻撃力を持っている。


 囮り2人で10匹以上の魔物を釣る事は不可能に近い。


 普通なら、ここは撤退してから立て直すのが常套手段と言えよう。


 だが、ジューネスティーンもユーリカリアも引こうとしない。


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