魔法職達の方針
そんなジューネスティーンの心配をよそに、シュレイノリアは、ウィルリーンを見ると話を始める。
「砲弾型アイスランスの実習だ。 狙撃が可能になれば、前衛のリスクは減る。 広域魔法も良いが単発の魔法が当てられれば、広域魔法も広く襲ってくる魔物でも、ギリギリのところで範囲に入る様に魔法を掛けられる。 精度を上げるには良い方法だ。」
ウィルリーンは、自分に課題を与えてくれた事に少し嬉しそうにする。
「ええ、試してみます。」
だが、ウィルリーンは、初めて行うアイスランスに少し緊張気味になっている様である。
それを見て緊張をほぐす様に言う。
「何事も経験だ。 こういうものは数をこなす事で上手くなる。」
だが、先程の話では、シュレイノリアは初めてで簡単に成功させている。
そんな相手から言われても説得力に欠けると思ったのだろう。
ウィルリーンは、微妙な顔をしていると、シュレイノリアが続けて言う。
「もし、撃ち漏らしても私が何とかする。 最初から当てる事ができるのは、私位しかいないので、安心すると良い。」
ジューネスティーンは、シュレイノリアの言い方もだが、内容的にも上位者の物言いなので、少しドギマギしている。
だが、ウィルリーンは、シュレイノリアの話を聞いて納得している。
「そうですよね。 私が全部失敗しても後は、お任せしてしまえば良いのですよね。」
今までなら、自分が失敗して数を減らせなければ、前衛の4人や中衛のシェルリーンに負担を掛けてしまう事になるので、失敗は許されなかったが、今は、2パーティーの12人で行う狩りになる。
それに弓は3人になり、魔法職も2人居る。
その魔法職の威力も精度も自分を遥かに凌ぐ能力を有している。
自分に対する責任が大きく緩和されている事に気がつくと気が楽になったのだ。
ウィルリーンは、自分が全部失敗したとしても向かって来た魔物は他の戦力が何とかしてくれると考えてしまえば、気が楽になったのだろう。
少し安心したような顔をする。
「そうだな。 今日のお前の魔法は、当てにしてないから、思う存分新しい魔法を試してくれ。 次はその魔法で私達が楽をさせてもらうから。」
ユーリカリアがウィルリーンに声をかけてきた。
「そうですよ。 さっきのシュレイノリアさんの魔法が使える様になったら、私達のパーティーは楽に狩ができる様になります。 だから、今日はしっかりと自分の物になるように試してください。」
ユーリカリアにつられてシェルリーンも声をかけてきた。
「新たな魔法は、私達の成長にも大きく貢献してくれる。 今日は数を減らすよりも習得に専念して欲しい。」
フェイルカミラも声をかける。
残りの2人もウィルリーンに笑顔を向ける。
「ありがとう。 私にチャンスを貰えてくれて。 ・・・。 私は幸せ者だ。」
ウィルリーンは、そう言ってメンバー達に感謝する。
すると、ウィルリーンはシュレイノリアに向く。
「今日の私は役立たずかもしれないが、さっきのアイスランスを使える様に試させてもらう。 もし、ダメだった時は、後始末をお願いする。」
ウィルリーンは、気合の入った顔で、シュレイノリアに伝えた。
話の内容としたら、ダメダメなので、後はお願いするだが、シュレイノリアとすれば、自信を持って、失敗する事も考えても、その先にある成功を目指すことが嬉しかった様だ。
ウィルリーンのその気合いに、僅かに笑みをこぼす。
「問題無い。」
「それと、良く無い部分が有れば指摘して欲しい。 直ぐに改善できるかは分からないが、最大限努力する。」
「分かった。」
シュレイノリアとウィルリーンの話が付いたのでユーリカリアが全員に声を掛ける。
「じゃあ、話も付いたし、狩を始めようか。」
それを聞いて、ジューネスティーンが、レィオーンパードとアリアリーシャを先行させて魔物を釣ってもらう事にする。




