ユーリカリアの提案
ジューネスティーンとしては、ユーリカリアパーティーの戦い方を、もっと知りたいと考えているのだ。
ジューネスティーンは、ウィルリーンとシュレイノリアの、魔法談議とレクチャーになってしまっては、自分達の課題が、まだあるのではないか、その課題を、発見する機会を失ってしまうと考えているのだ。
実戦の中から、新たな課題を見出して、目的である、東の森への潜入までに、新たな戦術を組み込む為に、今日の合同の狩を企画したのだ。
このまま、終わってしまったら、見落としてしまう可能性が有るのではないかと考えていたのだ。
その為、ジューネスティーンは、難しい顔をしている。
ユーリカリアは、そんなジューネスティーンを見ると、ユーリカリアは、自分達だけが得るものがあり、ジューネスティーン達に何の益も無いでは無いかと思ったのだろう、そんなジューネスティーンを思って、ユーリカリアは提案する。
「なあ、ジュネスよ。 私の所はウィルリーンが、そちらのシュレの魔法を見させてもらって、自分自身の糧にしたいと考えている。 私のパーティーはそれで良いが、お前のパーティーは、それだと困らないか? 」
ユーリカリアは本音を言った。
そうは言ったが、ジューネスティーンは、そうは考えてないだろうと考えていたので、ジューネスティーンの本音の部分を聞いてみたいと思った様だ。
しかし、そう言われて図星を突かれたと感じるジューネスティーンは、どう答えようかと困った顔をする。
まだ、東の森へ行く事にはなってないので、それまでにこういった機会は何度か有るかもしれないが、だからといって、今日、戻ったら、、東の森に行く話が出ないとも限らない。
それなら、この機会に可能な限り実戦での問題点を炙り出して、対策しておきたいと考えているのだ。
「自分達としては、もう少しこの魔物と戦っておきたいと考えてます。 それと、できれば、そちらの戦い方も、もっと見ておきたいと思います。 上位ランクを持っている人達であり、長年冒険者として生きてきた人には、自分達には無いものが沢山有ると、先程の戦いを見て感じました。 なのでもう少し戦いたいと思います。」
ユーリカリアの本音に、ジューネスティーンも本音で答えると、ユーリカリアは、どちらの希望も叶えられそうな提案をする。
「なら、合同パーティーの12人で行ってみないか? 例えば、お前のところの前衛二人に囮になってもらって、引き連れてきた魔物を、弓3人と魔法2人で数を減らして、うちの4人とあんたの合計5人で残りの魔物に当たるってのはどうだ? 」
面白い話ではある。
だが、そう思ってシュレイノリアを見る。
10匹以下の魔物だと、シュレイノリアが全部倒してしまうかもしれないと考える。
「それも良いかもしれないのですが、魔法職2人は、別行動の方が良いかもしれません。」
そう言われて、シュレイノリアが倒したアイスランスを思い出す。
「あーっ、さっきのアイスランスだよな。 あれだと私達の出番の前に、全部が魔物のコアになってしまいそうだな。 なら、弓と魔法は残り3〜5匹になるまで減らしてもらったら、その後は攻撃しないってことでどうだろうか? 」
それを聞いて、良い案だとジューネスティーンは思ったのだろう、成る程といった顔をする。
ただ、問題はシュレイノリアが、どう考えるかだと思ったのだろう。
ジューネスティーンは、シュレイノリアの顔を覗くと、シュレイノリアは、ジューネスティーンと目が合う。
シュレイノリアは、何だという顔をしてジューネスティーンに尋ねる。
「私の顔に何かついているのか? 美少女の顔には汚れもゴミも付いてないと思うのだが。」
シュレイノリアは、気の利いた冗談を言ったつもりなのだろうが、誰から見ても美少女に見えるシュレイノリアから言われると、冗談には聞こえてこない。
周りの女子からどう思われたのかと考えると、ジューネスティーンは苦笑いをする。
「今のユーリカリアさんの話は聞いていた? 」
ジューネスティーンは、シュレイノリアの話をスルーして、自分の思っている事についての話をすることにした。
「聞いていた。」
「なら、少し魔物を残して魔法を使うって事で構わないか? 」
シュレイノリアは、何を当たり前の事を聞いてくるのか分からないという顔をする。
「何でそんな事を聞く。」
「さっきの様に、全部倒されてしまったら、仕事にならないかなと思って。」
「何で私が全部を倒すと思っている? 」
シュレイノリアとすればユーリカリアの提案の通りに残りの魔物の数を減らす。
最初は、様子見で3匹までに減らして様子を見て、次からはその様子をみて残す魔物の数を増やしていけば良いと考えていたのだが、ジューネスティーンは、ユーリカリアの提案を無視して、全部の魔物を倒してしまうのではないかと考えていたのだ。
2人の考えの相違からの話なのだが、シュレイノリアは、ジューネスティーンの考えが見えてきた様だ。
その内容は、自分が全部の魔物を先に倒してしまうかもしれないと、ジューネスティーンが考えている事だと確信した様だ。
そんなジューネスティーンに、シュレイノリアは苛立ちを覚えているのだろう。
シュレイノリアは、イラついた顔をする。
「いやぁ、お前は、いつも周りの考えの斜め上をいっているから、今の提案がどうなのかなと思って、ちょっと、気になった。」
「私は、いつも約束は守っている。 火魔法も水魔法も雷魔法もダメと言われたら使わない。 その代わりに別の魔法を使うが、約束を破った事は無い。」
ジューネスティーンは、そう言われて、以前の事を思い出してみている様に考える様子を見せると、確かに言われた通りにしていたと分かったみたいだ。
(言われて無い事には、その範疇に無いので使ったのか。)
ジューネスティーンは納得する様な表情を見せる。
「まあ、確かに。 言われて無い事をしたまでで、予め言われていた事は行って無かったな。」
「ふん。 お前は人の事を何だと思っているんだ! 」
シュレイノリアは、そう言って少し膨れる。
「分かった。 じゃあ、前衛に向かう魔物の数の調整は、お前に頼む事にする。 周りの中衛の人の戦い方を見てうまく調整してくれるか? 」
そう言われて、気持ちが落ち着いたのか、シュレイノリアは直ぐに答える。
「ああ、当然だ。 私が残りの数を調整して、お前達が安全に狩が出来る様にしてやる。」
ユーリカリア達にしてみたら、少し失礼な話になっている様に思える話だ。
慌てて、ジューネスティーンは、ユーリカリア達の方を見る。
しかし、先程のアイスランスによる頭を粉砕したところを目の当たりにしていたせいか、彼女らは今の言葉を気にする素振りは見せてない。




