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凹むウィルリーンと励ますユーリカリア


 自然科学についての話が出てくると、ユーリカリアは困った顔をする。


 ユーリカリアもウィルリーンも、どちらも親元を逃げる様にして出てきて、食べるために冒険者になったのだ。


 自然科学を学んだ事も無ければ考えた事も無かったのだ。


 だが、シュレイノリアのアイスランスを見て、自然科学が、魔法の威力を上げる為に使えると、実証してくれたのだ。


 ユーリカリアは、ウィルリーンの方を、ゆっくりと見る。




 シュレイノリアの話を聞いて、ユーリカリアはウィルリーンに向く。


「なあ、お前にも今の様な事ができないか? 」


 自分の思い付かなかった事を、シュレイノリアはいとも簡単そうに説明する。


 それに驚愕していたので、ユーリカリアの呼びかけにウィルリーンは、直ぐには対応できずにいる。


「おい、大丈夫か? 」


 ユーリカリアがウィルリーンを覗き込む様に見ると、それに気がついたウィルリーンが慌てて答える。


「ああ、大丈夫だ。 少し驚いてしまった、・・・、だけだ。」


 ユーリカリアは、心配そうな顔でウィルリーンを見る。


「なら、良いが、それより、今のアイスランスなんだけど、お前にも出来そうか? 」


 ウィルリーンは少し考えるが、直ぐに答える。


「ああ、多分。 今、原理を聞いたから・・・。 ただ、直ぐには出来るかどうか、分からない。 少し練習してみてからになる。」


 ウィルリーンは、オドオドと答える。


 それを見てユーリカリアは少し困った。


 また、ウィルリーンが取り乱してしまうのでは無いかと心配になったのだろう。


 ユーリカリアとしてみれば、今のアイスランスの攻撃力を見たら、ウィルリーンに使える様になって欲しいと考えるのは必然だろう。


「今のアイスランスが使える様になったら、うちの戦力もアップするから、試してみてくれないか。」


「ああ。」


 ウィルリーンは気のない返事をする。


 少し動揺しているのは分かるので、労う様に言う。


「お前には、色々、負担をかけてしまうが、よろしく頼む。」


 ユーリカリアは、さっきの重力魔法についてもウィルリーンに、お願いする事になるので、新たな魔法の習得の為に負担を掛けてしまうと思ったのだ。


「なあ、あのボードの重力魔法といい、今のアイスランスといい、負担が大きくなりそうなんだが、もし、何か有れば、私やメンバーで手伝う様にするが、どうだろうか?」


 ユーリカリアは、ウィルリーンに声を掛けるが、シュレイノリアの魔法に関する知識と言うより、それ以外の事を、魔法に応用して使っている事に、驚愕しており、言葉が出てこないのだ。


「おい、大丈夫か? 」


 そう言われて、はっとなるウィルリーンが答える。


「あ、ああ、大丈夫だ。 こんなに新しい魔法もだが、魔法に応用する方法が有ったとは驚いた。 それに氷の塊が魔物の頭を粉砕する程に、スピードをあげるなんて考えた事も無かった。」


 それをみてシュレイノリアがウィルリーンに話しかける。


「この方法は、私も、最近、気が付いた。 それを試してみただけだ。 だから、原理も理解出来た。 実際に氷塊の形も見た。 魔物の頭を粉砕できるとは思わなかったが、その時の状況も把握している。 イメージにまとめる事ができたなら、後は実践してみるだけだ。 直ぐにできる様になる。」


 しかし、シュレイノリアは、実際に言う程、この魔法を簡単に取得したわけではなかった。


 最初は、狙ったところに、全く命中しなかったのだが、手の空いた時に考えたり、実験をして初めて身に付いたのだが、シュレイノリアの何時もの調子で、細かな部分は、削除して話していた。




 シュレイノリアが、簡単に言ってくれると、ウィルリーンは思ったのだろう、引き攣った様な笑いを浮かべている。


(魔物の頭を粉砕できると思わなかった。 今の話しだと、彼女は今初めて使って、成功させたのよね。 何なのよ。 このシュレって子は! あーっ、私の知識の無さを思い知らされるわ。)


 このシュレイノリアの魔法力もそうだが、直ぐに実戦で成功させた事に驚きを通り越して、自分の魔法がなんてチンケな魔法だったのかと、思い知らされている様だ。


 その惚けた様なウィルリーンの顔を見て、シュレイノリアが不思議そうな顔で聞く。


「なんなら、今ここでレクチャーしようか? 直ぐに出来る様になると思う。」


 呆けてしまっているウィルリーンは、今の話が頭に入ってこないのか、返事がない。


 シュレイノリアは、首を傾げる。


 横で聞いていたユーリカリアは、今のアイスランスが、ウィルリーンにも使える様になるチャンスと思うのだが、当の本人が呆けているので、片腕を取って振る。


「おい、チャンスだぞ。 今の魔法のレクチャーをしてくれるって言ったんだぞ。 どうしたんだ。」


 腕を振られて、ウィルリーンは、その方向を見る。


 ユーリカリアが視界に入る。


 圧倒的な力差を見せつけられたのだ。


 ウィルリーンには、計り知れない力を持ったシュレイノリアに、どう接していけば良いのか、考えが纏まらない様だ。


「お前が、そんなんじゃ、私達パーティーはどうなるんだ。 お前の魔法が、私達パーティーには必要なんだ。 お前がそんな呆けていたら私達はどうなるんだ。」


 ユーリカリアが、必死になって説得する。


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