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パワードスーツの原型


 ジューネスティーンとシュレイノリアは、冒険者になる前から取り付けと取り外し以外においてもフルメタルアーマーの性能に限界を感じていた。


 それ以外の防具には大した防御力が無く、全ての防具には防具以外のメリットが無く、その防具は身体能力を阻害していた。


 2人が冒険者として生きるためには、新たな何かが必要だと考えていた。


 フルメタルアーマーでも、パーツを身体に取り付ける事によって身体能力の阻害してしまい、移動も遅くなり剣を振るうにしても防具の重さによって腕の動きが遅くなる。


 体に取り付ける防具は、走ったり歩く事に影響を及ぼす。


 パーツとしての防具が、身体能力を阻害する事を2人は理解し、その欠点を補うことを考える必要があると結論付けていた。


 そして2人は、いつまでもギルド支部の保護下で生活ができるとは考えていなかった。


 必ず自立を迫られる時期が来る。


 その時に困る事が無いように備えるため、シュレイノリアは魔法について、そして、ジューネスティーンは防具の新たな形を模索していた。




 2人は、この1年間で、自分達の未来について考え、どんな方向性があるのかを考えていた。


 図書館に通った、わずかしかない本から、情報を得て、職員からの話を聞き世界を様子を考えていた。


 そして、その未来において自分達が現れた意味も含めて、進むべき道は冒険者になることだと2人は考えたのだ。


 その中で、問題になったのは、防御力の弱さと、それを補うための防具の欠陥にあった。


 防具においては、ただ、攻撃を防ぐだけの器具という側面があり、魔法による身体強化を施したとしても、生身の人の動きと同等にまで上げることはできなかった。


 特に、身体強化の魔法を施したとしても、肝心の骨格が悲鳴を上げる事になることは2人の間で簡単に予測されていた。


 防御にも適して、そして、身体強化に耐えうる人体の骨格に変わる何かを必要としている事は、転移してきてからの1年間に検討した内容に含まれていた。


 その2人の考えに一番近い防具はフルメタルアーマーだったのだが、それでは、大きな問題として身体能力を落としてしまう。


 ジューネスティーンは、そのヒントを昆虫に求めた。


 昆虫の中には、表面を硬い殻に覆われたものがいる。


 蜂、カブトムシ、クワガタ、テントウムシ等、表面を硬い殻で覆われた昆虫を中心に観察を行っていた。


 硬い殻に覆われていても身体を動かせる昆虫は、フルメタルアーマーの硬い防具を動かすための参考になると考えたのだ。


 ジューネスティーンは、昆虫を見て構造面から新たな防具の形を考えていた。




 そして、シュレイノリアは、魔法を極める方向で検討を重ねていた。


 シュレイノリアの課題は、ジューネスティーンの考えた防具を動かすために、身体強化の魔法から新たな方向性を検討していた。


 一般的な身体強化は、人に対して行うようになる。


 人に対して身体強化を施したとしても、それは、身体を動かすための力を増幅して、防具の重さによって鈍くなった動きをカバーするだけだった。


 その身体強化魔法を、さらに強くしていった場合、その負担は身体強化された身体にかえってくる。


 もし、岩を殴るとしたら、人の殴る程度で岩は壊れない。


 岩を殴った時、その衝撃は、拳、手首、肘、肩と殴った時の衝撃は、その骨に伝わる事になる。


 そして、破壊できないオブジェクトを殴った時、その衝撃は全て殴った側に返ってくる。


 付与魔法を使い筋力強化を行ったとしても、もう一つ、骨格も強化する必要があり、骨格を強化したとしても、その関節への影響をと考えていくと、強化のための付与魔法においても複雑な制御が必要になる。


 魔法を高めることを考えたとしても、付与された人に副作用が出てしまっては意味が無い。




 2人は、お互いに検討し問題点を補う事を考えていた。


 その結論として、魔法の副作用が人体に及ばないようにするため魔法の制御が増えてしまうなら、それをハードとしての纏う事になる新たなフルメタルアーマーで行う必要があった。


 その影響を抑えるために参考にしたのが、外骨格を持つ昆虫だったのだ。


 昆虫のような外骨格を参考にして、その構造を自分達の考えるフルメタルアーマーに取り入れる事を考えていた。




 そして、その中で蝶の羽化を確認した。


 それは、背中の中心から縦に割れて、その中から新たな体が現れた。


 硬いとは言い難い蛹の殻ではあるが、硬いものの中から現れた新しい蝶の身体が、硬い防具を着けたフルメタルアーマーと中の人と重なり、その蝶の羽化を見たことで、新たなフルメタルアーマーの着け外しの方法を閃いたのだ。


 内部に入っている生身の身体を、その外側に身体に連動した動きをする外装骨格と人工筋肉を用意した。


 外装骨格が、身体能力以上の力を使ったとしても、その衝撃を受けることのできる。


 そして、人工筋肉によって、身体能力以上の筋力を出させる。


 外装骨格と、それに付随した人工筋肉が、身体能力以上の力を発揮する。


 そして、各部の筋肉の動きに連動して、動くように身体の動きを検知するセンサー、それだけでなく身体の動きの指示を与える信号を捉える事によって動きに対する遅れを抑える。


 人の動きに対する信号は、微弱な電気信号になる。


 脳から発せられた電気信号は、外に電磁波として現れる。


 電気が流れれば、その周りに磁界が発生する。


 その信号を得る事によって、外装骨格を動かすための人工筋肉を動かす。


 その部分をシュレイノリアが担当した。


 ジューネスティーンがハード面を検討し、シュレイノリアが駆動させるためのソフトウエアを担当し、お互いに開発状況を把握し問題点も共有することで、2人は新たなフルメタルアーマーである“パワードスーツ”の開発を行なっていた。


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