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ギルドの通信装置

 

 ジューネスティーン達が帰った後、カインクムは、ギルド帝国支部に向かう。


 ギルドには、冒険者の為の依頼の斡旋、魔物のコアの買取・販売意外にも収入源が存在する。


 ギルドは、転移して来た人や亜人の保護を行うが、その中で優れた能力を持つものと契約して、技術の独占を行なっている。


 その中には、テレビ電話のような通信装置も存在しており、各ギルド間の通信を行なっている。


 原理は魔法を使っているのだが、どんな原理で通信しているのかは、ギルド本部にしか分かっていない。


 その通信装置が各ギルドに有り、一般の人にも利用可能となっている。


 話をしたい、お互いが、ギルド支部に行けば使うことが可能となっている。


 ただし、相手も何処かのギルド支部に居る事が条件となる。


 そこに、カインクムはジュエルイアンと連絡を取る為に向かった。


 一般に普及はされてないので、双方がギルドに行く必要が有るので、日にちと時間を決めてそれぞれのギルドに行く必要があるのだ。




 カインクムは、受付を済ませると、少し待たされた。


 先方が、まだ、南の王国のギルドに到着してないとの事で、しばらく待つことになった。


 入口のロビーのソファーで待っていると、仕事が終わった冒険者達が戻ってくる。


 そのうちの一人が、カインクムに話しかけてくる。


「よお、カインクム、今日はお前の店、休みだったから、てっきり、風邪でも引いたかと思ってたよ。 何かあったのか?」


 聞いて来たのは、帝国のギルドを中心に活動しているフォルボグ・グンギャン・スライセロだ。


 ただ、彼は、ファミリーネームがスライセロと言う。


 彼も、帝国に流れて来た冒険者なので、帝国風のファミリーネームが先ではなく、最後がファミリーネームの人となる。


 大ツ・バール帝国にギルド支部が出来たのは、4年前の、帝国建国から360年になる年だったので、冒険者の殆どは、周辺国家から流れて来た人が多い。


 その為、冒険者の殆どは、ファミリーネームが後の人が多いのだ。




 カインクムは、愛想笑いも作らず、フォルボグを見ると答える。 


「いや、今日は、お得意様の仕事が入ったから、休みにしていた」


「そうか、新しい剣を買おうと思ったのだが、休みだったので、帝都の旧市街まで買いに行ってしまったんだ。 お陰で、良い剣が手に入った」


「それは、良かった」


 嫌味な言い方をされても、カインクムはそっけなく返す。


 ただ、フォルボグはそれが気に入らなかったみたいだ。


 おそらく、売りそびれた事を悔しがらせるつもりだったのだろうが、当てが外れたようだ。


 フォルボグとしたら、店の剣が売れなかったことで、悔しがるカインクムを見たかったのだが、カインクムには、そんな様子は全く無く対応したので、逆に自分の気分を不快にさせてしまったのだ。




 カインクムに話しかけてきたフォルボグは、夫婦と子供のパーティーだが、不足の人数を亜人奴隷で補強している。


 他のギルドでは、奴隷をパーティーに入れる事を嫌う為、亜人を奴隷として扱っているこのパーティーは嫌われている。


 人属を優遇して、亜人奴隷が認められている帝国に流れて来た時に、フォルボグは、そんな方法で魔物を狩るようにしている。


 パーティーとしては優秀だが、奴隷を無残に扱う事で有名になっている。




 不利な戦いの際、撤退する時に、自分達家族の生存率を上げるために亜人の奴隷を背後から斬りつけ、動けなくなったまま見殺しにし、魔物に喰われている間に逃げる事も有ったと噂されている。


 その噂が広がり冒険者仲間から嫌われている。


「それより、こんな時間にギルドに用事とは、どうしたんだ」


「ちょっと、野暮用でな」


「……」


 カインクムの素っ気無い態度を気にしていた。


「まぁ、病気じゃ無かったら良かった。 今度、新しい剣を買う時は使わせてもらうよ。 じゃあな」


 そう言って、メンバーの居る方に歩いていく。


 カインクムは、顧客の1人なので、無碍には扱わないが、今のような嫌味な言動には辟易しているのだ。


 顧客と思えば付き合うが、そうで無かったら絶対に声を掛けないタイプの人種なのだ。


 フォルボグと入れ替わるようにギルドの案内係が、カインクムの元に来た。


「先方がお着きになりました。 こちらへどうぞ」


 そう言って、案内係は、通信用の部屋へ続く通路を指し示した。


 その様子を見ているフォルボグが、何か考え込むように見るが、それ以上の詮索は出来ないと思ったのだろう、受付で自分達の獲物の値段の交渉を始めるのだった。


 カインクムは通信用の部屋の一つに案内された。


「一級回線になります。 こちらをご利用ください。 それと今回の費用は先方から受け取る事となっています」


 そう言うと、部屋のドアを開けてくれた。


 この一級回線は室内も回線からも会話を盗み聞くことが出来無い。


 ギルド本部の技術によって、室内には防音用の魔法が施され、通信に使う魔法も、3重プロテクトが掛かっていて魔素の流れから読み解く事も出来ないようになっている。




 部屋は3畳程の大きさで、ドアの向かいに机と椅子が用意されている。


 そして、机の上には通信用の魔鏡が置かれている。


 カインクムは慣れた手付きで、魔鏡に手をかざすと、写っていた自分の顔が歪み、違う人の顔が現れるのだった。


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