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魔道具の説明


 エリスリーンから、魔道具の説明を受けられると聞いたシュレイノリアは、ジューネスティーンもメイリルダも置いてエリスリーンの後を追って付いて行った。


 執務室の扉を開けようとしたエリスリーンは、後をついてきたのがシュレイノリアだけだった事に、わずかに戸惑いを覚えたようだ。


「あら、お前だけなの? メイリルダともう1人はどうした?」


 シュレイノリアは、エリスリーンを、何でそんなことをいうのかというような表情で見上げていた。


「知りたいと言ったのは私だ。あの2人は、あの装置に興味を示さなかった。だから、私1人で来た」


 確かに魔道具について興味を持ち質問をしていたのはシュレイノリアだったので1人だけでエリスリーンに話を聞き来たのだろう事は納得できる話なのだが、セキュリティーの問題もあるので、3人一緒が当たり前だと思っていたエリスリーンは、1人だけで自分の後に付いてきたシュレイノリアを見て困ったような表情をした。


(まあ、ここなら、少女1人だけでも誘拐される事も無いか。直ぐにメイリルダが少年を連れてくるだろうから中で説明をしていたら合流できるか。それにこの子は興味を示したら誰が何と言っても動かないらしいからな)


 エリスリーンは、ガッカリした表情をした。


「そうだったな。じゃあ、中にお入り」


 エリスリーンは部屋にシュレイノリアを招き入れると応接用のソファーに座るように指示を出すと、シュレイノリアは3人掛けの椅子に座った。


(魔道具の話はするけど、……。メイリルダと少年は来ないのか? この子を寮に)


 少し困ったような表情をしていると、ノックの音と共にドアが開き、メイリルダがジューネスティーンの手を繋いで入ってきた。


「すみません。遅くなりました」


 2人の顔を見たエリスリーンは、自分の仕事が一つ減ったと安堵した表情をした。


「ああ、揃ったようだな。じゃあ、そこに座りなさい」


 全員を応接用の3人掛けのソファーに座るように促し、自分は執務机に戻って引き出しから何かを出しすと、それを持って1人掛けのソファーに座った。


「シュレイノリアは、スクロールは見た事があるか?」


 そう言って、丸められた羊皮紙をテーブルに置いた。


 それをシュレイノリアが、直ぐに手を出そうとしたので、慌ててメイリルダが、その手を抑えるようにした。


(ちょと、スクロールを試すんじゃないわよね! スクロールって高価なのよ!)


「ああ、それは失敗スクロールだから何も反応しないはずだ」


 それを聞いて、メイリルダは、シュレイノリアの手を離したので、シュレイノリアは出されたスクロールを手に取り広げてスクロールを確認した。


 シュレイノリアは、広げたスクロールをジーッと見ていた。


 その様子を3人が見た。


「ほほーぉ、本当に何かに集中すると、何も見えなくなるようだな」


 エリスリーンは、その様子を見て報告の内容と一致している事を確認できたというように言葉にした。


「そこに描かれているのは魔法紋よ。魔道具にも魔法紋が刻まれていて、その魔法紋の内容に基づいて魔法が発動するの」


「うん。それは分かる」


 エリスリーンの説明にもシュレイノリアは、視線をスクロールから離さず聞いていた。


「受付の水晶は、魔法紋によって映った人の顔を撮影して魔道具に映し出すのよ。それをギルド本部の方に送信すると登録されるわ。だから魔道具の脇に小さい顔が現れるようになっているけど、それぞれに全て魔法紋が使われていて、それを連動させることで、一連の作業を魔道具が行っているのよ」


 エリスリーンに説明されてもシュレイノリアは、スクロールから視線を離さずに描かれている魔法紋を一つ一つ確認するように見ていた。


「ギルドには、本部や各支部をつなぐ通信装置なら画像も音声も送る事ができるから移動せずに話ができるのよ。それを応用してギルドに冒険者が登録する時に本部に画像を送って、カードと本人の確認を行えるようにしてあるわ」


 それでも、シュレイノリアはエリスリーンを見ることもなく、話を聞きつつ手に持ったスクロールを見ていた。


 流石に、エリスリーンもシュレイノリアの態度が気になる様子で表情を確認した。


「ねえ、そのスクロールなんだけど、そんなに見てどうかしたの?」


「ああ、このスクロールが使えないと言ったが、何で使えないのか気になって見ている」


 エリスリーンは答えを聞いて、シュレイノリアに理解できるわけがないと思ったようだが、その真剣な表情が気になったようだ。


 エリスリーンは、身体を前に倒してシュレイノリアの方に近寄った。


「お前は、このスクロールに描かれている内容が理解できるのか?」


 冗談半分に声をかけたつもりのようだが、シュレイノリアの真剣さは変わらなかった。


「ああ、だいたいわかる。これは、ギルドの図書館にあったものと同じだ。途中の文字が一文字抜けている。魔法紋は、一般の魔法と違って、描かれた内容がはっきりしてないと、まともに動作しない。この魔法紋にはバグがあるから動作しない」


 シュレイノリアは、このスクロールが何で動作しないのか確認が取れたようだ。


 そして、その問題の抜けている一文字の部分を指摘するように指で示してみせた。


「魔法は、自分のイメージを魔素に乗せて発動させるから、頭の中での構築だけだが、魔法紋は、一文字でも違っていたら成立しない。だから、このスクロールは、その一文字が抜けていることで発動しない」


 シュレイノリアの説明に、エリスリーンは驚いていた。


 そして、シュレイノリアの指摘は正しかったので、正確に魔法紋の不具合を指摘した事に驚いていた。


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