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エルメアーナが学校に行かなくなった理由


 エルメアーナは、目の前のカインクムとフィルランカの行為を見て、昔の忘れ掛けていた事を思い出していた。


 それは、思い出したくない記憶であり、今まで封印して、誰にも話したことのない記憶なのだが、目の前のカインクムとフィルランカを見て、その思い出したくない記憶が蘇ってきていた。


 それは、学校に行けなくなった、その原因となる出来事だったのだ。




 その記憶とは、子供のエルメアーナには、おぞましい行為として目に焼き付いてしまったのだ。


 学校に通っていた当時、それは、エルメアーナが、学校を最後に行った日のことになる。


 その日のエルメアーナは、登板だった。


 いつもなら、何も無い当番だったのだが、その日は、誰かが、悪戯したのか、間違ってしまったのかは不明だが、当番の仕事が思ったように進まなくて、時間がいつも以上にかかってしまい、学校には、誰も、生徒が残っていなかった。


 そんな日に、エルメアーナの不登校になる原因が起きたのだ。


 当番で遅くなってしまったエルメアーナは、自分のクラスの担任である、学校で祐逸の女子教師を探していた。


 トラブルによって、いつもより時間がかかってしまい、全校生徒が下校してしまった後に、当番が終った報告と、下校の挨拶のために、その女性教師を探していたときに起こった。


 報告に行った職員室には、誰も居ないのを不思議に思って、校内を探すが、見つからないし、他の男性教師も居なかった。


 校舎を何気に探してみると、校舎の奥、生徒が行く事の無い、倉庫の方から、何やら、うめき声のようなものが聞こえてきたのだ。


 エルメアーナには、それが、女性の声に思えた。


 不思議に思ったエルメアーナは、その声の方に向かうと、そのうめき声は、徐々に大きくなってきた。


 そして、その声に聞き覚えがあった。


 声のしてくる、倉庫には、いつも外に取付けられた鍵と、ドアの鍵で二重にロックされるようになった倉庫が有るのだが、そこのドアの外鍵が外れている事に気がついた。


 そして、ドアの向こうから、声が聞こえてくるのだ。


 その、おぞましいようなうめき声に、エルメアーナは恐怖を覚えていた。


 エルメアーナは、ドアの鍵穴から、中の様子を、恐る恐る覗いてみる事にした。




 鍵穴を覗いてみると、その中には、女性教師が居た。


 その女性教師は、靴と靴下を履いただけの姿で、いつの着ているワンピースは、床に脱ぎ捨ててあった。


 裸の女性教師は、裸の男性教師の腰にまたがり、男性教師の両肩の脇に手をついていた。


 そして、もう1人の裸の男性教師が、その女性教師の腰に自分の腰を、突き出すようにして、押し当てて、前後に動かしていたのだ。


 女性教師に、またがられている男性教師は、肘を立てると、女性教師の胸に顔を埋めて、顎を突き出すようにして、舌を胸に絡めていた。


 後ろから腰を突き出すようにして動かしていた男性教師は、一瞬、体をのけぞらせると、後ろから腕を回した。


 そして、呼吸を整えるようにして、女性教師の顔の横に自分の顔を持っていくと、女性教師は、男性教師に艶かしいキスを、ゆっくりとした。


 すっかり楽しんだといった様子で、男性教師は、女性教師から腰を引き抜くと、その場から離れた。


 すると、別の男性教師が、女性教師の後ろに来ると、腰を落として、女性教師の腰にゆっくりと自分の腰を押し当てる。


 その時、男性教師の腰の動きに合わせて、女性教師は、艶かしい声をあげていた。




 その光景をエルメアーナは、鍵穴から覗いてしまったのだ。


 エルメアーナは息を呑んだ。


 いつも笑顔で接してくれて、怒った顔など見た事も無い、若くて美人で、女子生徒からも男子生徒からも、好かれている姿からは、想像もつかない淫らな姿だった。


 エルメアーナは、口に手を当てて、声を出さないようにして、そこから、ゆっくりと後ずさると、音を立てないようにして、その場を去っていく。


 ショッキングな事を目にしてしまい、校舎を出るときは、涙を流していた。


 その涙は止まる事が無い。


 逃げるようにして、学校を出て、家に帰り、何も告げずに部屋に籠ってしまった。


 夕飯も取らずにその晩は、部屋の隅で泣いて過ごし、そのまま寝てしまっていた。


 そして、体の痛みで目が覚めると、昨日と同じ部屋の隅で蹲るように寝ていたので、体が痛くなったようだ。


 それと、極度の喉の渇きに襲われ、台所の水を飲みにいく。




 リビングに入ると、そこには、カインクムがいた。


 カインクムは、心配そうにエルメアーナをみると、声をかけてきた。


「昨日、フィルランカが来たけど、お前が部屋から出てこなかったから帰っていったぞ。 今度、会ったら謝っておくんだぞ」


 それに対して、エルメアーナは気のない返事をするだけだった。


 そして、その日は、体調が悪いから、学校は休むと言って、また、自分の部屋に籠ってしまったのだ。




 それは、翌日も翌々日も続く。


 数日続いた後、カインクムは、エルメアーナに、学校に行かない理由を尋ねるが、エルメアーナは答える事は無かった。


 エルメアーナの登校拒否は、その日から始まり、そして、家からも出ることは、ほとんどなくなってしまい、その事を紛らわすため、エルメアーナは、今までも時々、父であるカインクムから教わっていた鍛治に集中し始めた。


 そんなエルメアーナに、男親であるカインクムは、どう接したら良いのか困っていた。


 母親が生きていたら、母親から訳を聞いてもらうこともできたのだが、父親であるカインクムには、そんな上手な話術もなく、学校に行かない理由を聞いても、お互いに、黙ってしまうだけになってしまったので、カインクムは、エルメアーナに、それ以上、聞くことができなかったのだ。


 そんな時、毎日、エルメアーナから、学校の授業の内容を聞いていたフィルランカを見て、カインクムは、フィルランカを養女にする事を思いつくのだった。




 しかし、10歳のエルメアーナにとって、その時の衝撃は、とんでもないものだった。


 そして、その衝撃の事が、カインクムの部屋のベットの上で、カインクムとフィルランカによって、行われていたのだ。


 エルメアーナは、行為の最中ではないものの、明らかに、そんな事を行ったと思われる状況を見てしまったのだ。


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