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ギルドへの登録 6


 シュレイノリアは、ギルドへの登録を済ませた際も、メイリルダが魔道具を使う様子をジーッと覗いていた。


 メイリルダが、魔道具を操作している間、片時も目を離さず、その魔道具の様子を確認する姿は、わずかでも目を離したら大事なものを見逃してしまうのではないか、絶対に見逃さないというように鋭い目で覗いていた。


 それは、8歳の少女の目ではなく、長年、装置のようなものを開発する技術者のような目で、メイリルダが操作する魔道具に向けられていた。


 その様子をメイリルダは困ったように見ていた。


「あのー、シュレ。その水晶を見てもらいたいのだけど」


 シュレイノリアは、今まで水晶ではなく、メイリルダが操作する魔道具を見ていたので、ギルドへの登録が出来ずにいた。


 その魔道具は、水晶を見られることで発動するのだが、通常ならばカウンターを挟んで対峙する事になるので、カウンターの下に設置されている魔道具を冒険者に見られることはないが、シュレイノリアとジューネスティーンが、転移して間もない子供だったとこもありカウンターの中で作業を行なっていた。


 また、カウンターの外に2人だけで出す訳にもいかなかったこともあって、メイリルダ達、受付嬢達が座る側でギルドへの登録を行った事から、全て2人に見られていた。


 そんな中、シュレイノリアは魔道具に興味を持ち、根掘り葉掘り聞いてきて、そして、その操作をジーッと確認していた。


 そのため、水晶に視線を送ることはせず、水晶の前に立って魔道具の操作を眺めていたことでギルドへの登録ができずにいた。


「シュレ。とりあえず、水晶を見て見るといい。水晶の方にも何か発見があるかもしれないよ」


 シュレイノリアが、魔道具の方に興味を注がれていて一向に水晶を見ようとしなかったので、ジューネスティーンが、メイリルダをフォローするように促してくれた。


 すると、シュレイノリアは仕方なさそうに水晶に視線を送った。


「ん? う、うぉーっ!」


 シュレイノリアは水晶を見ると奇声を上げ、顔を近づけて水晶を凝視した。


 メイリルダは、今のうちだと思った様子で、ギルドへの登録を行い完了させると魔道具のスイッチを切った。


「終わったわよ。シュレ」


 すると、今度は、水晶に興味がいってしまい、両手で水晶に触れると奥の方に何があるのかと探るように見ていた。


 その様子を見て、メイリルダは困ったような表情をした。


「シュレ、その水晶には、あまり、触ってほしくないのだけど」


 それでも、シュレイノリアは水晶を両手で持って顔を近付けて中をジーッと覗き込んでいた。


 メイリルダは、困った表情でジューネスティーンを見ると、シュレイノリアの脇に両手を入れて引き離しにかかった。


 身体が、引き剥がされようとするのだが、顔は水晶の中を覗き込むようになっており、それでも引き剥がされているので、顔が水晶から離れて両手だけが水晶を持つように触れていた。


 そのまま引き剥がされて、手が伸び切った状態になると、シュレイノリアは、水晶を持ち上げようと力を入れただが、メイリルダが慌てて水晶を押さえてしまった。


 シュレイノリアは、名残惜しそうに水晶を見ていた。


 手が離れてしまうと、後ろに居たジューネスティーンを恨めしそうに見た。


「ジュネス。あの水晶はなんなんだ。さっき、何かを吸い取られるような感覚があった。あの水晶は、今、何をしたんだ」


 それを周囲の受付嬢達が聞いていたのだが、何の事なのか全く理解できないといった表情をしてシュレイノリアを見ていた。


「そうだね。何か、吸い取られるような感覚はあったよ。でも、目には見えなかったから、気のせいかもしれないよ」


 ジューネスティーンがシュレイノリアを宥めるように言うのだが、シュレイノリアは納得するような様子はない。


「いや、何かを吸い取っていった。私の目にも見えなかったが、この水晶は、私の何かを吸い取った! だから、何を吸い取ったのか確認したいんだ!」


 それには、ジューネスティーンも困ったような表情をした。


 ジューネスティーンにも、シュレイノリアの言っていたような感覚はあったようだが、気のせいかもしれないという、わずかな感覚だったようだが、シュレイノリアには、確実に何かを吸い取られたと感じたようだ。


 だが、そんな事を言った冒険者は居なかったのか、メイリルダも周りの受付嬢達も不思議そうにシュレイノリアを見ていた。


「どうしたんだ? 何を騒いでいるんだ?」


 そこに、ギルドマスターのエリスリーンと、先程エリスリーンにアポイントを取りに行った受付嬢が入ってきた。


 シュレイノリアが、何かを主張するように言っているのを聞いて声をかけたのだった。


 2人の様子をエリスリーンは、何事かという表情で見たが、周囲の受付嬢達は、驚いたような表情でエリスリーンを見ていた。


 それは、ギルドマスターのエリスリーンが、ギルドの受付に顔を出したことにある。


 ギルドの支部の頂点である、ギルドマスターのエリスリーンが受付に顔を出した事に驚いたようだ。


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