表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

756/1356

宴が終わった後


 卒業式の後、カインクム達とスツ家、ナキツ家の面々は、レストランでフィルランカ、モカリナ、イルーミクの3人を祝った。


 そこには、リズディアが、連れてきたツ・リンウイ・イヨリオンも居た。


 イヨリオンは、リズディアの腹違いの弟であり、皇帝の五男であるが、母親が、ただの、帝国臣民だったこともあり、皇位継承権は、リズディアより前、イヨリオンが物心ついた頃に放棄していた。


 フィルランカ、モカリナ、イルーミクが、帝国大学に入学してから、リズディアも、イスカミューレン商会から帝国大学への資金援助もあり、また、交流が広がったこともあり、リズディアが誘って、3人の少女をイヨリオンに紹介していたのだ。


 そんな中、カインクムを含めた男達は、3人の娘達の卒業が嬉しくて、酒量がいつもより多くなっていた。




 カインクムは、フィルランカが、帝国大学を卒業するにしても、ギリギリで構わないと思っていたのだが、そんな中、フィルランカは、大学に残らないかと言われるほどに成績を伸ばしていた。


 それが、カインクムには、嬉しかったのだ。


 ナキツ家としても、四女のモカリナともなったら、兄や姉達ほど、手を掛けていなかったので、成績は期待してなかったのだが、フィルランカと一緒に学校生活をするうちに、モカリナも成績を伸ばしていた。


 ナキツ家としたら、期待していなかったモカリナが、高等学校は、飛び級で、しかも成績も上位で卒業した。


 一般的な飛び級の生徒は、1学年と3学年の授業を通常授業として受けて、2学年の授業を2年に分けて、1学年と3学年の通常授業を受けた後に、補修授業を受けていた。


 そのため、飛び級で2年間の生徒より、3年間、真面目に授業を受けた人の方が、成績が良いと言われていた。


 だが、フィルランカは、次席で卒業し、そして、モカリナもフィルランカを超える事はなかったが、飛び級の生徒としては、上位の成績を残した。


 それには、一つ上の学年だったイルーミクの存在が大きかった。


 フィルランカとモカリナが、1学年の時は、2学年時に教わる内容の授業に苦しんでいた。


 1学年の後半に教わる内容を知らずに、2学年の初めの授業を、最初から受けていたのだ。


 知らない内容が多く、その辺りを調べるなり、先生に教わるなりしていた。


 それが、学年が上がると、3学年のイルーミクに出会えたことで、イルーミクから、説明を受ける事ができた。


 イルーミクとしても、フィルランカとモカリナの質問に答える中、自分の知らない内容が出てくるたびに、その内容を調べたり、3人で先生に聞きに行ったりすることで、3学年に上がった当初は、帝国大学の一般入試で受かるかどうか微妙な状況だったが、2人と一緒に勉強することで、復習する時間が増えた。


 そのことで、イルーミクも、一気に成績を上げた。


 そして、3人の勉強会は、帝国大学に入った後も続き、3人は、成績上位になった。




 大学入学時にリズディアは、3人を大学で研究員として残り、今では、講師として大学で教鞭をとっていたイヨリオンに合わせている。


 イヨリオンは、リズディアに返しきれない恩があると思っている。


 そんなリズディアが、連れてきた3人の少女たちには、リズディアに受けた恩を返すつもりで接してくれたので、大学時代の3人は、勉強で困った際は、イヨリオンに聞きに行っていた。


 そして、専門外の部分については、専門の教授に口を聞いてくれて、時間をとってもらうこともしていた。


 そんな事もあり、卒業祝いの席には、イヨリオンも出席して、3人に祝辞を述べていた。


 だが、カインクムを含めた、ナキツ家とスツ家の男子達が、イヨリオンも連れて、男達だけで、大宴会を始めてしまった。


 どの家も、3人の娘達が、優秀な成績で帝国大学を卒業したことが嬉しかったので、酒量も増えてしまっていた。


 最終的に、その大宴会に参加していた男達は、翌々日まで、酒が抜けることは無かったようだ。




 カインクムも、卒業式の翌日は、部屋からほとんど出ることは無かった。


 フィルランカは、帝国大学を卒業した。


 そして、卒業式の後に、3人の祝宴を用意してもらい、美味しいご飯を食べさせてもらえた。


 そして、始めて、お酒を飲ませてもらったが、一口飲んで、終わりにしていた。


 フィルランカには、まだ、お酒は、早すぎたのか、口には合わなかったようだった。


 ただ、モカリナもイルーミクも、それなりに飲んでいたが、男達のように、湯水のように飲むような事は無かった。


 2人は、リズディアを含めた女性達と節度を持った飲み方をしていたので、宴の終わりの頃は、ほろ酔い気分で馬車に乗っていた。




 フィルランカもエルメアーナも、お酒は、口につけた程度で終わらせていたので、翌日も寝込むこともなく、いつも通りに過ごしていた。


 エルメアーナは、工房に入って、鍛治を行い、フィルランカは、学校が長期休暇になった時と同様に、店に出ていた。


 そして、店の中に展示してある武器や防具、そして、農具やら家庭用のものを手に取っては、埃を払って、布で擦って綺麗にしていった。


 フィルランカは、これからは、こうやって、店で過ごして、時間になったら、食事の用意をすることになると思うと、それを食べる、カインクムとエルメアーナのことを考えていた。


 これから先は、カインクムに夫婦として認めさせる事を、じっくりと考えていくことにしようと思っていたのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ