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フィルランカ


 フィルランカは、カインクムに告白した後、自分の部屋に戻って、ベットに飛び込んでいた。


 フィルランカは、歳の差を理由に言われた事と、約束を破ることは、良くない事だと言われていたので、カインクムが自分との約束は、破られるために行ったような事を言ったので、更に面白く無かった。


(なんで、カインクムさんは、あんな事を言ったのかしら? 私は、この家に来るのは、カインクムさんのお嫁さんになるためだったのよ。 10年経って、私にその気があったら、もらってくれるって言ったのに、……。 私が、カインクムさん以外の人を好きになるなんて、あるわけないでしょ)


 フィルランカは、少しムッとしたような表情をした。


(だけど、どうしよう。 これから、私は、どうしたらいいのかしら? カインクムさんに10年後にお嫁さんにしてもらうことは、ダメになってしまったわ)


 孤児院との話し合いの際に、カインクムは、フィルランカが10年後もカインクムの嫁になりたいと思っていたのなら、貰ってくれると約束してくれたのだ。


 それを子供の戯言に突き合ったようなつもりで、約束をしたのだと言ったのだ。


 フィルランカとしたら、最初から、嫁に入ったつもりなのだが、フィルランカの年齢が10歳だったこともあって、正式な嫁になるのは、10年後の20歳になってからだと思っていたのだ。


 そのため、フィルランカは、他の男に興味を示すことは無かった。


 カインクムの嫁と思って、今まで生活していたのだ。


 それが、カインクムには、嫁にする意思は無かったような言い方に、腹が立っていた。


(なんでなの、今までの私の気持ちをなんだと思っているのよ)


 そして、フィルランカは、考えていた。


(そうよ。 カインクムさんは、言ったわ。 私が、大学生の間は、結婚できないと言ったわ。 ……。 それは、大学を卒業したらとなっていたのよ。 そうよ、私が、大学を卒業するまで、時間が延びただけなのよ)


 フィルランカは、何か思うような表情をした。


(そうよ。 それまで、徹底的に勉強して、カインクムさんのお店をもっと大きくするために、もっと、もっと、勉強しておく事にするわ。 そうよね。 とても優秀になったら、カインクムさんだって、私の能力が、きっと、必要だと思うはずよ。 ……。 だから、そうよ。 私は、大学の勉強を、もっと、もっと、頑張って、カインクムさんが、私を外に出すのが、勿体無いと思わせてあげるわ)


 フィルランカは、ベットから上体を起こすと、何かを閃いたような表情をしていた。


(そうよ。 嘘をついたカインクムさんには、お仕置きが必要だわ。 そうだわ。 これからは、もっと、勉強をするだけじゃなくて、いつも以上に、普通に接するのよ。 何かで、聞いたことがあるわ。 好きな人が、あまりに普通すぎると、心配になる。 そうよ、私は、普通に接することで、カインクムさんに不安にさせるのよ)


 フィルランカは、カインクムも自分の事が好きだという前提で、物事を考えているようだ。


 そして、決心したような態度をベットの上で行った。




 翌朝からのフィルランカの対応は、告白した事は無かったような様子で、振る舞っていた。


 そして、今まで通りにカインクムと接していた。


 ただ、言葉数は、フィルランカも無意識のうちに、今まで以上に増えていたが、フィルランカは、そんな事には、気付いてはいなかった。




 フィルランカの決意によって、大学内では、モカリナとイルーミクを巻き込んで、空いた時間を使って、勉強を始めていた。


 特に、昼は、食べ終わった後に3人で、復習をすることで、3人の学力が上がっていった。


 時々、フィルランカに時間がある時は、放課後も使って、復習したり、予習したりすることで、3人とも成績を上げていたのだ。


 そして、フィルランカには、憶測から、様々な噂が流れていたので、積極的に近付こうとする人は少なかったので、その分、勉強に時間を割くことができたようだ。


 フィルランカとしたら、勉強する時間が増え、モカリナとイルーミクとしたら、フィルランカに変な虫が付かないこともあり、そして、2人とも、フィルランカにつられて、順位も上がったので、お互いにメリットが、大きかったのだ。


 そんな事で、3人は、大学でも優秀な3才女と注目されていたのだが、リズディアの庇護下にあると思われていたので、下手に手出しをする学生は、居なかった。


 そして、イヨリオンとも接触するようになって、余計に、フィルランカ、リズディア、イルーミクの3人には、手を出すような気配も無くなったのだ。


 そんな事もあり、フィルランカは、順調(?)に、大学生活を過ごした。


 そして、フィルランカたち3人は、首席と次席は、逃したもののの、上位一桁以内の成績を維持していた。


 それは、フィルランカが、高等学校の時以上に、勉強に励んでいた事で、2人がそれにつられていたことで、起こった現象なのだ。


 モカリナも、イルーミクも、その事に気がついているので、卒業後は、3人で仕事をしたいとも思っていた。


 それは、リズディアの思惑もあるので、モカリナもイルーミクも、リズディアの思惑に乗っていた。


 ただ、フィルランカは、一向にカインクムの店に入ると頑なに、リズディアの誘いを断っていたのだ。


 それは、フィルランカは、10歳の時から、カインクムの嫁になるために、家に入っていたと思っていたので、他からの誘いは全て断っていたのだ。


 ただ、フィルランカの真意は、誰も知ることは無かったので、フィルランカの行動原理の根幹を知るものは、誰もいなかったのだ。


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