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ジュエルイアンとヒュェルリーン 2


 ジュエルイアンは、ヒュェルリーンの、セクハラまがいの発言に困った表情をしていた。


 それに引き換え、ヒュェルリーンは、言いたかったことを言えて、スッキリしたのか、とても、嬉しそうである。


「ヒェル。 俺の女達のことは、おいおい、決めていくから、少し待て」


「はい。 私もジュエルイアンの奥様達と一緒に、楽しませてもらいますから、首を長くして待ってますわ」


 ヒュェルリーンは、嬉しそうに答えたが、ジュエルイアンは、信じられなそうに、その答えを聞いていた。


 すると、ジュエルイアンは、咳払いをした。


「ああー、あのなぁ、今回の帰国は、王都には寄らずに、始まりの村に行くからな」


 ジュエルイアンは、王都に行かないと言ったのは、遠回しに家には、まだ、帰らないと言ったのだ。


 ジュエルイアンは、ヒュェルリーンの言動に、さすがに、恥ずかしかったようだ。


 それを誤魔化すように、直接、始まりの村に行くと言ったのだ。


「はぁ、始まりの村ですか。 転移者の件ですね」


 ヒュェルリーンは、少し残念そうに答えたが、徐々に、様子が変わっていくのを感じていた。


「ああ」


 ジュエルイアンは、答えると、ヒュェルリーンの反応が、いつもの仕事モードになったことで、ホッとしたようだ。


「今回の転移者なんだが、何だか、フルメタルアーマーを改造しているらしい。 それが、肘と膝に関節をつけているとか言ってたんだ」


「……」


 ヒュェルリーンは、今の話の中に、ジュエルイアンが、何で引っかかったのか、よく分からない様子で、ジュエルイアンの次の言葉を待つようにしていた。


「今度の転移者も、物が作れる。 ジェスティエンのように銃を作れるかは、分からないが、物が作れる転移者なら、似たような物が作れるかもしれない。 万一、火薬を作れるなら、万々歳だ」


(ああ、ジェスティエンは、ギルド本部のお抱えだから、銃も火薬も、商会お抱えの工房で作ることができないから、今度の転移者は、おさえておきたいってことなのね。 火薬については、ギルド本部で作っているらしいけど、販売される気配は、全く無さそうだから、今度の、転移者は、おさえておきたいと、ジュエルイアンは、思っているのね)


 ジュエルイアンの言葉に、ヒュェルリーンは、考えを巡らせていたようだ。


「でも、火薬なんて、そんなに簡単にできるのかしら?」


「ああ、火薬の製法は、今度の転移者が作れるとは思えない。 多分、無理だろうな」


「それは、何で?」


 さっきは、火薬が作れたらと期待をしていたのに、今度は、出来ないだろうと否定したので、ヒュェルリーンは、ジュエルイアンが、何で、そんな事を言ったのか気になったようだ。


「ああ、今までの転移者の記録を見たが、何か、新しい技術を持った転移者は、稀な話なんだ。 ジェスティエンの前に、2回、転移者が現れて、保護されたが、何かを作れるような連中じゃなかったようだ」


 ヒュェルリーンは、自分の知らない内容を、ジュエルイアンが、調査して内容を把握していたことに感心したようだ。


「あら、そんな事まで、調べていたの」


 ただ、ジュエルイアンの事は、女性関係の事まで、しっかり把握しているので、ジュエルイアンの事は、何でも知っていると思っていたのだが、自分の知らない情報を知っていた事が、ヒュェルリーンには、少し、面白くない様子だったが、表情に出るほどではなかったようだ。


「ああ、ウサギの亜人の少女と、その前には、子供のエルフの男女だったみたいだぞ」


 何気に、ジュエルイアンは、答えてしまったのだが、エルフの男女と言った後に、しまったという表情をした。


「えっ! 男性エルフが、転移してきたのですか?」


 ヒュェルリーンが、食いついた。


「まぁ、珍しいですね」


 それをジュエルイアンは、やっぱりなといった表情をしたが、ヒュェルリーンは、ニヤニヤし始めた。


「まあ、そのエルフ達が転移してきたのは、26年前だからな、まだ、36歳だぞ」


 それを聞いて、ヒュェルリーンは、がっかりした。


「まだ、子供でしたか」


 エルフの36歳なら、人の14歳程度であることを考えたら、ヒュェルリーンは、ため息を吐いた。


 そのガッカリした様子を、ジュエルイアンは、面白くなさそうに見る。


(何で、がっかりすると聞いたら、絶対、子種だけもらおうとするだろうからな。 俺の女達の数からしたら、ヒェルに、若いツバメの1人位、許せって迫るだろうなぁ)


 ジュエルイアンは、黙ったまま、ヒュェルリーンを見ていた。


 その若いエルフについて、ジュエルイアンは、下手にヒュェルリーンに話をする気は無いようだ。


「その3人には、ジェスティエン程の才能は、見出せなかったみたいだからな。 エルフ達と、そのウサギの亜人も、始まりの村を出て、金を稼いでいるみたいだ。 3人とも、南の王国にあるギルドの高等学校を目指しているらしい」


「ああ、その3人は、冒険者として生きていく予定なのですね」


 その様子を見たジュエルイアンは、エルフの男子の事を言わなくなったので、ホッとしたようだが、それを、ジュエルイアンは表に出さないようにしていたようだ。


「そうみたいだな。 だから、転移者だからといって、新たな技術を生み出せるとは限らないんだ。 だから、今回の2人は貴重なんだよ」


 それを聞いて、ヒュェルリーンは、何か引っかかるような表情をした。


「あら、物を作れそうなのは、1人じゃないの?」


「ああ、もう1人の方の魔法が気になるんだ。 報告を聞いただけだが、どうも、今までの魔法とは違うように思えるんだ。 それも、早めに確認しておきたい」


 ジュエルイアンには、もう、浮ついた様子は全く無い。


 その表情を見たヒュェルリーンも、ジュエルイアンに合わせるように、エルフの男子の事は、眼中にないようだ。


「男の子は、物作りが、出来そうだ。 それに、2人は、ジェスティエンと接触したようだ」


「本当ですか?」


 偶然とは言え、新たな転移者が、以前に現れた転移者に出会うなんて話しは、稀な事なのだ。


 現に、以前のウサギの亜人とエルフの男女は、ジェスティエンと出会ってない。


 現れた時期が近い、ウサギの亜人とも接触はしてなかったのだ。


 そう考えると、二日続けて転移者が現れるというのは、初めての事なのだ。


 そして、ジュエルイアンには、その2人に何か、予感のようなものを感じているのだった。


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