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転移者の話を聞くジュエルイアン


 ジュエルイアンは、ギルドを出た後、周囲の建物の視察を行い、30分弱を過ごすと、ギルドに戻った。


 ギルドの受付嬢である、サレンカレンが、30分後と言っていたので、通信装置を操作する時間も含めて、少し早めにジュエルイアンは、戻ってきた。


 ギルドの玄関扉を開けると、ロビーの奥に受付カウンターが用意されており、冒険者と依頼のやり取り、魔物のコアの買取など、様々なやりとりを行えるようにしている。


 まだ、受付嬢の人図も揃っていない様子で、カウンターの中には、サレンカレンが、ただ1人だけ、開設の準備をおこなっていた。


 ギルドの玄関扉を開けると、サレンカレンは、行っていた作業を終わらせ、ジュエルイアンを見ると、挨拶をした。


「すみません。 まだ、南の王国のギルドから、連絡が届いておりません。 もう、そろそろ、連絡が届く頃だと思います」


「ああ、分かっている。 約束の時間には、早めに来るようにしているのだ。 気にしなくて構わない」


 そんな話をしていると、呼び鈴が鳴った。


「あ、今、南の王国から連絡が入ったみたいです。 確認してきますので、少々、お待ちください」


 サレンカレンは、通信を確認するためにカウンターを出て、廊下の奥の方に移動していった。


 すると、直ぐに、サレンカレンは、戻ってきた。


 通常だと、南の王国の下請けが、ジュエルイアン商会に移動して、ジュエルイアン商会の誰かが、ギルドの通信装置の小部屋まで、移動して、使う時間を指定する。


 そして、指定した時間に、話をしたい相手とお互いに、遠い場所のギルドの通信装置の小部屋に入って、話をする事になる。


 ジュエルイアンは、相手である、南の王国のジュエルイアン商会のスリンエル・ナラカオ・バルキンガルが、南の王国の通信装置の小部屋に入れる時間を確認しにきたのだ。


「ジュエルイアンさん。 バルキンガル様が、通信装置に出ております。 こちらに来ていただけれは、直ぐに、お話ができます」


 サレンカレンは、小部屋から出て、廊下に出ると、ジュエルイアンに話しかけた。


「わかった。 今、直ぐ行くよ」


 ジュエルイアンは、サレンカレンの待っている場所に行くと、小部屋の中に入るように促した。


 中には、鏡が置いてあり、そこには、スリンエルが、映っており、ジュエルイアンを確認すると、お辞儀をしていた。


「それでは、私は、受付の方におりますので、お話が終わりましたら、連絡ください」


「ああ、ありがとう」


 サレンカレンは、通信装置の小部屋の扉を閉めてくれた。




 小部屋にジュエルイアン1人になる。


 先の方にある机の上に置かれた鏡には、南の王国にいるはずのスリンエルが写っていた。


 ジュエルイアンは、通信装置の前の椅子に腰掛けると鏡に向かって話しかけた。


「おお、スリンエル。 早かったな」


「当たり前です。 ジュエルイアン様からの連絡ですから、連絡員と一緒に、移動しました」


 スリンエルは、当たり前のように、ジュエルイアンの通信だと聞いて、直ぐに移動した。


 トップの命令を受けるためなので、商会の方針を決める重要な命令もある。


 スリンエルは、話を聞いて直ぐに移動をしたのだ。


 ジュエルイアンは、安心した表情を浮かべた。


「いや、特に変わったことはないのだが、新たに転移してきた連中は、どうなっている」


「ああ、始まりの村の話ですか」


 スリンエルは、何か、仕事に対する変更の指示があったのかと思っていたようだ。


 ジュエルイアンが、始まりの村の転移者の話をしたので、少しホッとした様子をする。


「ああ、最近は、男の子の方は、フルメタルアーマーに関節を持たせるとかって、膝とか、肘に蝶番をつけてました。 後、女の子の方は、何やら、魔法を勉強しているみたいです。 暇さえあれば、始まりの村の図書館に入って、何かを読んでいるようです」


 ジュエルイアンは、その話を聞いて、何か考えるような表情をした。


「うーん、女の子は、図書館を使っているのか。 よく、あのギルドマスターが、図書館の閲覧を許したな」


 ジュエルイアンは、そのギルドマスターを知っている様子で話をした。


「ええ、ギルドマスターによると、彼女は、魔法の能力が非常に高いと言ってました。 それに、魔法について、独自解釈をしていると言ってましたね。 何だか、魔法の天才かもしれませんよ」


(魔法の天才。 独自の解釈? 魔法は、適正に応じた魔法を呪文を使ったり、魔法紋を描いたりして使うはずだが、独自の解釈をするとは、どういうことなのだ? ……。 まあ、魔法は、使える人が少ないからな。 魔法が使える転移者は、ギルドにとっても、ありがたいのかもしれないな)


 ジュエルイアンが、何かを考えているようだったので、スリンエルは、更に自分の記憶を甦らせていた。


 そして、ひらめくと、直ぐに言葉にした。


「ああ、それに、あの2人、両方とも魔法が使えるみたいですよ」


 ジュエルイアンは、眉をピクリと動かした。


(おい、魔法を使える転移者が、一度に2人も? 二日続けて転移者が現れるなんて、珍しい事があったのに、その2人とも魔法が使えるのか。 ……。 いや、逆に二日続けてだったから、魔法が使える転移者だったのかもしれないが、これは、転移者の事について、専門家の見解を聞きたいな)


 そこまで、考えていたジュエルイアンは、ふと、何か、思いついた様子をする。


「なあ、女の子は、魔法が得意そうだというのは分かった。 男の子の方は、フルメタルアーマーに蝶番をつけていると言ったか?」


 ジュエルイアンは、先ほどの話を思い出すように言った。


「ええ、何でも、筋力強化の魔法が強すぎるとかで、関節が痛いとかで、外側に関節の強化用の蝶番をつけたとからしいです。 でも、使える関節は、肘と膝だけだから、腰や足首とかも、フルメタルアーマーで強化したいとか言ってました。 だけど、腰とか、足首って、色んな方向に動くじゃないですか。 周りからは、馬鹿な事を言う転移者だって言われてましたよ」


 ジュエルイアンは、聞いていて、荒唐無稽だと思ったのか、あまり、興味を持った様子もなく、ただ、聞いていた。


「ああ、そうだな。 足首に腰か。 それを肘や膝に付けた蝶番のように強度を持たせたいと言うのか。 そりゃ、確かに、その部分を強化できるなら、具合がいいだろうな」


 ジュエルイアンは、スリンエルの話が終わると、相槌を打つように答えた。


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