入学式を祝う、リズディアとヒュェルリーン?
フィルランカとエルメアーナは、カインクムと3人で居たのだが、ジュエルイアンとヒュェルリーン達に出会うと、ヒュェルリーンが、2人を引き離すように移動させるので、一緒に少し離れた。
ジュエルイアンとカインクムから少し話すようにヒュェルリーンが、引き離したようだ。
(ヒュェルリーンさん、何で、私達をカインクムさんから引き離すのかしら? ……。 そうよね。 きっと、男の人同士での話が、何かあるのよね。 きっと、お仕事の話だから、私達が居ない方が話しやすいのよね)
フィルランカは、1人で納得したような表情をしている。
「フィルランカ!」
「あ、モカリナさんよ。 モカリナさんも、飛び級だから、フィルランカと一緒なのね」
ヒュェルリーンは、確認するように、フィルランカに話しかけた。
フィルランカ達3人とモカリナは、お互いに近寄っていった。
「モカリナ様、ご入学、おめでとうございます」
直ぐに、ヒュェルリーンが、モカリナに祝辞を述べた。
それをモカリナは、嬉しそうなのだが、少し、恥ずかしそうにした。
「ありがとうございます。 でも、私もフィルランカ達と同じで、モカリナと読んでいただけると嬉しいです。 今まで、気になっていたので、これを機会に、私の事も、フィルランカやエルメアーナと同じにモカリナと読んでくださると、嬉しいのですけど」
モカリナは、ヒュェルリーンに答えた。
ヒュェルリーンは、少し驚いたような表情をしたが、すぐに笑顔をモカリナに向けた。
「分かったわ。 じゃあ、これからは、モカリナと呼ばせてもらうわね。 それと、私の事は、ヒェルと呼んでください。 今まで、リズが、気になって、呼び方まで、お話しできなかったわね」
「あ、ありがとうございます。 ヒェ、ヒェル」
モカリナは、顔を赤くして、答えた。
モカリナとしたら、帝国貴族なので、亜人に対する態度は、一線を置く必要があったのだが、この1年で、リズディアを通じて、エルフのヒュェルリーンと面識を持つようになり、そして、整った顔立ちの多いエルフであって、なおかつ、100歳前後のエルフは、一番綺麗な時期だということもあり、同性であっても、とても魅力的だったのだ。
ただ、今まで、ヒュェルリーンは、リズディアとセットで会っていたので、なかなか、2人だけで話をする機会を、リズディアが、作らせてはくれなかったのだ。
モカリナは、この機会に、ヒュェルリーンとの距離も近いものにしたかったようだ。
今まで、リズディア、エルメアーナとの縁が深かった、ヒュェルリーンなのだが、エルメアーナと一緒に住むフィルランカも距離が近くなっていたので、モカリナは、若干の疎外感を感じていたのだ。
フィルランカもヒュェルリーンとの距離を近づけていたので、モカリナも、できれば、ヒュェルリーンと距離を近づけたいと思っていたのだ。
それが、今、ヒュェルリーンと、お互いに愛称呼びをできるようになったことが嬉しそうであった。
「ちょっと、ヒェル。 なんで、モカリナが、恥ずかしそうにしているのよ。 モカリナったら、恋人と話をしているみたよ!」
話しかけてきたのは、リズディアだった。
隣には、義妹のイルーミクが居る。
リズディアは、少し膨れた表情をしていた。
「もう、ヒェルったら、長く、若さを保って、顔だって、整っていて、スタイルも良くて、これから、20年経ったって、今とほとんど変わらないだろうし、本当、エルフって、羨ましいわ。 あー、私も、エルフに生まれたかったわ」
リズディアは、拗ねたように言う。
「何、言っているのよ。 モカリナとは、フィルランカ達と同じように接しさせてもらおうと思っただけよ。 今まで、リズのガードが硬かったから、私もモカリナも、そんな話もできなかったのよ」
ヒュェルリーンは、ありのままの答えを伝えたようだが、リズディアは、少し不満そうにしていた。
「だって、ヒェルは、若いし、美人だし、スタイルもいいし、男の人に見られるし、それに、最近は、女の人からも見られているみたいだから、なんだか、フィルランカやエルメアーナだけじゃなくて、もっと、持っていかれそうなんだもん」
リズディアの答えにヒュェルリーンは、意外そうな表情をした。
「あら、私は、イルーミクとモカリナだけじゃなくて、フィルランカとエルメアーナをイスカミューレン商会に取り込もうと思っていたと思っていたわ」
その答えに、リズディアは、ピクリと眉を動かした。
「あらー、そんなことは、ございませんのよ。 私は、若い、才能のありそうな女子とお話をしようと思っただけですわ。 学校で優秀なフィルランカとモカリナ、それに、鍛治技術の頭角を表してきたエルメアーナとお話がしたかっただけです。 それを、いつも、どこからか、聞きつけて、いつも、同行していたのは、ヒェルの方じゃないのかしら」
リズディアは、時々、家に呼んだり、食事に誘ったりしていたのだが、その都度、ヒュェルリーンが、一緒だったのだ。
2人とも、才能のありそうな女子を、自分のテリトリーに取り込みたくて仕方がなかったのだが、それを表に出さないようにしていたのだ。
ただ、今のヒュェルリーンの言葉にリズディアは、言われたくない事を言われてしまって、機嫌が悪くなっていたのだ。
(また、リズったら、すぐに、膨れるんだから。 本当にわがままなんだから)
ヒュェルリーンは、仕方なさそうな表情をする。
「リズ。 今日は、あなたのところのイルーミクと、それに、フィルランカとモカリナの入学式なのよ。 3人を祝ってあげないといけないでしょ。 あなたが、そんな様子でどうするのよ」
それを聞いて、リズディアは、ヒュェルリーン達の方に近づいていくと、モカリナとフィルランカを両脇に抱くようにして間に入った。
「そうよね。 今日は、入学式だから、お祝いしないといけないわね」
リズディアは、意地悪そうな表情で、ヒュェルリーンに言うのだが、その様子から、2人は私のものだと言いたげな様子だった。
それをみて、ヒュェルリーンは、苦笑いをしていた。




