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カインクムを揶揄うジュエルイアン


 カインクムは、ジュエルイアンの言っていた、フィルランカに虫がつく事は無いという内容をきて、気になったようだ。


(リズディア様が、気にするなら、他の貴族でも、商人でもフィルランカを、欲しいと思う輩は出てくるって事じゃないのか? ……。 何で、虫がつかなくなるんだ?)


「なあ、ジュエルイアン。 リズディア様が、目をつける程なら、他の貴族も商人も、良いと思って、フィルランカに近づいてくるんじゃないのか?」


 カインクムの、その発言を聞いた、ジュエルイアンは、イラついたような表情をした。


「あのなぁ、リズディアは、元皇女殿下だった人なんだよ。 その人が、目をつけているフィルランカに、他の貴族なり、商人なりが、手を出したらどうなる」


「ああ、そうか、フィルランカにちょっかいを出すと、リズディア様を敵に回す事になるという事なのか」


 カインクムは、ジュエルイアンの言葉で、納得した様子で答えた。


 それを聞いて、ジュエルイアンは、ため息を吐いた。


「そういう事だ。 ああも、あからさまに、フィルランカ達と接しているのは、これは、私のだから手を出すなと、無言で、周りにアピールしているんだよ」


 カインクムは、フィルランカに手を回しているリズディアを見て、納得したようだ。


「なる程な、そうなると、卒業後のフィルランカは、イスカミューレン商会、ジュエルイアン商会、それと、ウチの店を継ぐだけしか、道は無くなったって事なのか」


 カインクムは、フィルランカの未来を開くためにと思ったのだが、リズディアと出会いが、逆にフィルランカの選択肢を狭めてしまったと感じたようだ。


 そして、何か、考えるような表情をした。


(いや、待てよ。 イスカミューレン商会なら、帝国一なのだから、問題ないのか。 リズディア様の下で働けるなら、安心だ。 ……。 ん? そうなったら、フィルランカだけでなく、エルメアーナだって、イスカミューレン商会の、工房区で働かせて貰えば、それで終わるだろう。 それでも、良い。 って、そう思ったけど、ジュエルイアンに、変な事を言われて、頭が混乱したのか)


 カインクムは、ジロリと、ジュエルイアンを見ると、ジュエルイアンは、面白がったような表情をしていた。


(くそー、ジュエルイアンのやつ、俺を揶揄ったのか!)


 カインクムは、少し悔しそうな表情をしている。


 そのカインクムの様子を見て、ジュエルイアンは、揶揄っていた事をカインクムが理解したことを悟ったようだ。


「俺としたら、フィルランカは、お前の店で働いていてもらいたい。 ジュエルイアン商会としては、帝国の第2の支店としての機能を持たせることも考えられるからな。 まあ、お前が許してくれるなら、南の王国に連れていって、ヒュェルリーンのところで、しっかり、仕込ませたいのだが、そうも行かないからな」


 それを聞いて、カインクムは、ムッとした表情をする。


「南の王国にフィルランカは、生かせない。 それだと、フィルランカとエルメアーナを引き離す事になるじゃないか。 それは、こっちから、願い下げだ」


 その様子にジュエルイアンは、余裕そうな表情をしている。


「だったら、フィルランカだけじゃなくて、エルメアーナも、南の王国で、俺の商会で面倒を見るさ」


「お、お前、それが目的なのか!」


 カインクムは、怒り気味にジュエルイアンに食ってかかった。


 それでも、ジュエルイアンの表情には、余裕がある。


「そうか、じゃあ、お前の店に永久就職だな。 いや、カインクム。 フィルランカは、お前に永久就職するのか」


 カインクムは、一瞬、考えたが、すぐに顔を真っ赤にした。


 その様子をジュエルイアンは面白そうに見た。


「うーん。 フィルランカは、カインクムの嫁になるから、ヒュェルリーンの弟子にすることはできないかぁ。 あー、残念だ、残念だ」


 ジュエルイアンは、言葉とは裏腹に、表情は、今にも笑い出しそうだ。


「……」


 カインクムは、真っ赤な顔で、何かを言いたそうにしていたのだが、何も言葉が浮かばないのか、もう少しで何かを喋ろうとするところで、止まってしまうが、また、何かを言おうとして、また、やめるを繰り返していた。


 それを、ジュエルイアンは、面白そうに見ていた。


「なあ、カインクムよ。 フィルランカは、きっと、お前の事を、今でも思っているだろう」


 その言葉に、カインクムは、固まった。


「いっそのこと、フィルランカに気持ちを聞いて、本当に、嫁にしてしまったらどうなんだ」


 カインクムは、ヤカンを乗せたら湯が沸きそうなほど、真っ赤になってしまった。


 それを見て、ジュエルイアンは、少し言いすぎたと思ったのか、少し、申し訳なさそうな顔をする。


 そして、ジュエルイアンは、ため息を吐いた。


「まあ、いずれにしても、約束の期限は、あと2年だ。 それまでに、自分の気持ちの整理だけはつけておいたほうがいいぞ」


「……」


 カインクムは、黙ったまま、フィルランカ達の方を見ている。


 そして、カインクムは、自分を納得させたような表情をした。


「そうだな。 俺も、その時に、どう答えるか、決めておく」


 その答えを聞くとジュエルイアンも、にやけた表情から、真剣な表情になった。


「それが、いいだろう」


 2人は、フィルランカの将来について、それ以上話すことは無くなた。


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