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リズディアの秘めた思い


 フィルランカとエルメアーナが、ベットの様子を確認するのを4人は待っていた。


 エルメアーナが、納得したのか、フィルランカが、痺れを切らしたのか、なんとも言えない状況だったが、2人とも、とても満足した様子で、テーブルに戻ってきた。


 エルメアーナは、天幕付きのベットに施された装飾やら、使っている幕の布の良し悪しを興奮気味に解説し、周りが、その詳細を聞いて、多少、うんざり気味になったのを、フィルランカとヒュェルリーンが宥めつつ、時々、モカリナが、自分の家に来た時のエルメアーナの話をした。


 モカリナの話は、長過ぎず、簡略化しすぎることなく、ポイントを的確に捉えた説明だったので、その説明を聞いて、リズディアは、ご満悦のようだった。


 リズディアは、まだ、大学に入っていないモカリナが、他人の欲しいと思う情報を、的確に話ができることが嬉しいようだ。


 エルメアーナのような、詳細な説明をしてくれるのも良いのだが、その説明の方法は、同じ技術を有する人との会話でなら、とても興味深いものになるのだが、専門分野が違い、リズディアのように全体を把握して判断を下す立場にいる者にとっては、退屈な話となってしまう。


 要するに、リズディアのような立場の人間なら、全体的に良いのか悪いのか、売れるか売れないかを判断できる情報を的確に報告してもらえた方が、時間の短縮になる。


 エルメアーナの説明だと、部分部分の説明を、とても細かく話してくれることは、ありがたいが、自分の仕事に掛かる時間が長くなってしまう。


 リズディアは、このような場合、間にワンクッション置くようにする。


 信用のおける人を使って、エルメアーナの詳細な説明を聞き、その説明の中から、必要な情報だけをピックアップさせるようにする。


 エルメアーナのような人間は、実務には忠実になる。


 目の前の物に対して、とても忠実なのだ。


 まだ、若いエンジニアのようなエルメアーナは、これから、多くの人と接しさせて、相手に教える事を学ばせて、的確に悪いポイントを指摘できるようにする。


 そして、自分では、手を出さず、教えた相手に、自分の思った通りの物を作らせる事をさせる。


 その後なら、上司への報告も的確に行う事ができるようになる。


 エルメアーナは、リズディアにとって、宝石の原石であって、もっと磨いてからでないと、同じ土俵には上がれないのだ。


 そんなエルメアーナとは、対照的なモカリナは、相手の欲しいと思える情報を的確に与えられる。


 リズディアとしたら、モカリナは、即戦力として、自分の横に置いて、しっかり仕込みたいと思っているのだろうが、慌てて、すぐに採用するような事はしない。


 様子を伺っていたところ、帝国大学を卒業した後、リズディアが誘わなくても、モカリナの方から、門を叩くだろうと分かったからだ。


 ただ、リズディアは、それに安堵して、完全放置するようなことはしない。


 帝国大学において、どんな人と接触して、その新たな出会いによって、全く、違う結論を出さないとも限らない。


 リズディアは、モカリナの囲い込みのための計画を描いているのだ。


 そのため、今後は、モカリナと、時々、接触して、様子を伺うようにするのだ。


 その際に、フィルランカ、エルメアーナ、そして、義妹のイルーミクは、都合の良い、繋ぎ役になる。


 何かの理由を見つけるには、丁度良いのだ。


 モカリナを呼び出す理由が見当たらない時は、その周りの人間を利用して接触する機会を得る。


 1人だけで考えたら、会う理由を見出せなくても、特に、フィルランカとエルメアーナの興味を引くような内容を餌に、モカリナも呼ぶ事も可能となるのだ。


 要するに3人は、モカリナを呼び出すためのセットになるのだ。


 そして、義妹であるイルーミクは、リズディアとモカリナを繋ぐために必要になる。


 イルーミクは、高等学校の3年生で、モカリナとフィルランカは、2年生だが、モカリナとフィルランカは、飛び級を狙っているので、イルーミクと同じ年の卒業となる。


 3人は、同じ年に帝国大学へ入る可能性が高いが、場合によっては、入試に失敗するかもしれないが、その程度のリスクしかない。


 これからの時間を考えれば、十分に3人を入学させるための学力をつけさせることは可能になる。


 これから先、イルーミクを通じて、モカリナとフィルランカを繋いでおくことで、エルメアーナも付いてくる。


 ただ、エルメアーナとフィルランカについては、カインクムを通じて、ジュエルイアンとヒュェルリーンに取り込まれているが、だからといって、全く、交流が持てないことにはならない。


 ビジネスとして考えれば、仕事の依頼を行うことは可能となる。


 ライバル関係にあるからといって、全く、接触を持たないという事は、あり得ないのだ。


 そのような状態にしてしまった場合は、業界自体の衰退もあり得る。


 癒着とは言わないが、お互いに協力できる部分は協力することで、コストを抑えることも可能となる。


 同じ物を作るのであれば、お互いに協力しあって、生産量を増やす事で、量産効果も狙え、場所も効率的に利用可能となる。


 ジュエルイアンとイルルミューランは、ライバル関係に有るが、だからといって、敵対関係になることはない。


 お互いに共存共栄を願っているので、フィルランカとエルメアーナについては、強引にイルルミューラン側に取り込むようなことはしない。


 接触できた事で、顔の繋がりができただけで、大きな進歩になったのだ。


 この後の事は、お互いに友人関係を続ける事ができれば、それで良いのだ。


 リズディアは、思わぬところから、これからの有望株の3人の女子との繋がりを持てた事を大いに喜んでいるのだ。


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