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モカリナの事を考えるイルーミク


 フィルランカに言われて、イルーミクは、モカリナが、リズディアにメロメロになっている様子をどうしようかと悩んでいた。


 リズディアとヒュェルリーンは、2人で歓談しながら前を歩いているだけで、後ろのモカリナには気が付いてない。


(どうしよう。 これ、モカリナに注意しても、その場限りで、次も同じようになるわよね。 私たちの前でも、隠す様子もないのだから……)


 イルーミクは、フィルランカとエルメアーナを見ると、目の前のモカリナを、チラチラと見ていたので、2人もモカリナの様子が気になっている事が窺えるのだ。


(もう、モカリナったら、少し自制してくれたらいいのに、ただ、後ろを歩いでいるだけななら、誰も、気にする事はないのに、鼻の下を伸ばして、音が出そうなほど、重いっきっり息を吸っているのだから、あれって、絶対に匂いを嗅ごうとしているでしょ)


 イルーミクは、困ったような表情でモカリナを見ていた。


(これは、私だけで、なんとかなりそうも無いわね。 できれば、義姉様に協力してもらって、モカリナを満足させた方が、いいのかもしれないわね)


 イルーミクは、考えを巡らせているようだ。


(モカリナにとって、義姉様は、雲の上の存在で、顔を合わせられるとは思ってなかったのだから、舞い上がっているのよね。 だから、あんなことになっている可能性が高いのよね)


 フィルランカ達を見る。


(そうよね。 フィルランカ達とモカリナは、いつでも出会える。 普通に会うことも可能なのよ。 フィルランカとエルメアーナには、モカリナは、あんな態度をしないわね)


 イルーミクは、納得した様子で、今度は、モカリナとリズディアを見た。


(そうよ。 モカリナが、義姉様もフィルランカやエルメアーナと同じで、普通に話もできると思えたら、あんな態度になることもないのよ。 だったら、まず、モカリナと義姉様の距離を近づけて、当たり前のように接すること、……。 ん? それって、私もなのかしら、……)


 イルーミクは、リズディアを見る。


(今日は、フィルランカ達の事があったから、私も、一緒だったけど、……。 考えてみたら、私も、義姉様と、ここまで一緒になったのは、初めてじゃないの。 そうよ。 今まで、私も、義姉様とは、時々、顔を合わせる程度で、こんなに長く、一緒にいた事は無かったのよ)


 イルーミクは、モカリナの手前のリズディアを見た。


 そこには、まだ、たわいもない会話をヒュェルリーンとしているリズディアがいた。


(そうよね。 私だって、義姉様と仲良くなりたいと思っているのだけど、今まで、大した会話もできるような状況で無かったのよ。 そうよ、この機会は、私にとっても、義姉様と親密になるためのチャンスなのよ。 これは、フィルランカ達が、作ってくれたチャンスなのよ。 これは、モカリナのためだけじゃなくて、私にもチャンスなのじゃないの? 義姉様に、私も認めてもらえたら、私も、商会のお手伝いができるはずよ)


 イルーミクは、モカリナを見ると、隣のフィルランカを見た。


(2人は、学校でもとても優秀だわ。 きっと、今年度で、飛び級で卒業して、帝国大学に進むでしょうね。 私は、飛び級じゃないけど、今年度の卒業になるわ。 私も希望は、帝国大学に進みたい。 ん? そうなると、私、フィルランカとモカリナと同級生になるのね。 そうなると、2人と比較されることになるの? え、そうよね。 ……。 私、一緒に進学できるのかしら)


 イルーミクは、不安そうな表情をした。


(新学年の時に、先生から、大学に行きたいのなら、もう少し、成績を上げるようにって、言われてたわ)


 フィルランカを見て、そして、モカリナを見た。


(わ、私、このままだと、フィルランカとモカリナが、帝国大学に入学して、私は、入れないこともあるのね。 ど、どうしよう。 私だけ、取り残されてしまうかもしれないわ。 ……)


 イルーミクは、モカリナを見た。


(え! 義姉様って、私の成績のことも分かっていて、フィルランカとモカリナに唾を付けておこうと思ったのかしら。 ……。 成績の悪い義妹より、成績の良い他人の方が、見込みが有るって、考えて、この企画を考えたのかもしれないわ)


 イルーミクは、不安そうな表情になっていた。


(そうよ。 今日のことだって、フィルランカ達が、たまたま、食事が一緒になったことから始まっているのよ。 だから、私は、……。 ついで?)


 イルーミクは、不安そうな表情が、更に、ひどくなる。


「ねえ。 イルーミク。 どうしたの?」


 隣から、フィルランカが、声をかけた。


 びっくりしたイルーミクは、跳ね上がった。


 そして、フィルランカを見るため、横を向くのだが、変な体勢を取ってしまったことで、足がもつれ、前に倒れ込んだ。


 その倒れ込んだ先には、モカリナが居て、モカリナの背中に倒れ込んだ。


 モカリナも、リズディアの後ろで、舞い上がっているので、まさか、後ろから倒れてくるとは思ってなかったので、イルーミクの倒れ込んだ勢いのまま、モカリナも前に転んでいくと、その前に居るリズディアにぶつかってしまった。


 3人は、奇声を上げながら、将棋倒しのように倒れ込んだ。


 その一部始終を、フィルランカとエルメアーナが見て、青い顔をしていた。


 リズディアと2人で談笑していたヒュェルリーンは、唖然として、倒れ込んだ3人を見ていた。


「いったーい。 もう、どうなっているのよぉ。 それに、ちょっと、おっもーい」


 一番下に居るリズディアが、少し苦しそうにして答えた。


「ご、ごめんなさい」


 そう言って、イルーミクは、体を起こし始める。


 そして、体を起こすのだが、その下にいた、モカリナは、動こうとしない。


 その下に居るリズディアは、顔を赤くして、少し恥ずかしそうにしていた。


 イルーミクが立ち上がる。


 だが、モカリナは、立ちあがろうとしない。


「ねえ、モカリナさん。 そろそろ、退いてもらいたのだけど、……。 それと、手もどけてもらえると、嬉しいのだけど」


 モカリナは、心地よい感覚を味わうよな表情をしていたのだが、リズディアの言葉で、自分が何をしているのか気が付いたようだ。


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