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出された着替えのワンピース


 エルメアーナとモカリナも落ち着くと、着替えを用意された。


 フィルランカは、用意された衣装を見た。


 外に出るのは、憚れそうだが、これからの予定を考えたら、家の中なら、この衣装でも問題ないのかと思えたようだ。


(これは、お出掛けできそうもないわ。 でも、家の中で使うだけなら、これでも良いのよね。 それにここは、貴族様の家だから、突然のお客様が来る事も無いだろうから、大丈夫よね)


「あのー、これは、少し薄いように思えますけど」


 用意された衣装は、下着が見えるほど薄いわけでもなく、肌の露出も大きいわけではないが、少し薄着のように思えたのだ。


「お風呂に入った後ですから、体が熱っています。 しばらくは、この衣装を着ていてください。 火照りが取れたら、上に羽織るガウンを用意いたします」


(ああ、そう言う事なの。 普通のものより薄いと思ったのは、そのせいなのね。 そうか、お風呂に入った後は、体が火照るのね)


 フィルランカは、お風呂の使い方について、一つ、覚えることができたと思ったようだ。


(そうよね。 入りすぎると、エルメアーナやモカリナのようになってしまうだろうし、そうでなくても、体は、温まったままになっているのね。 それを、上手く調整していけばいいのか)


 フィルランカは、用意された衣装を着る前に自分お下着をと思って、脱いだ衣装の場所を見た。


 しかし、そこには、何も無かった。


(エッ! 私の衣装は、どうなったの?)


 フィルランカは、焦った様子で、脱衣所を見たが、入る前に置いてあった自分の衣装どころか、エルメアーナのものも、モカリナのものも無かった。


 それどころか、誰の着ていた衣装も下着も置いて無かったのだ。


「お着替えされた衣装は、当家で洗濯して、明日、出発の前にお渡しいたします」


 それを聞いて、フィルランカは、納得したような表情をした。


 しかし、フィルランカは、一つ、疑問が有ったようだ。


 用意されたのは、衣装だけだったのだ。


 疑問に思っているフィルランカが、ただ、その衣装を見ているだけだった。


「お風呂を出た後ですから、ゆったりした、その衣装を着るといいですよ。 そのまま、腕を通してください」


「あのー、このまま、これを着るのですか?」


「ええ」


 フィルランカは、そこにある衣装を見た。


(これ、ワンピースよね。 胸の辺りは、ゆったりしているわね。 その下は、……。 ああ、リボンがあるから、鳩尾辺りで縛るのね。 ワンピースだけど、これって、膝辺りまでしか、丈が無いわよね。 これヒラヒラだから、風が吹いたら捲れてしまうわ)


 その衣装を見て、なんだか不安そうな表情をした。


(あ、でも、室内なら、座った時、膝を開かないように気をつけていたら、中が見られることもないのか)


 そして、何か、納得した様子で、用意された衣装を手に取った。


(でも、本当に、裸の上にこれだけ着るのかしら)


 フィルランカは、少し心配そうに周囲を見渡すと、同じワンピースを、リズディアもメイドに着せられていた。


 それも、素肌に何もつけてない状態で、上から被せられていた。


 そして、手前のボタンをつけてもらうと、胸の下のリボンの紐を結んでもらっていた。


(ああ、やっぱり、このまま着けるのね)


 フィルランカは、諦めた様子で、ワンピースを広げると、スカートの裾の方から、被るようにした。


 そして、腕を通して、手前のボタンを付けてから、胸の下のリボンを軽く結んだ。


 ただ、胸元は、それ程広く開いているわけではないので、上から覗き込まれない限り、胸の谷間が見えることは無かった。


(これなら、自分だけしか胸元からの覗けそうにないわね)


 フィルランカは、顎をつけるようにして下を見ていた。




 そんなフィルランカの様子をズーッと、隣で、エルメアーナが確認していた。


(なるほど、下着をどうするのかと思ったら、何もつけないのだな。 フィルランカと同じように着たら、誰からも文句は言われないだろう)


 エルメアーナは、納得した様子で、フィルランカと同じようにワンピースを着た。




 しかし、ただ1人だけ、ヒュェルリーンだけは、着たのはよいのだが、裾を持って、少し恥ずかしそうにしていた。


 それは、全て同じワンピースだったので、サイズも同じだったようだ。


 女子5人が、155〜162センチだったのだが、ヒュェルリーン1人だけが、身長180センチと長身だったので、周りは、全て、膝が隠れるかちょっと出る程度だったのだが、長身のヒュェルリーンだけは、膝が丸々出てしまい、太もももしっかり確認できるミニスカートのようになってしまっていた。


「ねえ、私に、もう少し、丈の長いものを用意できないですか?」


 ヒュェルリーンは、恥ずかしそうにメイドに伝えた。


 ただ、それを見たリズディアは、ニコリと笑った。


「ヒェル、とても素敵よ。 その格好で恥ずかしそうに前屈みになると、後ろが上がって、お尻が見えてしまっているわよ」


 リズディアに言われて、慌てて、前屈みをやめると、前と後ろを両手で引っ張るようにした。


「もう、リズったらぁ、何で、私のサイズが無いのよ」


「ごめんなさい。 私とあなたの亭主達が、お酒を飲んでいたので、急な予定変更をしたのよ。 だから、ちょっと、間に合わなかったのよ」


 リズディアは、いまにも笑いそうな表情で言い訳をした。


「ねえ、これ一枚でだと、ちょっとしたことで、中が見えてしまうわ。 流石に女子だけでも、これは恥ずかしいわよ」


「この後の食事は、亭主達も一緒だから、気にしないで」


 リズディアは、楽しいそうである。


「ちょっと、リズ。 それ、絶対ダメなやつです」


「冗談よ。 私だって、この格好で、ジュエルイアンの前に出るわけないでしょ。 それに、ほら」


 そう言って、フィルランカとエルメアーナを指差した。


「旦那達に、彼女達を見せるわけないじゃない」


 流石に、ワンピース1枚だけの女子を、男の前に出す気は、リズディアには無いようだ。


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