表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

697/1356

身体を拭かれるフィルランカ


 フィルランカは、顔を赤くしていた。


 イルーミクが、カインクムの名前を出した瞬間、フィルランカは、固まってしまってもいる。


(え、なに? カインクムさん)


 フィルランカは、何かのスイッチが入ってしまったようだ。


「1人用の湯船って、細長くて、体を伸ばす事もできるわよ。 だけど、2人で入るには、ちょっと、苦しいかもしれないけど、まあ、足を伸ばさなければ、2人でも大丈夫だと思うわよ。 あ、でも、体をぴったりくっつけたら、平気ね」


(まあ、フィルランカとエルメアーナの2人で入る分には、問題ないわよね。 足を伸ばしたって、女子2人なら、体を寄せ合いながら、入るっていうのも有りよね。 私も昔は、お姉様と一緒に入って、遊んでいたわね。 女子同士で入るお風呂って、とても楽しくて、……。 ああ、あまり、長く入りすぎて、お母様方から怒られたこともあったわね)


 イルーミクは、何かを思い出すような表情をした。


 しかし、隣にいるフィルランカの顔は、どんどん、赤くなっていた。


(え、なに? 2人? わ、わた、私と、カインクムさんが、一緒に使うの? エェーっ! ど、どういうこと? カインクムさんがお風呂に横になるように入って、そ、そ、そ、その上に、体を寄り添わせるって事なの? え、う、うそ、うそでしょ。 私、カインクムさんが、湯船に寝そべっているところに、か、かぶ、かぶさるの? え、足は? ああ、きっと、絡ませるようにすればいいのかしら)


 真っ赤な顔で、目は開いているのだが、全く、目の前が見えていないようだ。


 フィルランカの世話をしているメイドは、フィルランカの周りで体を拭いてくれていたが、前に来ようが、後ろに回ろうが、腕や足を動かすと、フィルランカは、心ここに在らずといった様子で、その通りに動かされていた。


 その様子に気がついた、イルーミクは、フィルランカが、何で、そんなにメイドに、されるがままにされているのか不思議に思ったようだ。


 そして、時々、メイドが体をタオル越しに拭いているのだが、自分でも触らせないような場所まで、拭かせていたのをみて、自分が逆に恥ずかしくなったようだ。


 ただ、フィルランカに付いたメイドは、イルーミクが気にしていることに気が付かなかった様子で、色々とエスカレートしていた。


 そのメイドは、つま先から頭のテッペンまで、拭かれてから、フィルランカの後ろから、タオルを脇の下から回して、前を隠すようにした。


 そして、脇の下を軽く拭くようにすると、その手を、ゆっくりと上に、肋を軽く擦ったのち、胸の付け根のあたりを擦り始めた。


 そして、胸の下を沿うように擦ると、胸を持ち上げるようにした。


 それでも、フィルランカは、全く気にする様子が無いので、メイドは、自分の体をフィルランカの背中に擦り付けるようにして、前に回した両手を交差させ、右手で左胸、左手で右胸を持ち上げるようにしてから、今度は、胸の上側を擦るようにして、拭っていた。


「ちょっと、あなた、さすがにそれは無いでしょ。 同性といえど、はしたないわよ」


 それを聞いて、メイドも我に返った様子になった。


「失礼しました。 奥様は、こうすると喜んでくださるので、つい、同じようにしてしまいました。 それに、久しぶりに10代の肌を堪能させていただきましたので、昔のリズディア様を思い出してしまいました」


 メイドは、答えると、フィルランカの前に回していた手を脇の下から抜くと、一歩下がった。


 だが、何か昔の懐かしい思い出を、思い浮かべて、顔を少し赤くしていた。


(え、この人、後宮から義姉様と一緒に来た人、……。 えっ! 何? 義姉様ったら、昔は、今みたいな事までされていたの!)


 イルーミクは、気になり、後ろで湯船に浸かっているリズディアを見た。


 リズディアは、まだ、気持ち良さそうに顔を上に向けて目を瞑っていた。


(義姉様)


 イルーミクは、少し困った様子でリズディアを見るが、自分からは何も言う事ができないといった表情をすると、フィルランカを見た。


 ただ、そのフィルランカは、何を考えているのか全く分からなかったようだ。


 イルーミクは、不思議そうに、フィルランカの表情を確認した。


 フィルランカは、口を半開きにし、鼻の下を伸ばして、目が細く目尻が垂れさせていた。


 とても、人には見せらない表情をしていた。


「ねえ、フィルランカ?」


 そう言うと、フィルランカの顔を覗き込むようにした。


 すると、フィルランカは、目の前にイルーミクがいる事に驚いた。


「えっ! 何? ど、どうかした?」


 フィルランカは、とても驚いたのか、軽く飛び上がった。


 そんなフィルランカを不思議そうに見るイルーミクだったが、思わず、フィルランカの前に出ると、フィルランカの胸を両手で鷲掴みにすると、軽く揉んだ。


 さすがに、それにはフィルランカも驚いて、後ろに飛び退いた。


「ちょ、ちょっと、何、するのよ!」


 フィルランカは、少し怒った様子でイルーミクに言ったのだが、イルーミクは、フィルランカが何で怒ったのか分からないといった様子で見ていた。


「あら、フィルランカって、胸を揉まれても平気なのかと思ったから、試してみただけよ」


 それを聞いて、フィルランカは、真っ赤になった。


「な、何で、わた、私が、そんなことされて、……。 平気なわけないでしょ」


 イルーミクは、不思議そうにフィルランカを見返す。


「だって、今まで、同じようなことどころか、身体中、全てのところを、触られたり、揉まれたりしてたわよ」


「な、なんてことを、私が、そんな事されるわけないでしょ」


 フィルランカの反論を聞いてもイルーミクは、信じられなそうにして、フィルランカを担当したメイドを指差す。


「だって、私だって触らせないような場所でも、全く、構わないで、身体中全部、綺麗に拭いてもらってたわよ」


 指差されたメイドは、少し恥ずかしそうにしていた。


「はい、フィルランカ様のお身体は、全て拭かさせていただきました。 脇の下、胸の下、足の付け根、指の間等、全て、綺麗に拭き取らせていただきました」


 それを聞いて、フィルランカは、とても恥ずかしい表情をすると、自分の体に濡れている部分が無いかと確認するように、メイドが言っていた場所を確認していた。


 確認が終わると、メイドの言っていた通りなのだと思ったのか、今度は、青い顔をし始めた。


「久しぶりに、10代のリズディア様の、お世話をしていた時のことを思い出しました。 さすがに、リズディア様と同じようなことを、お客様には出来なかったので、少し控えさせてもらいました」


 そのメイドは、言わなくても良い事を言ったので、イルーミクは、驚いて、そのメイドを見た。


(あれでも、控えていたのね)


 そして、フィルランカも、自分がされたであろうことを考えていたのだが、話を聞いていていた内容を精査したようだ。


 表情が一気に変わった。


 フィルランカもリズディアを見た。


(リズディア様の少女時代は、お風呂に入ったら、どんなことをされてたの?)


(義姉様ったら、どんな少女時代を過ごしていたのかしら。 皇族の人って、不思議な過ごし方をしているみたい)


 フィルランカとイルーミクは、リズディアの知らない一面を見たと思ったようだが、その内容が、内容なだけに、知ってはいけない事を知ってしまったと思ったのか、何とも微妙な表情をして、気持ちよさそうに、湯船に浸かっているリズディアを見ていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ