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メイド達の憂鬱


 ジュエルイアンと、イルルミューランが、ヒュェルリーンとリズディアによって、追い出され、リズディアの一言によって、これからの予定が大きく変わってしまった。


 それは、家の使用人達には、計画の変更を余儀なくされる事になるのだ。


 本日の客人は、帝国臣民のフィルランカとエルメアーナ、そして、侯爵家のモカリナ、商人のジュエルイアンとヒュェルリーン夫妻となる。


 そして、家人の、リズディア、イルルミューラン、イルーミクとなる。


 フィルランカとエルメアーナを同じ部屋を使ってもらい、モカリナには、賓客用の部屋を用意し、そして、ジュエルイアン夫妻は、リズディア達の友人とはいえ、貴族では無かったので、フィルランカ達より良い部屋で構わないと思い、部屋割りをしていたのだ。


 しかし、リズディアの朝まで一緒という言葉で、6人が一緒に寝れる部屋を用意する必要が出てきたのだ。


 6台のベットを入れても余裕があり、簡単なお茶会ができる程度の広さが必要となるのだ。


 そして、その部屋には当然、ベットが6台も置いてある訳もない。


 すると、執事達は、その部屋にベットを6台揃える必要があるのだ。


 大慌てで、リズディアの意向に沿う形にするのだ。


 そのため、1人のメイドが伝令として、リズディアの意向をメイド長と執事長に伝えに行った。


 それに合わせるために、部屋の選択をすると、それに合わせて、ベットの移動が始まる。


 天幕付きベットから、天幕を外して、ベットを移動させ、同時に天幕と組立用のパーツを運ぶのだが、結果として、来客用の部屋に6台ものベットを置くスペースが無く、広間を急いで簡易寝室にしたのだ。


 そのため、手の空いている執事達は、他の使用人にも声をかけて、大急ぎ、6台のベットを移動させた。


 移動させて、組み立てが終わると、メイド達によるベットメイクが始まり、使えるようにする。


 それを6台行うと、執事と使用人の男達は、ゼイゼイと荒い息をしていたのだが、その中に数名のメイドも手伝っていた。


 流石に天幕付きのベットの移動なので、後半には、体力的な問題から、メイドの中からもベットの移動を手伝うものが出てきたのだ。


 一息吐くと、テーブルと椅子など、寝室に必要なものを揃えていく。


 そして、小物に至るまで、しっかりと用意をするのだ。


 さらに、その事を、6人に知られてはいけないのだ。


 そのための足止めを行う必要がある。


 まずは、リズディア達を部屋から出さずに足止めをするため、お茶を用意するのだが、用意の時間を十分に確保するため、6人に知られる事なく、時間を延ばさせる。


 そのため、数種類の茶葉を用意して、お茶の味を変えることで、数杯のお茶を飲ませると、ギリギリのタイミングで、お茶菓子を用意するのだ。


 そして、お茶菓子に合うお茶を用意させて、途中からお茶をかえ、お茶菓子の感じ方を変えさせ、更には、新たに買いに行かせていたお茶菓子を用意して入れ替えるのだった。


 それでも、時間は足りないのだ。


 メイド長と執事長は、時間の不足を、お茶会でカバーできない事に気がついた。


 次の手を打たなければ、時間を持て余してしまい、そして、食事の時間にも早すぎるのだ。


 そんな所に、別働隊のメイドから報告が入った。


「そうか。 食事までの間の時間を、これで埋められるわ」


「そうですね。 私は、そのお役目を手助けはできませんので、メイド長は、そちらの指示をお願いします」


「かしこまりました、執事長。 後の事はお任せします」


 簡単なやり取りを終えると、メイド長は、次の一手のために執事室を後にした。




 メイド長は、伝令のメイドに詳細を聞くと、満足そうな表情をする。


 そして、次のイベントのためにメイド長は、リズディア達のところに移動した。


 メイド長は、リズディア達のお茶会の部屋に入ると、軽く会釈すると、リズディアのそばに行く。


 メイド長は、リズディアに次の予定を伝えた。


「まあ、メイド長ったら、とても気がきくのね」


 リズディアは、嬉しそうにメイド長に答える。


「それでは、皆様、次の用意が整ったみたいですから、移動しましょう」


 そう言って、リズディアは、立ち上がるので、周りもそれに従うように立ち上がった。


 メイド長は、リズディア達を引き連れて、次の会場に移動を始めた。


 しかし、メイド長は、時間稼ぎをする必要があるのだ。


 そのため、メイド長は、6人を引き連れて、可能な限り、その会場に移動するのに、遠回りをしていた。


 時々、止まっては、何かを説明したり、あからさまに時間を使うようにしていた。


 ただ、リズディアやイルーミクには、知っていることでも、残りの4人は、知らないことなので、残りの4人、特に、エルメアーナは、とても興味深そうにメイド長の説明を聞いていた。


 その様子をフィルランカは、ソワソワした様子で、ヒュェルリーンは、困ったと思った様子で、モカリナは、以前、自分の家でも同じような反応をしたと思いつつ、見ていた。


 メイド長にしては、このエルメアーナの反応によって、時間稼ぎができると、ホットした様子で丁寧に説明をしていたのだ。


 そして、メイド長は、リズディア達を浴室へと誘導したのだった。


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