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馬車に乗る6人


 6人は、リズディアの馬車を使って、移動することになる。


 リズディアは、モカリナから離れようとしない。


 モカリナは、リズディアが横に居て自分の脇に手を添えてくれている事が、とても嬉しそうだが、リズディアの指は、ピクピクとしていた。


(触りたい。 この子を触りたい)


(リズったら、これ、絶対、我慢している)


 リズディアの表情を見た、ヒュェルリーンは、何か思うところがあるようだった。


「それじゃあ、急いで移動しましょう」


 ヒュェルリーンが、急がせるように馬車へ促した。


 その様子を、フィルランカ、エルメアーナ、イルーミクが、不思議そうに見る。


 そんな中、リズディアが、モカリナを抱えるようにして、早速、馬車に入ろうとする。


「えっ!」


 モカリナは、嬉しそうな、そして、恥ずかしそうな様子で、リズディアに促されるまま、馬車に入る。


(わ、わた、私、リズディア様に、だ、だき、抱き抱えて、られ、て、い、る)


 モカリナは、顔を真っ赤にして、デレた様子で、リズディアに促されて、馬車の方に歩かされるのだが、その表情は、その目は虚に、たれ下がり、鼻の下が伸びて、空いた口からは、今にもヨダレがたれそうな程だった。


(これだけ、近いと、リズディア様の匂いも、……。 ああー、とても、いい匂い。 これが、リズディア様の匂いなの。 ああー、もっと、たくさん、堪能しないと)


 鼻の下が伸びた、モカリナの顔が、徐々にリズディアの方に向いていった。


 一方、隣にいるリズディアも、嬉しそうな表情でいる。


(サンプルが増えたわ。 エルメアーナ、フィルランカの2人だけじゃなく、このモカリナもだわ。 貴族なら、色々な衣装を着る機会があるのだから、ミルミヨルは、何か工夫を凝らしているかもしれないわ。 ああ、楽しみが増えたわ)


 リズディアは、とても嬉しそうにモカリナを抱き抱えて、馬車の入り口に行くと、その入り口を見て、モカリナを抱えては入れないと思うと、モカリナを前に出して、押すようにして馬車の中に入っていく。


「えっ!」


(ちょっと、待って、これは、リズディア様に失礼じゃ!)


 モカリナは、リズディアに馬車に押し込まれそうになって、正気に戻った様子で、驚きつつ、後ろのリズディアを見ようとしつつも、リズディアに押されて馬車の中に入ってしまう。


「さあ、あなたはここよ」


 そう言って、御者側の一番奥の席に付けると、リズディアは、その隣に座る。


 そして、リズディアは、嬉しそうにモカリナを見ていた。


(何? 何で、リズディア様、私を、じーっと見るの? えっ! 私、何か、した?)


(ウゥーん。 今、少しだけど、この子の体を触れた。 脇の辺りの感じも掴めた。 あとは、胸の感じ、それと素肌の時の体の線。 それは、お風呂でチェックしてあげるわ。 今日だけで、ミルミヨルの衣装を3つ確認できるわ)


 リズディアは、嬉しそうにモカリナを、ジーッと見ていると、残りの4人が入ってきた。


 馬車の中は、一番奥のモカリナの対面にフィルランカが、中央のリズディアの手前にヒュェルリーンが、そして、エルメアーナが嬉しそうに、ヒュェルリーンの入り口側の隣に座る。


 最後に入ってきたイルーミクは、ホッとした様子で、御者側の席で、入り口の側の、一つだけ空いている席に座った。


 ただ、ヒュェルリーンは、一度、リズディアをジロリとみると、その視線をリズディアも感じたようだ。


(リズ。 あなた、その子を触りたいんでしょうけど、まだ、ダメよ。 あなた、元皇女殿下だったのだから、その位、我慢しなさい)


(あー、ヒェルったら、絶対、私の考えていることを分かっている。 わかっているわよ。 今は、何もしないから、……。 だから、睨まないでよ)


 リズディアは、ちょっと怖いという表情をしながら、モカリナの腕に自分の腕を絡ませた。


 それは、今は、これで我慢すると言っているような様子だったが、隣に座るモカリナは、リズディアに腕を絡ませられたことが、とても嬉しそうだった。


(私、今、リズディア様に、腕を組まれているのよ。 何だか、恋人みたいだわ。 ああ、リズディア様が、私にこんな事までしてくれるなんて、とても、幸せだわ。 ああー、リズディア様の腕が、私の腕に、ああー、リズディア様の体温を感じられるわ。 とても暖かい)


(あの子、これから、リズに何をされるか、わかっているのかしら?)


(モカリナ、嬉しそうだけど、私が、今日、リズディア様にされた事を話したら、……。 いや、黙っておいた方がいいだろう。 リズディア様もだけど、チェルエールさんも、凄かったからな。 もし、あれが、女子じゃなかったら、変態扱いだぞ)


(モカリナ、嬉しそうだわ。 憧れのリズディア様に出会えて、抱き抱えられたり、腕を組まれたりしているのだから、とても嬉しいのよね。 モカリナが、騒ぎ出さずに良かったわ)


 フィルランカだけは、モカリナがリズディアに会えて嬉しそうだとしか感じなかったようだ。


(そういえば、さっきまでは、エルメアーナが、何かしたのかと思っていて、気がつかなかったけど、モカリナの、あの態度は、普通の人の反応じゃなかったわね)


 フィルランカは、リズディアの馬車が、校門に見えた時からの、モカリナの事を思い出していた。


(とても好きだという事は、分かったけど、ちょっと、好き過ぎじゃなかったかしら)


 モカリナは、リズディアに腕を組まれている事がとても嬉しそうだ。


(ああ、リズディア様に組まれた腕に、何だか、リズディア様の柔らかいものが当たっているわ。 あー、なんて幸せなんでしょう。 あ、リズディア様の匂いが、これだけ近いと、とても、よく分かるわ。 香水の匂い。 そうよ、香水が匂いの中には、リズディア様の汗もあるはずよ)


 モカリナは、鼻の下を伸ばしていたので鼻息が少し荒かった。


(モカリナったら、とても嬉しそうだわ。 本当に機会が持ててよかったわ。 でも、ちょっと、変かも)


 前に居るモカリナを見て、フィルランカは、良かったと思ってはいるが、ここまで崩れたモカリナの顔を見た事が初めてだったのだ。


 フィルランカには、少しだけ、そんなモカリナに不安を感じたようだ。


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