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侯爵家の四女 モカリナ


 フィルランカの周りに女子生徒が集まり出してきた。


「まさか、ここで、食べ歩きのフィルランカさんに出会えるとは思わなかったわ」


 その話を聞いて、ヒソヒソと話をする女子生徒も出始めた。


「あのー、それで、どのようなご用件だったのでしょうか? ええーと」


 フィルランカは、自分の名前を開いた知っていたが、フィルランカは、相手の名前を聞いてなかったことに気がついた。


「ああ、ごめんなさいね。 私は、ナキツ・リルシェミ・モカリナよ」


(ナキツ? 確か、位の高い貴族様だったはずだわ。 あまり失礼の無いようにしておかないといけないわね)


 フィルランカは、スカートをつまむと、片足を下げ、そして、頭を下げる。


「これは、失礼いたしました。 私は、フィルランカと言います。 今は、鍛冶屋のカラン・レンリン・カインクム様の家に、お世話になっております」


「あら、礼儀作法も知っているのね。 さすが、先生が教えてくれただけのことはあるわね」


 フィルランカの様子を見て、モカリナも姿勢を改めたようだ。


「先ほどは、失礼しました。 私は、ナキツ侯爵家の四女、ナキツ・リルシェミ・モカリナと申します」


 そう言って、フィルランカと同じように、正式な挨拶を行った。


「私は、ナキツ侯爵家の四女ですが、姉様方のように、嫁ぎ先も決まってはいませんので、ツ・レイオイ・リズディア殿下に倣って、学問で身を立てるつもりでおります。 今後は、クラスメイトとして、仲良くしてください」


 周りの女子達が、その様子を見て呆気に取られた。


(えっ! どういうことなの? あっ!)


「いえ、滅相もございません。 私のように身分の低いものに、勿体のうございます」


「分かったわ。 それじゃあ、これからは、クラスのお友達として、おつきあいさせてください。 なので、言葉遣いも、普通に、それに、私のことはモカリナと呼んでください」


 フィルランカは、鳩が豆鉄砲をくらったような表情をしている。


「は、はい。 モカリナ様」


「何を言うのです。 モカリナです」


「えっ、はい。 わかりました。 モカ・リナ」


 最後の方は、フィルランカの声は小さくなってしまったが、モカリナは、嬉しそうな顔をしていた。


 フィルランカは、孤児だったこともあり、学校では、身分の高い人が多いこともあり、クラスメイトと話をする機会もないと思ったのだが、このモカリナとの挨拶によって、フィルランカの立ち位置が変わってしまった。


「ねえ、それで、その服は、ミルミヨルさんのお店のものなのよね」


「ええ、ミルミヨルさんが、入学式に間に合わせてくれたんです。 なんでも、学校に着ていくために都合の良い服と言っておりました」


「うん。 とても素敵よ。 ねえ、それは、その紺色のだけなの?」


「いえ、エンジ色もありました。 一緒に住んでいるエルメアーナが、今日の入学式を見にきてましたから、色違いのデザインのものを着てます」


「あら、色も用意されているのね。 ねえ、その上着を脱いでもらっても構わないかしら? ブラウスとスカートになったらどんな感じなのか見せてもらえません?」


 フィルランカ、モカリナに促されて、上着を脱ぐ。


 すると、周りの女子生徒達が、興味津々といった表情でフィルランカを見る。


 上着を脱いで、その上着をお腹の前に持つのだが、ウエストを絞るようになっている部分が、胸より下で胸を強調するように胸の下で切られており、ゆったりとした白のブラウスが、より胸を強調して見せていた。


 下のウエストを絞るスカートが、紺色でできており、上のブラウスは、反対に緩やかに造られ、そして膨張色である白が、余計に引き立って見えるのだ。


「おおーぉ!」


 思わず、後ろの方の女子が声を上げていた。


 その声にフィルランカは、少し恥ずかしそうにするのだが、周りの女子達は、近くで見ようと徐々にフィルランカに迫ってきた。


 フィルランカとモカリナの2人で話をしていたのだが、いつの間にかクラスの女子がその周りに集まってきて、2人を囲むようになってしまった。


「えっ! ちょっと」


 モカリナも周りの反応に驚いたようだ。


「ねえ、あれだと、とても大きく見えるわよね」


「ええ、上着を着ていた時も、すごく大きく見えたけど、上着を脱ぐともっとすごいわ」


 どうも、周りから、フィルランカの胸が強調されていることが気になったようだ。


「あのー。 これは、この服がウエストを絞ってくれるので、その絞られた分が、上に逃げただけで、実際は、こんなに大きくはないのです。 ミルミヨルさんが、そうなるように、デザインしてくれたので、大きく、見えている、だけ、です」


 フィルランカは、宣伝をしなければと思ったのだが、なんだか、言い訳をするようになってしまい、そして、言葉尻は、途切れつつ、声も小さくなっていた。


「これ、ミルミヨルさんの店の服なの」


「ねえ、ミルミヨルさんの店は、何処にあるの?」


「ミルミヨルさんの店は、第5区画に有るわよ。 有名だから、近所で聞けば直ぐに見つけられるわよ」


 フィルランカの言葉に周りの女子達が反応して、ミルミヨルの店について反応していた。


 そして、直ぐに、ミルミヨルの店が、第5区画にあると、クラスの女子全員に知れ渡った。


「それでは、皆様、ごきげんよう」


 1人の女子が、挨拶をすると、その輪から離れた。


 すると、徐々に、周りの女子がその輪を離れて、教室から出ていった。


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