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入学式当日の3人とフィルランカの些細なワガママ


 フィルランカは、ミルミヨルの用意してくれた学校に通うための制服を着る。


 そして、入学式に向かうことになる。


 フィルランカも準備するのだが、せっかくの高等学校の入学式なので、カインクムとエルメアーナが、一緒に観に行くことになった。


 エルメアーナも、フィルランカと色違いの服を着て行く事になった。


「フィルランカ、すまないが、服を着るのを手伝ってくれないか」


 エルメアーナは、まだ、着慣れていないこともあり、フィルランカに着替えを手伝ってもらう。


「わかったわ。 少し待ってね」


 フィルランカは、自分の着替えが終わったら、エルメアーナの着替えを手伝うことになった。


 フィルランカは、ミルミヨルに用意してもらった制服を準備すると、下着姿になり、ブラウスを羽織った。


 ブラウスを羽織ると、前のボタンを止めて、ワンピースを上から被るようにする。鳩尾から臍の部分までをコルセットのように絞ることになっているので、その部分の紐をうまく引っ張って、ウエストを絞るようにする。


(ミルミヨルさん、これで、お腹のお肉を上にあげるって言ってたわね)


 フィルランカは、大してないウエストの脂肪を絞るようにして上げる。


 ワンピースの上は、ちょうど、胸の下までとなっており、肩から、吊り下げるような帯が両肩にあるが、これはほとんど飾りとなっており、ウエストを絞ることで、ワンピースが落ちないようになっていた。


 胸から上と、腕は、白のブラウスとなり、胸から下が、紺のワンピースとなっている。


 ブラウスの白が膨張色となることと、ウエストを絞っているので、体のメリハリが出ている。


(なんだか、胸が大きくなったみたい。 ちょっと嬉しい)


 フィルランカは、自分の胸をみて、ニコニコしていた。


 だが、エルメアーナに手伝えと言われていたので、上着を纏う。


 その上着の丈は、短く、背中も前も、胸を隠す程度しか無い。


 下のワンピースをわずかに隠す程度しか丈が長さがない。


 そのため、ワンピースで締め付けているので、ウエストの細さが強調されるように思える。


 腕は、手首までの長さとなっており、下に着たブラウスの手首がわずかに上着からのぞいていた。


 自分の用意ができたので、フィルランカは、エルメアーナの着替えを手伝うため、自分の部屋を出て、エルメアーナの部屋に向かう。




「エルメアーナ、入るわよ」


 フィルランカは、断りを入れてから、エルメアーナの部屋の扉を開ける。


 そこには、下着1枚で上の下着を着けるのに悪戦苦闘しているエルメアーナがいた。


「フィルランカ、この下着はどうやってつけるんだ。 教わった通りにつけるのだけど、うまくいかないのだ」


 フィルランカは、困ったような表情をする。


「もう、また、そこからなのね」


 フィルランカは、エルメアーナの後ろに行くと、上の下着をつけるところから、手伝うことになった。


(本当に、エルメアーナは、子供みたい)


 フィルランカは、何か言いたそうだったが、黙って、エルメアーナの着替えを手伝うこととなった。


 ただ、エルメアーナは、下着の上をつけるのに手間取ったが、ブラウスは問題なく、ワンピースを着ると胸の下の紐を縛るのをフィルランカに手伝ってもらった程度で、色違いの同じデザインの服を着た。


「うん。 いいわね。 エルメアーナもこれでいいわ。 あとは、靴を履いたら、一緒に行きましょう」


「そうだな。 フィルランカの晴れ姿、私も楽しみだ」


 2人が着替え終わると、嬉しそうに話をした。




 フィルランカとエルメアーナが着替え終わる。


 リビングでは、カインクムが2人を待っていた。


 カインクムも先日の合格発表の時の服を着ていたのだが、靴は、フィルランカが選んだ靴を履いていた。


「2人とも、とても綺麗だ」


 そのカインクムの言葉に、フィルランカは、顔を赤くするが、エルメアーナは、はしゃいでいた。


「おお、父! 私達2人は、そんなに綺麗か」


「ああ、まるで妖精か、天使のようだよ」


「おおー、父! それは、褒めすぎだ」


 エルメアーナは、上機嫌で答える。


 ただ、その横で、フィルランカは、顔を赤くして黙って、恥じらっているだけだった。


「ん? どうした、フィルランカ? 熱でもあるのか?」


 フィルランカは、恥ずかしくて顔を赤くしていたのだが、カインクムに聞かれて、慌てて、顔を横に振る。


「なら、いい。 入学式に熱でも出したら、大変だからな」


 そう言うと、カインクムも一緒に、第1区画の高等学校の入学式にむっかった。




 外を歩くとなると、すぐに、エルメアーナがフィルランカに腕を絡めてきた。


 フィルランカが、驚いて、エルメアーナを見る。


「この前、カンクヲンさん達が、踵の高い靴に慣れるまでは、フィルランカにエスコートしてもらえと言ってたじゃないか」


「ああ、そうだったわね」


 フィルランカも、その時のことを思い出したようだ。


(学校といったら、初めて通わせてもらった時の学校の試験の帰りに、カインクムさんと手を繋いで帰ったのよね。 もう、この歳になってしまったら、カインクムさんは、手を繋いでくれないでしょうね)


 フィルランカは、少し寂しそうな顔をしていた。


(代わりにエルメアーナと腕を組んでになってしまったわね)


 歩きながら、フィルランカは、考えているようだ。


(でも、こうやって、3人家族で、外を歩くことができるなんて、ちょっと、嬉しいかも)


 フィルランカは、カインクムを見る。


 そして、フィルランカは、エルメアーナに組まれた反対側の腕をカインクムの腕に組んだ。


 それをビックリして、カインクムは、フィルランカを見る。


「お、おい、年頃の娘が、することじゃないだろう」


 そう言って、カインクムは、フィルランカの手を振り解こうとするのだが、フィルランカは、カインクムのに組んだ腕を絡めるようにして、振り解くのを止めた。


「カインクムさん。 私を大事にしてくれてありがとうございます。 大好きなエルメアーナとカインクムさんと一緒に居られるなんて、私は幸せです」


「そうだ。 私も、フィルランカと一緒で幸せだ。 父、フィルランカを引き取ってくれて、ありがとう」


「大好きな2人と、こうやって、歩きたかったのです」


 カインクムは、恥ずかしそうに聞いている。


「そうか、だが、ちょっと恥ずかしい。 申し訳ないが、そこの角までにしてくれないか?」


「なんだ、父。 父でも恥ずかしいことがあるのか! ハハハ」


 エルメアーナが、揶揄うように言う。


「当たり前だ。 年頃の娘に腕を組まれて歩く中年男なんてなったら、また、変な噂になってしまう。 だから、そこまでにしてくれないか」


「わかりました。 カインクムさん。 そこまで、こうやって、腕を組ませてください。 大好きな2人と一緒に歩いた思い出を作らせてください」


「あ、ああ」


 そう言うと、3人は、通りに出るまで、腕を組んで歩いていった。


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