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エルメアーナの採寸


 ミルミヨルの提案によって、エルメアーナも、フィルランかと一緒に、ミルミヨルの作る服の宣伝のために、出歩くことになる。


 そのためにエルメアーナの採寸をして、彼女の体型に合うようにと、ミルミヨルが自ら行なった。


(ふーん。 フィルランカちゃんより、肩と二の腕周りが太いわね。 他も筋肉のつき方は、エルメアーナちゃんの方が、多めなのね。 まあ、家にいて、カインクムさんの鍛治を一緒に行っているなら、重いものも運ぶだろうし、自然に筋肉がついてしまったのね)


 採寸しながら、ミルミヨルは、考えていた。


(でも、大きな違いは、無いわね。 基本は、フィルランカちゃんと同じで構わないけど、上半身も下半身も少し太いと考えればいいわね)


 そう言いながら、エルメアーナの筋肉の付き方を確認するので、エルメアーナの体をあちこち触り出していた。


 エルメアーナも最初は、二の腕と腕だったので、それほど、気にならなかったのだが、ふくらはぎから、太ももの外側と内側を触られると、流石に恥ずかしそうにしていた。


 そして、ミルミヨルは、立ち上がって、エルメアーナの背後に立つと、ミルミヨルの手が、後ろから回って、鳩尾から下腹までを撫でると、エルメアーナは、半分べそをかきはじめる。


 エルメアーナは、服を作るために自分のサイズを測っているのだと思えば、我慢しているのだが、その我慢も限界まできていたのだ。


 ミルミヨルは、自分の手の感覚から伝わってくるエルメアーナの筋肉の脈動を心地よく思っていた。


 後ろから回した両手を、鳩尾から臍の下まで手を回すと、その手を左右に開いていって、腰骨の位置を確認すると、そのまま、手を上げていく。


 脇腹に達すると、その筋肉を確認するように、ミルミヨルは、エルメアーナの脇腹を両掌で確認するように握ったのだ。


「グミャー!」


 エルメアーナが、猫を分付けたような、訳のわからない声を上げた。


 ミルミヨルは、自分の手の感覚を楽しむように、エルメアーナの筋肉のつき方を確認していたのだが、そのことに集中してしまったので、エルメアーナがくすぐったいと感じていたことに気が付かずにいたのだ。


「にゃ、にゃ、にゃにをしゅりゅうんだ」


 そう言って、ミルミヨルを、エルメアーナが、振り返りながら、涙目で訴えていた。


「?」


 ミルミヨルは、何だという顔をすると、両手を1回揉んでしまった。


「はみゃぁ〜」


 エルメアーナの悲鳴を聞いても、ミルミヨルは、自分の世界に入り込んでいるのか、全く気がつかないようだ。


 そして、わきにあった手を擦るようにして上に、そして、前に持っていくように上げていく。


(うん。 女の子だから、こうやって脇の脂肪を胸に持っていくと、少し膨れるわね)


 ミルミヨルの手は、エルメアーナの胸を下から持ち上げるように持っていた。


 エルメアーナは、初めて、他人に自分の胸を触られて顔を真っ赤にすると、へたり込んでしまった。




 エルメアーナは、下半身の力が抜けたようになり、その場にへたり込んでしまったのだ。


「エルメアーナ、ミルミヨルさん。 ちょっと、入りますね」


 そう言って、試着室の中にフィルランカが顔を入れる。


 そこには、下着1枚を着けたエルメアーナが、床にへたり込んでおり、ミルミヨルは、エルメアーナの胸を揉んだ時の格好で止まっていた。


(ああ、ミルミヨルさん。 いつもの筋肉の確認をしてたのね)


「ミルミヨルさん。 いつもの確認でしょうけど、エルメアーナは、初めてだから、とても恥ずかしいと思いますよ」


 ミルミヨルは、フィルランカの言葉に気がついて、フィルランカを見る。


 そして、足元でへたり込んでいる、下着1枚だけのエルメアーナを見る。


「あっ、ごめん。 つい、夢中になって、エルメアーナちゃんの筋肉を確認しちゃったわ」


 エルメアーナは、半ベソ状態でいるので、フィルランカは、狭い試着室の中に入り、エルメアーナの横にいく。


「ミルミヨルさんは、いつもこうなの。 私も最初は驚いたけど、そうやって、体の中の筋肉を確認しているのよ」


「だけど、胸を揉むことはないだろう」


「でもね。 コルセットは、体に合わせた方が、とても楽だし、胸も大きくなるわよ」


「私の胸も、大きくなるのか?」


「うん」


 そう言うと、フィルランカは、ミルミヨルを見るので、エルメアーナもつられてミルミヨルを見た。


 2人に見上げられたミルミヨルは、先ほどの形のまま、立っていたのだが、2人に見上げられて、状況がやっと掴めたようだ。


 そして、2人の目は、何かを言えと言っていた。


「ん? ああ、エルメアーナは、胸に筋肉もあるから、それを利用して、もっと盛れそうだ。 エルメアーナは、もう少し胸を大きく作る必要があるみたいだ」


「何! 私の胸は、フィルランカより大きくなるのか?」


 エルメアーナは、胸が大きくなるに反応した。


「ああ、鍛えている胸は、うまくやれば、大きく見せられる。 きっと、フィルランカより、大きく見えると思うわ」


「そうかぁ、フィルランカより大きく見えるのか」


 そう言って、エルメアーナは、喜んだ。


 だが、隣にいる、フィルランカは、微妙な顔をしている。


(えーっ、湯浴みの時のエルメアーナの胸は、私と大して変わりないはずだったのに、ミルミヨルさんの服を着たら、エルメアーナの方が大きく見えるの?」


 フィルランカは、どうしたら良いのか困った。


 言葉にすることもできずにいる。


(まさか、ミルミヨルさんに、胸の大きさは、2人同じ位にして、なんて、言うわけにはいかないわ。 それにエルメアーナは、何だか嬉しそうだし、下手に色々言えないわ)


 フィルランカは、困った様子で、ミルミヨルとエルメアーナを見比べていた。


「おーい、何かあったのか?」


 試着室の外から、カインクムが、心配そうに声をかけてきた。


「何でもない! 父! 私の胸の採寸をしてもらってただけだ。 くすぐったくて、声が出てしまっただけだ。 気にするな」


「そうか、じゃあ、向こうで待ってるから、好きな服を選んでくれ」


「分かった。 父。 ありがとう」


「あ、ああ」


 カインクムの足音が遠ざかっていった。


 それを聞いて、フィルランかとエルメアーナは、ため息を吐くと、お互いの顔を見て、くすくすと笑った。


「ミルミヨルさん。 エルメアーナをこのまま、下着1枚にしておくのは良くないので、早く決めてしまいましょう。 きっと、カインクムさんは、痺れを切らせていると思いますから」


「ああ、そうだな。 そうしよう」


 そう言うと、ミルミヨルは、エルメアーナの下着から順番に揃えてくれた。


 上に着るドレスも、用意してもらうと、着替えて、カインクムに見てもらうと、カインクムも嬉しそうにしていた。


 そして2人の服を決めると、その服を着て、店を出るのだった。


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