表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

592/1356

ミルミヨルの提案


 ミルミヨルは、少し興奮気味にエルメアーナをみている。


 その思惑ありげな、表情をみて、フィルランカは、また、始まったと思ったようだが、エルメアーナは、そのミルミヨルの表情を初めて見るので、少し引いている。


「それでね、エルメアーナちゃん」


 エルメアーナは、話しかけられて、びくりとしたが、ミルミヨルは、そんなことを気にすることなく話を続ける。


「あんたにも、用意させてもらえるかな。 あなたにも素敵な服を用意させて欲しいの」


(これで、エルメアーナが、外に出る回数が増えれば、カインクムさんも、きっと、喜ぶわ。 フィルランカちゃんに宣伝を頼んだお礼になるわね)


 ミルミヨルは、フィルランカの宣伝効果が思った以上だった分を、エルメアーナに何かをしようと思ったのだ。


 だが、エルメアーナには、ミルミヨルの思っていることは通じてないので、驚いたようだ。


「えっ! 私も、なのか?」


「そう、あなたもよ」


 そう言って、ミルミヨルは、笑顔を向ける。


 ただ、2人は、ミルミヨルが、何か、思惑がありそうだと感じているので、手放しで喜んでいないようだ。


 2人は、お互いの顔を見る。


「エルメアーナちゃんも、これからは、一緒に食べ歩くのでしょ。 だったら、フィルランカちゃんと、同じような服を用意する必要があるでしょ。 だから、これからは、2人、一緒に、お店に来るようにしてね」


「えっ! わた、私は、フィルランカほど、外に、出る、ことは、ない」


 エルメアーナが、困ったように言う。


「えーっ! そんなぁ、2人ともとても可愛いのにぃ。 2人じゃないと、私の服も可愛さ半減ですねぇ。 困ったわねぇ。 フィルランカちゃん1人じゃなくて、2人セットにしたデザインが思いついたので、ちょうどよかったのだけど、……。 そうなると、フィルランカちゃんと、一緒に歩いてくれる人を、探さないといけないのかなぁ」


「え、私、誰か知らない人と一緒に街を歩くのですか?」


 ミルミヨルの話にフィルランカが、反応した。


 ミルミヨルとしたら、最初から、別の誰かを考えていないのだ。


 エルメアーナをフィルランカと一緒に歩かせて、お店に入って行くのを考えていたのだ。


「うーん。 その方がいいのよねぇ。 女の子2人が、楽しそうに私の服を着て街を歩くの、そして、ラウンジでお茶をする姿、それを見た人達は、きっと私の服を見て欲しいと思うわ。 ……。 でも、エルメアーナちゃんが、ダメなら、誰か、フィルランカちゃんの相手を探さないといけないわねぇ。 フィルランカちゃんと一緒に歩いてくれる女の子なんだけどなぁ」


 そう言って、エルメアーナを見る。


 フィルランカは、エルメアーナが、乗り気でないので、困った様子をする。


「あのー。 それは、どうしても2人なのですか?」


「うーん。 私のイメージだと2人なのよ。 その2人が楽しく街を歩く姿なのよ」


「私も、エルメアーナとなら、一緒に歩いてもかまわないですけど、知らない人と歩いていても、そんなに楽しいとは思えないから、エルメアーナが一緒じゃないなら、ちょっと、嫌です」


「あらー、残念。 フィルランカちゃんは、今まで、色々、私の服を着てくれていたから、合わせやすいのだけど、フィルランカちゃんに断られちゃったら、これは、諦めるしかないのかしら」


 そう言って、エルメアーナの顔を見る。


「エルメアーナちゃんが一緒だったら、フィルランカちゃんは、2人で着てくれる?」


 ミルミヨルは、エルメアーナから目を離さないでフィルランカに聞く。


「ええ、エルメアーナと一緒なら、構わないです」


「ねえ、エルメアーナちゃん。 フィルランカちゃんと一緒に、外で食事をしたり、お茶をしたりして、おしゃべりしてみたいと思わない?」


 ミルミヨルは、少しイヤらしそうな笑いを浮かべるが、悪意は見えない。


「フィルランカちゃんは、エルメアーナちゃんと一緒なら、いいみたいだけどなぁ」


 そう言って、ミルミヨルは、フィルランカをみる。


「あ、ええ、私も、エルメアーナと一緒なら、かまわない、かな」


「そうなのか、フィルランカ」


「うん。 私もエルメアーナと一緒に、ご飯を食べに行きたいわ」


 フィルランカとエルメアーナの2人なら、フィルランカの宣伝効果は、今までの結果から確実性はある。


 そして、フィルランカと一緒にもう1人、可愛い2人が自分の服を着て歩いてくれたら、いい宣伝になると思ったのだ。


「エルメアーナちゃん。 フィルランカちゃんを助けると思って、一緒に私の服を着て、第1区画とかを歩いてみない?」


「うん。 フィルランカと一緒なら、一緒に歩いてもいい、かも」


 エルメアーナが、了解してくれたことで、ミルミヨルは、喜んだ様子をする。


(これで、引きこもりのエルメアーナを、外に出せるようにできたわ。 カインクムさんへの顔もたつわね)


「じゃあ、フィルランカちゃんの採寸と、エルメアーナちゃんも採寸するわね。 2人に合わせて、ちゃんと仕立ててあげるからね。 ああ、フィルランカちゃんを先に採寸するのは、フィルランカちゃんは、何度も採寸しているから、でも、エルメアーナちゃんは、初めてだから、どんなことをするかみていてね」


 そういうと、フィルランカの採寸をするからと言う。


「じゃあ、フィルランカちゃん。 服脱いで」


 ミルミヨルに言われると、フィルランカは、上着を全て脱いで、下着1枚になると、ミルミヨルに首から、胸のサイズ、ウエスト、ヒップ、太ももや膝と、足首までの寸法を全て調べられていた。


 フィルランカは、5年近く行われていたので、気にならなかったようだが、それをみていたエルメアーナは、そんなところまで、触られたりしながら、寸法を測られるのかと思い、少し引き気味にしている。


 フィルランカの採寸が終わると、エルメアーナも下着1枚になると、ミルミヨルに採寸された。


 時々、くすぐったそうにしながら、顔を赤くしていた。


 ただ、初めての採寸で、人に触られたことのない場所まで触れたので、エルメアーナは、耐えきれずに声を上げたりしていた。


 それをフィルランカが、宥めながら、ミルミヨルに採寸してもらったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ