ミルミヨルの提案
ミルミヨルは、少し興奮気味にエルメアーナをみている。
その思惑ありげな、表情をみて、フィルランカは、また、始まったと思ったようだが、エルメアーナは、そのミルミヨルの表情を初めて見るので、少し引いている。
「それでね、エルメアーナちゃん」
エルメアーナは、話しかけられて、びくりとしたが、ミルミヨルは、そんなことを気にすることなく話を続ける。
「あんたにも、用意させてもらえるかな。 あなたにも素敵な服を用意させて欲しいの」
(これで、エルメアーナが、外に出る回数が増えれば、カインクムさんも、きっと、喜ぶわ。 フィルランカちゃんに宣伝を頼んだお礼になるわね)
ミルミヨルは、フィルランカの宣伝効果が思った以上だった分を、エルメアーナに何かをしようと思ったのだ。
だが、エルメアーナには、ミルミヨルの思っていることは通じてないので、驚いたようだ。
「えっ! 私も、なのか?」
「そう、あなたもよ」
そう言って、ミルミヨルは、笑顔を向ける。
ただ、2人は、ミルミヨルが、何か、思惑がありそうだと感じているので、手放しで喜んでいないようだ。
2人は、お互いの顔を見る。
「エルメアーナちゃんも、これからは、一緒に食べ歩くのでしょ。 だったら、フィルランカちゃんと、同じような服を用意する必要があるでしょ。 だから、これからは、2人、一緒に、お店に来るようにしてね」
「えっ! わた、私は、フィルランカほど、外に、出る、ことは、ない」
エルメアーナが、困ったように言う。
「えーっ! そんなぁ、2人ともとても可愛いのにぃ。 2人じゃないと、私の服も可愛さ半減ですねぇ。 困ったわねぇ。 フィルランカちゃん1人じゃなくて、2人セットにしたデザインが思いついたので、ちょうどよかったのだけど、……。 そうなると、フィルランカちゃんと、一緒に歩いてくれる人を、探さないといけないのかなぁ」
「え、私、誰か知らない人と一緒に街を歩くのですか?」
ミルミヨルの話にフィルランカが、反応した。
ミルミヨルとしたら、最初から、別の誰かを考えていないのだ。
エルメアーナをフィルランカと一緒に歩かせて、お店に入って行くのを考えていたのだ。
「うーん。 その方がいいのよねぇ。 女の子2人が、楽しそうに私の服を着て街を歩くの、そして、ラウンジでお茶をする姿、それを見た人達は、きっと私の服を見て欲しいと思うわ。 ……。 でも、エルメアーナちゃんが、ダメなら、誰か、フィルランカちゃんの相手を探さないといけないわねぇ。 フィルランカちゃんと一緒に歩いてくれる女の子なんだけどなぁ」
そう言って、エルメアーナを見る。
フィルランカは、エルメアーナが、乗り気でないので、困った様子をする。
「あのー。 それは、どうしても2人なのですか?」
「うーん。 私のイメージだと2人なのよ。 その2人が楽しく街を歩く姿なのよ」
「私も、エルメアーナとなら、一緒に歩いてもかまわないですけど、知らない人と歩いていても、そんなに楽しいとは思えないから、エルメアーナが一緒じゃないなら、ちょっと、嫌です」
「あらー、残念。 フィルランカちゃんは、今まで、色々、私の服を着てくれていたから、合わせやすいのだけど、フィルランカちゃんに断られちゃったら、これは、諦めるしかないのかしら」
そう言って、エルメアーナの顔を見る。
「エルメアーナちゃんが一緒だったら、フィルランカちゃんは、2人で着てくれる?」
ミルミヨルは、エルメアーナから目を離さないでフィルランカに聞く。
「ええ、エルメアーナと一緒なら、構わないです」
「ねえ、エルメアーナちゃん。 フィルランカちゃんと一緒に、外で食事をしたり、お茶をしたりして、おしゃべりしてみたいと思わない?」
ミルミヨルは、少しイヤらしそうな笑いを浮かべるが、悪意は見えない。
「フィルランカちゃんは、エルメアーナちゃんと一緒なら、いいみたいだけどなぁ」
そう言って、ミルミヨルは、フィルランカをみる。
「あ、ええ、私も、エルメアーナと一緒なら、かまわない、かな」
「そうなのか、フィルランカ」
「うん。 私もエルメアーナと一緒に、ご飯を食べに行きたいわ」
フィルランカとエルメアーナの2人なら、フィルランカの宣伝効果は、今までの結果から確実性はある。
そして、フィルランカと一緒にもう1人、可愛い2人が自分の服を着て歩いてくれたら、いい宣伝になると思ったのだ。
「エルメアーナちゃん。 フィルランカちゃんを助けると思って、一緒に私の服を着て、第1区画とかを歩いてみない?」
「うん。 フィルランカと一緒なら、一緒に歩いてもいい、かも」
エルメアーナが、了解してくれたことで、ミルミヨルは、喜んだ様子をする。
(これで、引きこもりのエルメアーナを、外に出せるようにできたわ。 カインクムさんへの顔もたつわね)
「じゃあ、フィルランカちゃんの採寸と、エルメアーナちゃんも採寸するわね。 2人に合わせて、ちゃんと仕立ててあげるからね。 ああ、フィルランカちゃんを先に採寸するのは、フィルランカちゃんは、何度も採寸しているから、でも、エルメアーナちゃんは、初めてだから、どんなことをするかみていてね」
そういうと、フィルランカの採寸をするからと言う。
「じゃあ、フィルランカちゃん。 服脱いで」
ミルミヨルに言われると、フィルランカは、上着を全て脱いで、下着1枚になると、ミルミヨルに首から、胸のサイズ、ウエスト、ヒップ、太ももや膝と、足首までの寸法を全て調べられていた。
フィルランカは、5年近く行われていたので、気にならなかったようだが、それをみていたエルメアーナは、そんなところまで、触られたりしながら、寸法を測られるのかと思い、少し引き気味にしている。
フィルランカの採寸が終わると、エルメアーナも下着1枚になると、ミルミヨルに採寸された。
時々、くすぐったそうにしながら、顔を赤くしていた。
ただ、初めての採寸で、人に触られたことのない場所まで触れたので、エルメアーナは、耐えきれずに声を上げたりしていた。
それをフィルランカが、宥めながら、ミルミヨルに採寸してもらったのだった。




