レオンの試運転
カインクムとフィルランカの魔法紋付与の魔法が使えるようになると、レィオーンパードのパワードスーツの組み立てに入った。
先程までとは違い、今度は、ジューネスティーンの説明も殆どする事なくカインクムが中心に組み立てを行なった。
時間も、説明が無かった分だけ早く完了する事になる。
ジューネスティーンも、カインクムの作業を見ているだけで、たまに、細かな違いの部分だけの説明程度だった事に満足しているようだった。
残り3台のパワードスーツを組み立てる時も、問題になる部分は、少ないと思ったのか、レィオーンパードのパワードスーツが完了すると、安心したような顔をする。
前衛の2人は、どうも、顔周りを完全に覆われてしまうのが嫌だと言うことで、レィオーンパードのパワードスーツも首より上は無い。
レィオーンパードは、基本的に目が良い事で、遠くの魔物を見つけるのに長けている。
その長所を生かすために肉眼で周囲を見る事を望んだので、その希望の通りにしたのだ。
レィオーンパードも完成後は、軽くホバーボードに乗ってみて感じを掴んでいた。
「にいちゃん。 工房の裏に庭があるじゃん。 そこだけなら、この状態で動かしてみていいんじゃね」
「だーめ」
外で動かしたいと思っているレィオーンパードは、ジューネスティーンの許可をもらおうとしたが、あっさりと、断られた。
レィオーンパードが、がっかりした様子をすると、今の話を聞いていたカインクムが、話に入ってきた。
「そこの裏庭は、武器の試し斬りに使うから、全体を塀で覆われている。 そこの裏庭だけなら、周りから見られる事もないから、構わないんじゃないか?」
カインクムが、レィオーンパードの希望を叶えさせられそうなフォローを入れてきた。
それを聞いて、レィオーンパードは、外で動かせると思ったのか喜んだ。
「カインクムさん。 今回のパワードスーツは表に出すわけにはいかないので、今回は外に出しません」
ジューネスティーンが、カインクムの案を否定した。
「そうか。 なら仕方がないな」
その表情には、絶対に妥協しないといった様子があったので、カインクムは、直ぐに引き下がってしまった。
「レオンを庇ってくれて、ありがとう。 だが、こいつは、逃亡する。 外にその格好で出したら、塀を飛び越えて外に出る可能性がある。 だから、今のレオンを外には出さない」
シュレイノリアが珍しく説明をした。
以前、ホバーボードの開発の時に、逃亡された事を思ってなのか、ジューネスティーンに同意してきた。
「シュレの言うとうりですぅ。 レオンは、鉄砲玉ですからぁ。 外に出すのは危険ですぅ」
「そうそう、獣は檻の中だから安心できるけど、外に出たら危険だから」
アリアリーシャの発言に珍しくカミュルイアンが反応した。
「誰が、獣だよ。 俺だって、その位は弁えるよ」
カミュルイアンの言葉には、レィオーンパードも反応した。
見た目は、同じ歳程度に見えるので、男同士仲が良いので、一緒にいる事が多いが、女子の視線がある時は、静かにしているのだ。
そんなカミュルイアンが、レィオーンパードにツッコミを入れてきたので、レィオーンパードもそれに反応した。
「建物の外は、絶対にだめ」
ジューネスティーンは、収集が付かなくなりそうだと思ったのか、少し強い口調でレィオーンパードに伝えた。
その表情を見たレィオーンパードは、がっかりしたようになった。
「はーい」
レィオーンパードは、仕方無さそうに答えたので、裏庭での試運転の話は終わった。




