表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

531/1356

パワードスーツから出る時の憂鬱 3


 子供扱いされた事に怒ったアンジュリーンが、ジューネスティーンの頬を叩いて謝られると、アンジュリーンは少し落ち着いたようだが、まだ、少し赤い顔をしている。


「ふん!」


 アンジュリーンが鼻を鳴らす。


 だが、ジューネスティーンが謝った声を聞いて、呪縛のように動けなかったアリアリーシャが、その声でやっと呪縛が解けたと思ったところに、アンジュリーンが鼻を鳴らした事に反応して、アンジュリーンを止めようと、また、アンジュリーンを後ろから抱きしめた。


「ダメですぅ、アンジュ。 それまでですぅ」


 アンジュリーンも頭に血が上っていたのだが、ビンタとジューネスティーンの詫びで、収まりつつあったのだろう。


 今度は、アンジュリーンが、アリアリーシャのその行動に驚いた。


「えっ! 何? アリーシャ、どうかしたの?」


 そう言って、後ろのアリアリーシャを確認しようと、後ろを振り返ろうとするが、アリアリーシャは必死でアンジュリーンを抑えようとしている。


 また、ジューネスティーンに何かすると思っているのだろう。


 その必死に抱きついているアンジュリーンは、何故か恥ずかしそうにしているのだ。


「ねぇ、ちょっと、アリーシャ、話して、もう、大丈夫、だから」


 アンジュリーンは、そう言いつつ、お腹を前に出すような仕草をする。


(うわぁー、背中にアリーシャの胸、胸、当たってる。 すごい弾力って、分かったから、だから、もう、やめて、ジュネスの言った事もわかったから、許して)


 アンジュリーンは、何か恥ずかしそうにしている。


「アリーシャ、本当に、もう分かったから、その手を離して! お願い、もう許して! お願いします」


 その言葉に、アリアリーシャは、少し不思議そうな顔をする。


 アリアリーシャにしては、アンジュリーンが、何で許してと言ったのか疑問に思うだろう。


 自分に許しを乞うような事を、アンジュがしたのかと疑問に思ったのだろう。


 ただ、アンジュリーンが落ち着いたと思ったのだろう、手を緩めてアンジュリーンを離す。


 すると恥ずかしそうに振り返って、自分の肩を抱くようにして、アリアリーシャを恨めしそうに見る。


「姉さんのバカ!」


 その反応にアリアリーシャは戸惑う。


 さっきの許してと言った事もだろうが、今の言葉には、何だか可愛い感じがしたのだろう。


 何で、アンジュリーンがそんな反応をしたのか理解できないみたいだ。


 アンジュリーンも冷静になった事で、周りもホッとしている。


 冷静になったところで、アンジュリーンも自分がパワードスーツから出る方法について本気で考えているようだ。


(今のようにアリーシャを出すなら、私が引っ張り出せば問題はないけど、シュレに同じ事が出来るのかなぁ)


 アンジュリーンは、シュレの顔を見る。


(シュレの貧弱さは、分かっているわ。 多分、私を引き上げるなんて、無理ね)


 アンジュリーンは、俯き加減に悩むような素振りを見せる。


(じゃあ、アリーシャとシュレの2人に引き上げてもらうの? そうなると、ジュネスがシュレを引き上げて、その後にシュレがアリーシャを引き上げる。 それから2人で私を引き上げるなら出来そう?)


 今度は、上を向いて、物思いに耽るような顔をする。


(いやいや、そうなると、足場に問題があるわ。 あのふくらはぎの装甲に2人が乗るなんて無理だわ)


 アンジュリーンは、首を振り出す。


(じゃあ、私は、一度入ったら、もう出られなくなってしまうの?)


 不安そうな顔になる。


(いやいや、そんな事になったら、私は、パワードスーツを付けたまま生活するって事じゃないの。 食べるのも、寝るのも、トイレも……。 えっ、そうなったらどうやってするのよ)


 頭を掻きむしるような仕草をする。


(だめよ、絶対にパワードスーツから出なければ、生活できなくなるわ)


 顔を覆うように手のひらを頬に当てて、青い顔をする。


(そんな事になったら、私は破滅だわ)


 そう言うと、今度は、ジューネスティーンの顔を睨むように見る。


 見られたジューネスティーンは、さっきの件があったので、少し緊張する。


 だが、アンジュリーンは、直ぐにガッカリしたような顔をする。


(私が、パワードスーツから出るには、ジュネスに介助してもらうしか、今は、方法が無いのね)


 そう思うと、両手で顔を覆う。


 そのアンジュリーンの百面相を、周りは何も言わずに、見ているだけしかできないでいる。


 リビングに戻りたいのだろうが、そのアンジュリーンの様子が、それを許さないと訴えているように周りは思ったのだろう。


 オドオドしながら、その様子をただ見つめるしかなかった。


 すると、アンジュリーンは、ジューネスティーンに真剣な顔で見る。


 その真剣な顔にジューネスティーンは、頬の痛みが疼いてくる。


 アンジュリーンは、そんなジューネスティーンの態度を気にする事なく話し出す。


「ジュネス!」


「はい!」


 そのアンジュリーンの呼びかけが、強い口調だったので、ジューネスティーンは緊張した面持ちで答えた。


「いいこと、あんたは、これから知恵を絞って、ここにいるメンバーが、全員1人でパワードスーツから出れるようにしなさい! いいわね」


 そう言われて、困った顔をジューネスティーンはするが、直ぐにひらめいた様子で答える。


「じゃあ、俺のように腕だけで体を支えられるように、今日から、夕食前に筋トレしよう」


 そう言われて、ジューネスティーンの腕を見ると、ムキムキの筋肉の腕で自分の体が、ジューネスティーンのようになった時の体を、全員が想像しているような顔をする。


 太もも程の二の腕を自分の中で想像しているのだろう。


 それぞれの思惑があるので、人それぞれ、違う表情をしている。


 すると、アンジュリーンが、イラついた様子で、ジューネスティーンにくってかかった。


「私は、アンタみたいな、ムキムキマッチョの腕にはなりたくない。 そんな腕じゃ可愛いドレスも着れないじゃないの」


 そう言いつつ、顔は赤くなっている。


 どうも、アンジュリーンの反応が、変な反応をしているのだが、正面で見ているジューネスティーンにはわからないようである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ