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パワードスーツから出る時の憂鬱 2


 ジューネスティーンは、アンジュリーンの胸の大きさについて、思わず声に出してしまった。


 だが、無意識にポロリと出てしまった言葉に、ジューネスティーンは、気に止めることは無かった。


 そんな事に、我関せずといった様子で、ジューネスティーンは何かを考えながら、つぶやくように話し出す。


「じゃあ、どうしようか。 アンジュが、パワードスーツを脱ぐ時は、シュレとアリーシャの2人に補助してもらうか。 そうなると、まず、俺がシュレを出してあげてから、シュレがアリーシャ姉さんを出さなければいけないのか。 それで、最後に2人でアンジュを引き上げる事になる。 そうなると、ふくらはぎの第二装甲に2人が乗る事になると、アンジュのパワードスーツは2人が乗れるように考えないといけないのか。 それは、足の両サイドの第二装甲を、アンジュのだけ、広げるようにすれば、それで済むかも。 そうなったら、シュレに、また、魔法紋を書き換えてもらうのか。 魔法紋の修正に掛かる時間はどうなるだろう。 いや、アンジュのパワードスーツは完成してないのだから、届いて組み立てる時に考えれば、それで終わるのかも。 ああ、それと、今の変更を行なったことで、他に影響が出ないかの確認も必要になる。 でも、本当にこの方法で良いのか、な」


 ジューネスティーンは、アンジュリーンに言った言葉を忘れて、どうやってアンジュリーンをパワードスーツから出すのかを考えていた。


 独り言のように呟きながら、ジューネスティーンは、女子2人を見るが、どう見ても、130センチのアリアリーシャなら、シュレイノリアでも何とかなるかもしれないが、160センチのシュレイノリアでは、162センチのアンジュリーンの補助は難しいと考えたようだ。




 そんな中、ジューネスティーンは、自分を鬼の形相で睨みつけるアンジュリーンの視線と目があったのだ。


 だが、ジューネスティーンは、何でそんな顔をするのかといった感じで、アンジュリーンを見た。


 ジューネスティーンの視線は、少し下がると、アンジュリーンの腹部に手を回して、必死で抑えているアリアリーシャを捕らえたのだ。


 だが、ジューネスティーンには、2人が何でそんな事をしているのか、理解できないでいる表情を見せている。


「2人とも、何いているの?」


 ジューネスティーンは、呑気に質問した。


 その質問に、更に頭に血が上ったアンジュリーンが、ジューネスティーンに向かおうとするが、アリアリーシャが必死でアンジュリーンを抑えている。


 だが、堪えきれそうも無いので、慌ててジューネスティーンに訴える。


「ジュネス! あんたの発言に、アンジュが、怒っているのよ。 さっさと、謝って!」


「えっ! 何で?」


 何の事かわからなかったのだろう、ジューネスティーンは、聞き返してしまった。


「あんたが、アンジュを子供扱いして、胸が小さいって言ったからでしょ。 だから、謝って!」


 キョトンとしているジューネスティーンなのだが、アリアリーシャの言った事について、何だか思い当たるような気がするのか、徐々にジューネスティーンの顔が青くなる。


「アンジュ、ごめん。 悪い事を言った。 本当に、ごめん」


 そう言って、頭を下げる。


 その頭も、かなり低く、腰から体を90度に曲げていた。


 その態度に、少しアンジュリーンの気持ちも収まったようだ。


「もう、あんたは、私達が簡単に脱げるように設計しないから。 なんで、私の体型について、あんたに批評されなければならないのよ。 私は、まだ、成長期なのよ」


 そう言って、頬を膨らませる。


 ジューネスティーンは、アンジュリーンの返事に、助かったと思って、顔をあげる。


 アリアリーシャもそのアンジュリーンの発言で、何とか収まったとホッとして、腕の力を緩める。


 しかし、アンジュリーンの気持ちは収まってなかった。


 アリアリーシャの腕の力が緩んだとみると、その腕を振り払って、ジューネスティーンとの間合いを、一気に詰めると、アンジュリーンの右手のひらが、ジューネスティーンの頬に炸裂した。


 その音が、工房内に響き渡る。


 周りに居る人達は全員が、その状況を目に焼き付けてしまった。


 アンジュリーンの右手は、ジューネスティーンの頬を叩き終わった、そのままの格好で止まっている。


 誰もが、その状況で口を開こうとしない。


 いや、多分、誰もが怖くて口を開く事ができないのだ。


 ただ、誰もが、ジューネスティーンが言った事は聞いているので、誰もが、ジューネスティーンが悪いと思っているのだろう、次のジューネスティーンの言葉を待っているのだ。


 その重苦しい雰囲気の中、ジューネスティーンは、叩かれた勢いで右を向いていた顔を、ゆっくりとアンジュリーンに向ける。


「本当に、ごめん」


 もう一度謝ったのだ。


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