前衛のパワードスーツの組立 5
シュレイノリアのパワードスーツは、頭部が付いてない。
頭部については、ジューネスティーンのものとは異なり、首から上が繋がってないセパレートタイプになっている。
アリアリーシャはウサギの亜人のために耳を外に出したり、本人の希望によってモニターは無く直接目で見るようにしたいと、希望があったのだ。
そのため、後頭部と側頭部のガードがサンバイザーのように付いている。
そんな形をしている兜を付けるだけなので、パワードスーツとしては首から下だけとなっているのだ。
シュレイノリアの頭部は最初に頭に付けてからパワードスーツを装着するつもりで設計したので、パワードスーツ自体は、首から下だけで、首と頭は無い。
カインクムは、外装骨格とそれに伴う人工筋肉、そして、内部の人と、外装骨格の隙間を埋めるインナーの取り付けを終わらせた。
骨格と内装と補助筋肉の取り付けが終われば、基本工程が終わった事になり、後は、放熱と移動補助用の風魔法による空気の排出を兼ねた外部装甲を取り付ければ完成である。
シュレイノリアによる、外部装甲への魔法紋付与も終わっているので、パワードスーツの組み立ては最終工程に入った。
最初に腹部の鎖帷子を胸の装甲と背中の背骨のジョイント部分に取り付けていくと、足の第二装甲、腰の装甲、腹部、肩に装甲を取り付けていく。
取り付けては、その外装装甲の可動域を確認しつつ、体の動きに対してどの程度の影響があるのかをジューネスティーンは確認していた。
実際の動きをイメージするように考えているようである。
取り付けた後に、シュレイノリアも、装甲の開閉を行なって、内側の魔法紋に傷が入らないか確認を行なっていった。
魔法紋の傷は、場合によっては魔法紋の起動が出来ないことになりかねないので、慎重に確認するのだった。
全ての確認事項が終わったところで、ジューネスティーンの表情も柔らかくなり、自信を持ったような顔つきになった。
アリアリーシャのパワードスーツが完成したのを実感しているようだった。
落ち着いた表情でジューネスティーンは、アリアリーシャを見た。
「アリーシャ姉さん。 後は実際に装着してみて、動きの確認になる。 一度、寸法合わせで着けたけど、分解して組み立てているから、最終確認をしておきたいんで、着替えてもらえるかな?」
最終的に微妙な寸法などの微調整を行うたパワードスーツの装着を、実際に装備するアリアリーシャにお願いしたのだ。
アリアリーシャの体に合わせて開発してきた機体だが、複数のパーツを外して移動させ、ここで組み立てたことで、クリアランスの関係で、若干の狂いが出た可能性があると、ジューネスティーンは考えたようだ。
機械は、稼働する部分について、内と外の寸法に若干の隙間を設ける必要がある。
隙間が無ければ、可動部は動かないし、挿入する事も出来なくなる。
シリンダーにリングを差し込むにしても、シリンダーの外径とリングの内径が同じなら、そのシリンダーにリングは入ることは無い。
その為に、シリンダーの外径とリングの内径は、ほんの僅かな隙間を作る。
それがクリアランスなのだ。
パワードスーツは、複数のパーツによって組まれているので、全部のクリアランスを合計すると、意外に狂いが出てしまうので、その狂いを調整するためにジューネスティーンは、実際に着けてみて確認をしたいのだ。
アリアリーシャは、少し恥ずかしそうにするが、専用のインナースーツに着替える為、シュレイノリアを引き連れてリビングに向かった。
フィルランカに部屋を借りて着替えをする為だ。
インナースーツは、体にフィットする薄い全身水着のようなタイプなので、装着の際は、ほぼ、素肌につけるようになるので、家事工房の中で着替えるつもりは無いのだ。
カインクム達は、アリアリーシャの着替えの間に、作業台に散らばったアリアリーシャ用のパーツを保護していたクッション材などを片付ける事にしたようだ。
アリアリーシャのパワードスーツが完成したので、今度は、レィオーンパードのパワードスーツの組立になるので作業台とその周辺を片付け流のだった。
片付け作業が終了すると、すぐに、アリアリーシャが、パワードスーツ用のインナースーツに着替え、シュレイノリアを引き連れて工房にもどてきた。
体に完全フィットする薄手のインナースーツは、オーダーメイドで、体に隙間無く張り付くようになるので、そんな格好に慣れてないせいか、また、インナースーツの話もカインクムにしてなかった事もあり、その姿を晒すのが恥ずかしいようである。
アリアリーシャは、恥ずかしそうに、腕を前にかがめるようにしていた。
それは、少しでも前が隠れるようにと配慮していた様子で工房に入ってきた。
最初は、インナースーツだけだったのだが、完成後に試着した時、女子3人からというより、アリアリーシャとアンジュリーンの2人からクレームがでたのだ。
完全に体にフィットしていて、体のラインが完全に見えるので、裸より恥ずかしいと指摘を受けてしまったのだ。
ジューネスティーンとしたら、パワードスーツの中に入ってしまうのだから、気にする事も無かったようだが、女子からしたら、完全に自分達の体の線がはっきり見えてしまうので、はすかしかったのだ。
その結果、後から、女子達には、胸を軽く覆うベストと、動けば腰が見えてしまう程に短いスカートを用意した。
戦闘を意識した、パワードスーツのインナースーツなので、可能な限りインナースーツには、不要な物を排除したかった事もあり、ジューネスティーンは、インナースーツの上に付ける衣類は最小限にしたのだ。
ただ、男子達からも、後から、インナースーツだけだと、自分の股間の物の形と大きさが外から分かってしまう事を指摘された事もあり、女子達同様にインナースーツの上に付けるホットパンツを用意している。
女子用のインナーには、ベストと超ミニスカートを組み合わせ、男子用にも女子用と同じベストとホットパンツを用意したのだ。




