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前衛のパワードスーツの組立 3


 話は決まったので、早速作業に取り掛かる事になる。


 ジューネスティーンの指示がカインクムに出る。


「では、21の箱は建具の脇に、22は外装パーツ、23には、組立時に必要な小物と、頭部と、腕のパーツだと思います。 とりあえず、22の箱の中のパーツには、魔法紋の描いて無い物があるので、それをシュレイノリアに渡しましょう」


 そう言って、22の箱を開き、中に入っているパーツを作業台の上に置いていく。


 その中から目的のパーツを、ジューネスティーンが指示して、カインクムがシュレイノリアに渡す。

 シュレイノリアは、受け取ったパーツを、用意された折りたたみ式の作業台に置いて、魔法紋の作業に取り掛かる。


「じゃあ、我々は組立に入りましょう。 一昨日、見た胴体の部分を、建具に引っ掛けて下さい。 脇の部分に引っ掛けられますので」


 そう言うと、元の作業台に戻り、本体の組み立てに入る。


 カインクムが胴体部分を取り出して建具に引っ掛ける。


 それを取り出す時カインクムが抱き抱えるように出したので、それを見たアリアリーシャが微妙な顔で見ている。


 ジューネスティーンは、カインクムの背後に立って、可能な限りカインクムの視線の位置になるようにして指示を出す。


「最初に足を取り付けます。 腰の部分のU字パーツのところに、シリンダーが出ていますので、足の上部にある、Oリングに差し込んで下さい」


 外部装甲の無い胴体のパーツは、肋の上半分を覆うように装甲が取り付けられており、二の腕は左右とも付いている。


 腰は、差込もうと持ってきた片足を当てようとすると、シリンダーの先端に固定用の部品が有る事に気がつく。


「あんちゃん、シリンダーの先の部品は外して良いんか?」


「ええ、部品は可能な限りその場所に仮止めで付けてあるはずなので、外して差し込んで下さい。 手で回せばその部品は外れるはずです」


 それを聞いて、カインクムは言われるままに、部品を外して、片足をそのシリンダーに差し込んだ。


 左腕で、太ももの部分を抱えて、右手で角度を微調整しながら差し込んでいく。


 それを見るアリアリーシャが恥ずかしそうにモジモジしている。


 シリンダーに片足が入ると、ジューネスティーンの指示が出る。


「さっき外した部品を付けておいて下さい。 仮止めなので手で回すだけで構いません」


 指示に従うカインクム、それを見て、ジューネスティーン、次の指示を出す。


「内股の、前と後ろに足から出ている、補助用の人工筋肉ですけど、固定用の金属製の金具を取り付けてください。 それも、シリンダーの頭にビスが付いていますから、回せば取れると思います」


 言われるまま、指示通りに作業を進めると、片足が取り付けられた。


「今の要領で、もう片方の足も取り付けて下さい」


 そう言われて、カインクムはもう片方の足を抱きかかえて、パワードスーツに取り付ける。


 差し込むシリンダーは、腰の外側に向かって出ているので、足を外側から持つので片手は太ももの内側に手を回すようにして、片手は足の裏にあてて腰のシリンダーに足のリングを差し込むようにする。


 取り付け終わると、アリアリーシャが恥ずかしそうに顔を赤らめているのに気がついたカインクムが不思議そうに尋ねる。


「ウサギの嬢ちゃん、どうかしたのか?」


 モジモジしているアリアリーシャが、恥ずかしそうに答える。


「それぇ、私のなんですぅ。 見ているとぉ、私のぉ、足をぉ、抱き抱えられてるぅ、気がしてぇ、ちょっとぉ、恥ずかしいのですぅ」


 自分のパワードスーツなので、何だか自分の分身のように思えるのだ。


 その組立を見ていると、なんだか自分の足を抱えられているような感覚になり、少し恥ずかしく思っているのだ。


 南の王国では寸法合わせをする時などは足を通している。


 細かな調整を行う時などは、長時間に渡って自分の足を入れていたこともある。


 そのせいで、何となく自分の足を、出会って2度目の歳の離れた年上の男性に抱き抱えられているのを見ると微妙な感覚に襲われたのだ。


 アリアリーシャの話に、呆気に取られる組立組の男3人、


「嬢ちゃん、すまんな。 そんなつもりは無かったんだが、もう少し嬢ちゃんにも配慮するよ」


「ごめんなさいですぅ」


 まぁ、そんな事もあるのかと思いながら、少し配慮をする事にする。


「じゃぁ、嬢ちゃんにも少し手伝ってもらうよ」


「次に、足と腰の補助筋肉を繋いで貰います。 腰のT字のジョイントに足の補助筋肉を接続して下さい」


「この辺りは、嬢ちゃんにやってもらうか」


 そう言ってアリアリーシャにお願いする。


 アリアリーシャが前後の補助筋肉を接続する。


 その状況を横から確認するカインクム。


 足が胴体に組み付けられた。


「これで、ほぼ歩く事は可能だと思いますけど、続けて腕を取り付けますか」


「そうしよう」


 そう言って、23と書いてある箱を開ける。


 頭部のパーツが上に入れてあったのでそのパーツを作業台に置いてから腕のパーツを取り出す。胴体部は二の腕まで取り付けてあるので、その先のパーツを取り出す。


「嬢ちゃん、腕のパーツなら恥ずかしくないか?」


「大丈夫ですぅ」


 アリアリーシャに気を使って腕のパーツを取り出すと、シュレイノリアが、声をかけてきた。


「こっちの作業は終わった」


「ありがとう。 こっちの作業はまだ終わらないので、ちょっと待っててくれ」


 カインクムは、腰同ように肘の外側に取付用のシリンダーが二の腕の肘部分に付いているので、そのシリンダーに腕のOリングを丁寧に差し込む。


「腕の内側に有る棒みたいなのも二の腕に取り付けて下さい」


 腕の内側には外側のシリンダーと回転軸が同じ位置の軸に棒が一本付いている。


 その棒を二の腕のジョイント部分に固定する。


「内側は、荷重の分散と肘に変な負担が掛からないように付けているだけなので、外と内の回転軸さえ合っていれば問題はありません。 とりあえず、マス締めは後にして、もう一方の腕も、同じ要領で取り付けて下さい」

 そう言うと、23の箱から、もう一方の腕を取り出し、同じ要領で取り付けていく。


「あとは、さっきと同じ要領で、腕の補助筋肉を二の腕のジョイント部分に取り付けます」


 カインクムは、ジューネスティーンに、言われるまま、パーツを取り付けていくのだった。


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