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パワードスーツと魔法紋

 

 ジューネスティーンの説明を聞いていたカインクムは、全てを理解はできなかった様だが、魔法紋で動かす事で、人の能力以上の力やスピードを備えているのだという事は理解できたようだ。


「魔法紋で、そんな事が出来たんか」


 そう言って、感心しながらシュレイノリアに、顔を向けるカインクムに、シュレイノリアは、勝ち誇った様な態度で答える。


「魔法は、イメージが大事。 そのイメージを文章化して魔法紋に刻んだ。 ブイ」


 シュレイノリアは、そう言って、右手でVサインを出す。


 さすがに、Vサインは無いだろと思ったのか、それを見たジューネスティーンが諫める。


「こら、その指は失礼だぞ」


 機嫌の良いカインクムは、そんなことは気にしてない様に笑顔で、諌めるジューネスティーンに気にしてないことを伝える。


「いやいや、構わんよ。 なるほど、魔法はイメージか。 なかなか、いい事を言う」


 カインクムの言葉で、Vサインについては、何事もなく終わる。


 すると、ジューネスティーンは、少し気になる事があるのか少し考える。


(魔法紋の付与にはどれだけの時間がかかるのだろうか? シュレ次第だけど、一応、聞いておくか)


 そう思うと、シュレに聞いてみる。


「それより、シュレ。 魔法紋の付与にどれぐらいの時間が掛かる?」


 ジューネスティーンに、そう聞かれると、シュレイノリアは、ニタリとすると、チョット自慢げに答える。


「内部の構造物には、付与は終わっている。 遅れていたのは第二装甲部分。 足の重力魔法は完璧。 後は、移動に使う風魔法だけ。 片足に2箇所、肩に4箇所だけ、腰の風魔法は王国に居た時付けてある。 最後に組み付ける時までに間に合わせる。 組み立てが完了していれば、今でも動かす事は可能」


 ジューネスティーンは、それを聞いて納得している様子なのだが、それを聞いていたカインクムが目を丸くしている。


「そんなに簡単に、8箇所の魔法紋を描けるのか」


 カインクムが、自分の疑問をシュレイノリアにぶつける。


 一般的な魔法紋は、羊皮紙に魔法発動用の五芒星や円の様な図形と、発動させる魔法の呪文を刻む魔法スクロールが一般的だが、1枚の魔法スクロールを描くのにはかなりの時間が必要となる。


 特に術式が複雑になれば、その術式を刻むための時間は、どんどん増えていくのだ。


 ジューネスティーンの話を着た限りでは、かなり複雑な魔法になる様に思えたカインクムは、組み立て中に魔法紋が完成するとは、とても思えなかったのだ。


 カインクムは、鍛冶屋なので、顧客の要望に応じて、武器や装備に魔法紋を刻む必要が出てくる事がある。


 そんな時は、装備に付与する付与術師に依頼するのだが、早くても1ヶ月、場合によっては、半年や1年は待って欲しいと言われる事があったのだ。


 その理由を聞いた時に、その付与術師に見せてもらった魔法紋の描く方法を見た事があるのだが、見た時の魔法紋は、下絵を描いて、その下絵にそって図を描き、周辺に魔法に関する内容を記載して行く。


 それをコツコツと、金属に刻んでいったり、羊皮紙に描いたスクロールを使って、魔法紋を刻んでいったのだ。


 魔法紋が、簡単に描けるようなものではない事を、カインクムは、知っていたのだが、シュレイノリアの話を聞く限りでは、そんな今まで、自分が見てきた様な方法で、魔法紋を刻んでいない様に思えたのだ。




 ジューネスティーンの話を聞く限りでは、かなり複雑な魔法になると考えたカインクムは、組立作業が終わった後どれだけの時間が掛かるかと思っていたのだが、組立中に間に合わせると言うシュレイノリアの話が信じられないと思った様だ。


 そんなカインクムを見たシュレイノリアは、安心させる様に答える。


「魔法紋、得意、特に、問題無い。 それに、私は仕事が早い」


(いやいや、俺が知りたいのは、魔法紋がそんな簡単に作れる物じゃないってことで、8箇所に魔法紋を刻むなら、通常は一年はかかるぞ)


 カインクムは、シュレイノリアの答えを聞いても納得がいかなかったので、表情を曇らせている。


 どんなトリックが有るのか不思議に思っているのだろうが、シュレイノリアが自信満々に言うので、それ以上詳しい話を聞いて良いのかどうかと悩んでいる様子で、不安な表情をしている。


 その表情を見ていたジューネスティーンがカインクムに話をする。


「魔法について、シュレは、自分より、かなり上ですので、問題無いと思います。 それに何度も描いていますから」


 そんなカインクムを見てジューネスティーンが、念押しの様にカインクムを安心させる様に言う。


 カインクムはリビングで見たジューネスティーンのパワードスーツの事を思い出した様だ。


「あぁ、そうか、さっきここで見せて貰ったパワードスーツも、嬢ちゃんが魔法紋を描いたのか」


 形は違えども、基本的な事が同じなら、それ程大きな変更の必要は無いのなら、何とかなるのかと、自分を納得させる様にカインクムは言う。


「えぇ、その前にも作っていますので、慣れてはいると思います」


 ジューネスティーンは、一番最初に作った初期型のフルメタルアーマーを改造したときの1台目と、ギルドの高等学校を卒業する時に作った2台目の事を言ったのだ。


 ただ、どちらも学校側が、特待生として、学費や、その他の費用を、免除する代わりに提供させられているので、今は手元に無いのだ。


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