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ジュネスの考え方とカインクム


 だが、目の前にあるフルメタルアーマーから、パワードスーツに進化させた、この装備を見ると、やはり普通とは違う、とんでもない才能を秘めた若者だと、カインクムは判断する。


 人智を超えたとは、この事なのだろうと実感しつつ、感想を述べる。


「まぁ、それよりもトラブルに立ち向かう姿勢、最後まで諦めない。 それを続けた結果がこれなのだな。殆どの人は、途中で諦めるんだがな。にいちゃんの知恵と諦めない姿勢のおかげか」


 感心しつつボヤくようにカインクムは口に出した。


 ジューネスティーンは、カインクムのボヤくような言葉に反応するべきなのか少し迷ったような顔をする。


(エルメアーナの話を出した方が良いか。 ベアリングの話もあるからな)


 そう思うと、ベアリングの話をすることにした。


「それにはお嬢さんが王都に居てくれた事も大きいです。 大きな流れは自分で行えましたが、ベアリングの精度を出すのは、自分よりお嬢さんのお陰だと思っています。 自分が作ったベアリングでは、大きさも精度も、満足出来る物ではなかったのですが、それを持ち込んで相談したら、精度や大きさについてを引き受けてくれました」


 それを聞いて、腕と胸の接続部分をカインクムは見る。


「そうか、このパーツはあいつが完成させたのか。 なら、今度作り方を教えてもらうか。 これは金になる」


「そんなもんですか」


「あぁ、これを使えば、車軸の受けとかに使えるから、馬車は大分楽になる」


「そうですね、 お嬢さんの技術が無かったらここまで仕上がらなかったので、私が説明するよりお嬢さんとお話しされた方が早いと思います」


 少し顔を潤ませているカインクムに、ジューネスティーンは、もう少し鑑賞に浸らせておけば良いのに、次の組立作業について説明を始める。


「それじゃあ、組立について説明しましょう。 それと、ここには全部で2体ですが、この2体以外に残り3体も組立作業が残ってます。 帝国にくる話が無ければ王国で全部仕上げる予定だったのですが、日程的に無理が有ったので外装部分は後回しにして外装骨格とか基本部分を先に進めました。 胴体部分だけを先に持ってこようかとも思ったのですが、量産品ではないので外装パーツの取付具合なんかを微調整してもらうので、胴体部分も全て置いてきて、それに合わせて作るようにしてもらいました。なのでご面倒でも組立作業はご主人にも出来るようになってていただきたいんです。 自分が万一の際はご主人にメンテナンスとかをお願いする事になると思いますので、メンバーの保険の為にもお願いします」


 それを聞いて嫌な顔をするカインクムの顔色が変わる。


「組立については分かったが、あんちゃんの万一ってのがいただけないな」


 カインクムは、少し食ってかかるように言う。


「万一っていうのは、言葉の綾です。 自分自身、簡単に死んだり大怪我するつもりは有りませんが、絶対とは言い切れませんから、その時の為に何らかの形でメンバーが困らないようにしておくだけです。 一人が居なくなっただけで機能しない組織なんて事になったら、その組織は終わりです。 組織内に人のスペアを、ダメなら外注する方法を持つ事が組織の強化になると思います。 それに戦闘しながら修理やらメンテナンスって意外に重労働なのですよ。 戦闘で疲れてゆっくりしたいと思っても、次の事を考えたら眠くてもメンテナンスや修理をしなければならない。 そういった状態での作業は効率も悪いですし、トラブルの元なんですよ。 できれば専属の修理メンテナンス要員を持ちたいと思ってます」


 それを聞いてカインクムは安心する。


「分かった。 そういう事ならあんちゃん以上の仕事ができるようになってやる。 じゃあ、組立作業の話を始めてくれ」


 そう言って、足と胴の取付方法、外の装甲の取付方法について説明を始める。


 一通りの話をすると、カインクムは少し考える。


 考えが纏まるとジューネスティーンに話し出した。


「話は大体分かった。 ただ、組み立ての時に、このゴーレムを立たせておいた方が楽かもしれない。 フルプレートアーマーの固定台をチョット改造して、組み立てられるようにするから、本格的な組立には2日、いや、1日待ってほしい。 兎の嬢ちゃんとヒョウの坊主じゃあ、身長差が大きいんで、2つ準備するから、そしたら、組立を始める」


 それを聞いてジューネスティーンも安心する。


 このカインクムもただ作るのではなく、作業の効率やミスの出にくい方法とかを考えているのだと、今の発言で理解した。


「分かりました。 明後日に、顔を出します。 それと、パーツに魔法紋を刻みますから、シュレイノリアも一緒に入る事になります」


 場所によっては、女人禁制とか言う職人も居るので、その辺りはどうなのかと思って質問する。


「おお、分かった」


 そう言って、約束をしてから、出したパーツを元に戻す。


 この工房には女人禁制のような習慣は無かったのでジューネスティーンは安心する。


 一通り出したパーツを、元の木箱に戻すと、カインクムが、ドアの方を指差す。


「じゃぁ、あんちゃん達、戻ってお茶でも飲もう」


 4人は、工房を出てリビングに戻るのだった。


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