帝国の鍛冶屋 7
ジューネスティーンが、パワードスーツの足を、一本づつ箱から取り出して、胴体の前に置いた。
すると、カインクムに説明を始めた。
「腰の所にU字のパーツが腰の中心近くから二つ取り付いています。 それは、左右の足を支えるためと、足を左右に開けるようにするパーツです。 その、U字のアールの部分いに、取り付けてあるパーツに、円柱の突起が有りますので、そこに足のこの部分を入れるんです。 それと、U字のRになっている所をそのジョイント用の突起が動くようになってます。 膝を左右に回しても、足が跳ねあげられるようにするには、その部分で太もも部分を回してやらないと動きがスムーズにならなかったんです」
U字のパーツは装着した際、左右の足をその中に入れるようになっているので、前は恥骨の上あたりに繋がって、後ろは尾骨のあたりで、左右のU字の上が、一つの円柱に差し込まれていた。
そこを中心にU字のパーツは、恥骨の両脇に止まっており、そこを中心に上下に動くようになっている。
また、U字の下は腰骨より少し下の辺りにくるようになっているので、そのU字パーツのお陰で足を左右に開く事が出来るようになっているのだ。
足を開く機能がある事で、踏ん張ることが可能となるのだ。
腰は足につながっているのだが、その足の動きは、単純ではない。
足は、ただ歩くだけについている訳ではなく、体の全体重を支えており、さらには、倒れないようにバランスをとる事になる。
複雑な動きをする部分であり、そして、非常に難しい動きをする器官である。
また、U字の下の部分は、足に繋がるように円柱のパーツが出ており、足のリングに差し込む事で胴体と足を接続するようになる。
足は両足とも外部装甲以外、殆ど完成状態になっていた。
「ジュネスよ、足の動きには、爪先を開いたり閉じたり出来ないと、具合が悪いけどそれはどうなってる」
「それは、スネの部分と太ももの部分で対応してます。 スネの装甲が、楕円では無く円になっているので、スネの途中で外に開いたり内に閉じたり出来るように廻ります。 まあ、人のつま先の方向は、180度も向きませんけど、そこは360度回転できます、そこはかなり自由度があります。 不要ならどこかでストッパーを付けようかと思ってます」
カインクムが足の上のジョイント部分を回すとジョイント部分が左右に90度以上回る事を確認して、膝関節を確認している。
「関節部分は、内側が空いてしまうが、膝の裏にスライドする板を使っているのか。 それと、さっき見せてもらったゴーレムみたいなのもそうだったけど、専用の膝用ガードのパーツを別に作って、取り付けているのか。 膝を曲げると、おお、この膝近くに、スネと太ももの両方から出ているシリンダーが膝のパーツの溝に沿って動くから、膝を曲げてもちゃんと角度が付いてくれるようになっているのか、それと、この蛇腹みたいな金属がスライドして、中の膝をガードしているのか。 膝も上手くガード出来ているのに曲げ伸ばしもちゃんとできるように工夫している。 でも、正座は無理そうだな」
最後に意地悪な事を言うカインクムだが、ジューネスティーンは、その事も考えていたのか表情によゆを見せている。
「戦闘中に、正座をする事は無いでしょう。 それと、これは、重力魔法で重力に逆らって浮かせるようにしてます。 スネの外側とふくらはぎの第二装甲に風魔法が仕込んであるので、それと、腰と肩の風魔法を使って、浮いた状態で移動しますから、走るや歩くといった動作はそれ程多くはないんです。 転ばないように、バランスを取れればそれで良いわけです」
浮かせて動くと聞いて、カインクムは、考える。
(通常、フルメタルアーマーは、足を動かして歩くが、ジュネスは、浮かせて風で移動するって言った。 人の移動手段についても考え方が変わってしまったのか)
カインクムは、何かを考えつつパワードスーツのパーツを見ていた。
「なる程、戦い方も通常の戦い方と違ってくるのか」
感心するカインクムに、ジューネスティーンはさらに説明を続ける。
「それと、足首は、踝の周りにOリングがあるんですけど、装甲の下から覗けると思いますが、そのOリングが膝を前後左右に動けるようにしてるんですよ。 Oリングの足の甲の上とアキレス腱のあたりが足と繋がって、左右がスネのパーツの方に繋がっているのが分かりますか」
足の下の方から覗き込むカインクムは覗き込むのだった。




