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アリアリーシャの思惑


 アリアリーシャのお茶が少なくなったので、フィルランカは、ポットのお茶を濯ぐ。


 ただ、フィルランカは、その時、アリアリーシャが、僅かに不満そうな表情をしていることに気がついた。


「あのー。 ハーブティーは、お気に召しませんか? だったら、違う物をお持ちしましょうか?」


 フィルランカは、心配になって、アリアリーシャに尋ねた。


 それを聞いて、アリアリーシャは、自分の考えが表情に出ていた事に気がつく。


「いえ、お茶は、とても良いお茶ですぅ。 茶葉も高級な物ですし、それに、このお茶の淹れ方は、茶葉の良さを引き立たせてくれますぅ。 お茶はね」


「そうでしたか。 良かったですわ。 それに、うちではお茶の良し悪しで褒められた事が無かったので、嬉しいです」


 フィルランカは、お茶が気に入らなのでないと聞いて、ほっとする。


 そんな、お茶の話を気にする事なく、アンジュリーンは、男子3人がカインクムと一緒に、工房にいってしまったことを口にする。


「向こうじゃ、男どもが大騒ぎしているんじゃない、旦那さんも商売柄なのか、かなり興味あったようだし、長くなりそうだよね」


「同感」


 そんな話をするなと、思いつつ、イラついた表情のアリアリーシャがいる。


 何にイラついているのかは分からなりが、時々、アンジュリーンに視線を飛ばしているので、アリアリーシャには、アンジュリーンの話が、少し気に入らない様である。


「そういえば、エルメアーナさんは、ここの人って言ってたけど。 何か、本当に親子って感じだよね。 ジューネスティーンのパワードスーツを、初めて見た時のカインクムさんと、本当に感じと似てた」


「行動パターンが同じ」


 アンジュリーンの話に、シュレイノリアも同意するのだが、アリアリーシャは、イライラしているようだ。


(エルメアーナの話は、要らないでしょ。 そんなのは、置いておけ! 私は2人の馴れ初めが知りたいのだ!)


 アリアリーシャは、渋い顔をしつつ話を聞いている。


「そういえば、試作機をエルメアーナさんの工房で初めて見せた時、あの時はどういう訳かエルメアーナさん膝上のスカートを履いていて、あんな感じで登ったり降りたりして、スカートが捲れ上がって、パンツ丸出しになって、ジューネスティーンの目をシュレが隠してたっけね」


 アンジュリーンが、昔の事を思い出し笑いをするようにして、シュレイノリアに話しかけた。


「あれは、エルメアーナが悪い。 いつもの作業着姿だったら問題無かった」


 その話を聞いてフィルランカが、エルメアーナの、やらかしたことが目に浮かぶようだと思えたのか、引き攣った笑顔になる。


「あの娘らしいですね」


 3人が和んでいるのを見て、アリアリーシャは、反対側を向いてしまう。


「ちっ!」


 舌打ちするアリアリーシャだが、直ぐに顔色を元に戻そうと努力するが、どうも自分の欲しい話とは異なっているので、面白くない事もあり、なかなか、表情を戻せないようだ。


(目的の方向に話が進まない!)


 その後は、なんともいえない顔でお茶をすすっている。


 その2人の会話にフィルランカが合いの手を入れてきた。


「親子って、そう言ったところが似るんですね」


 自分の言葉に、ニッコリ笑うフィルランカが、思い出したように昔の話を始める。


「2人は、工房に居る時は、いつもあんな感じでしたよ」


 その話にひらめいたように、アリアリーシャが、口を開いた。


「そう言えばぁ、エルメアーナさんはぁ、こちらに居た頃はぁ、どうだったんですかぁ」


 それにアンジュリーンは、アリアリーシャが失礼な事を聞いていると感じたのだろう、少し諌めるようにアリアリーシャに言ってきた。


「姉さん、この方は後妻なんだから、そんなに知るわけないでしょ」


(そうだった、この人は後妻だったんだぁ!)


 アンジュリーンのツッコミに、アリアリーシャは、その通りだと納得して、失敗したような表情をする。


 ただ、アリアリーシャにも余裕が無かったのか、アンジュリーンに、 “姉さん” と、言われても、その事を気にする余裕が無かったようだ。


(フィルランカさんの予想年齢から結婚した時期はぁ、……。 エルメアーナとフィルランカが一緒にいた時間は殆どないな)


 少しガッカリするアリアリーシャなのだが、また、すぐに酸っぱい物でも食べたような顔をしてから、いつもの表情に変わる。


(また、何か御主人と、どうして結婚したのか、聞き出す方法を考えよう)


 その時、フィルランカが答えてくれるだが、それは思いもよらない方向に進む事となる。


「いえ、エルメアーナは小さい頃からよく知ってますよ。 物心ついた時位から、ずーっと一緒に遊んでましたから」


 ギョッとする3人のだが、フィルランカは、当たり前のように、すました顔でお茶をすするので、3人は、フィルランカの顔を見つめる。


(((小さい時って、何歳の時にフィルランカは、後妻に入ったの?))) 


 その疑問が、女子3人の頭に浮かぶ。


「「「えっ!」」」


(なんで)


 話が見えてこない3人が、フィルランカの顔を、見つめるだけしかできなかった。


 女子3人の驚いた顔を、全く気にせず、フィルランカは、おっとりした感じでカップを手の上で回しながら答える。


「私が小さい頃には、エルメアーナのお母さんは亡くなってましたので、エルメアーナとはその頃からよく遊んでました。 幼なじみだったんです。 私達」


(あのオヤジ、幼女を後妻にしたのか。 鬼畜だ!)


(エルメアーナが小さい時って、あんただって、小さかっただろ)


 3人が同じような事を思い、まずい事を聞いたような顔をする。


「「「……」」」


 アンジュリーン、アリアリーシャ、シュレイノリアの3人は、触れてはいけない部分に、足を踏み入れてしまった様子で、困ったような顔をし。


 そして、フィルランカを見つめていた。


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