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アリーシャの思惑と周りの思惑


 男子達がリビングを抜けて工房に向かってしまったのを見て、唖然としているアンジュリーンだが、それとはちょっと思惑が異なるアリアリーシャは、不敵な笑みを浮かべる。


 アンジュリーンは、まぁ、これも仕方がない事と思いつつ見送った。


「男どもは、いつもこれだ」


 両手を広げて、呆れたというポーズをとるアンジュリーン、収納が終わって席に座ろうとしているシュレイノリアだが、1人だけニタァとして、これはチャンスだとフィルランカを見るアリアリーシャが居た。


 直ぐに表情を元に戻し、何もなかったかのようにすました声で、アリアリーシャが、フィルランカに声をかける。


「このお茶、美味しいですねぇ。 とても気に入りましたぁ」


 直ぐに聞きたいことを言わずに、お茶の事から話に入るアリアリーシャに嬉しそうに答える。


「ありがとうございます。 これ私の手作りなんです。気に入って頂けて、嬉しいです」


 つられて、お茶の話でも言えば良い物を、アンジュリーンとシュレイノリアが、男性陣のグチを言いだす。


「男どもは、なんか、物を作ると聞くと、すぐ、そっちに行っちゃうよね」


「いつも、あんなもん」


 それを笑顔で、フィルランカが、どこも一緒なのだといった感じで、その話に入ってきた。


「男の人って、新しい物を見ると、いつもあんな感じですよね。 それに、集中すると、こっちの話なんか全く聞いてないんですよ。 何が食べたいか聞いても、“うん”位しか答えてくれないんです。 そういえば、エルメアーナも一緒で、二人で工房に入ったら、何も食べないで、何かしてたわね」


 女子2人が、変な方向に話を進めてくれた。


(まあ、結果オーライ! 上手く旦那の方に話が進んでいるわ)


 アリアリーシャは、そう思うと、心の中で上手くいった事に喜んでいた。


「そうなんですかぁ。 大変ですねぇ」


 相づちを入れるアリアリーシャだった。


(この調子で、旦那との馴れ初めまで、うまく話を運ぶんだ)


 顔には出てないが、何かおかしな雰囲気をアリアリーシャに感じる。


 だが、そんなアリアリーシャの思惑など、全く気が付かないフィルランカは、話を続けていた。


「そういえば、あのゴーレムみたいなのは、2体と言ってましたが、先程の男の子、二人のものなのですか?」


 アンジュリーンは、少し不貞腐れたような顔をしている。


 先程、飛び出して行った、カインクムと男子メンバー達に呆れているようだ。


「あれは、最初に飛び出して行ったレオンと、そこに居るアリーシャ姉さん用です」


 アンジュリーンが、アリアリーシャのパワードスーツだと、説明すると、アリアリーシャの顔が、一瞬、青くなったように思えた。


(えっ! 私! ひょっとして、この場所から工房に行く必要が有るの? いや、なんとしても、2人の馴れ初めを聞かなくては。 その為には、ここで、フィルランカさんから、話を聞かなくては。 だから、私はここを動かないんだぁ!)


 一瞬、アリアリーシャの、顔色が変わったのを見たのか、フィルランカが、アリアリーシャに尋ねてきた。


「あらぁ、アリアリーシャさんは、行かなくてもよろしかったのですか?」


 案の定、フィルランカが、工房への追い出すような発言に、困ったような顔をアリアリーシャはする。


(うっ、うわー、どうしよう、どうしよう。 私、工房に行かなきゃいけないの? いやいや、私には、使命がある。 ここは、何とか切り抜けて、目的を果たすのだという使命がぁ!)


 困ったような顔をするアリアリーシャなのだが、引き攣った笑顔をフィルランカに向けると答えた。


「今日は、組み立てまでは進みませんからぁ、私は、こちらで、この美味しい、お茶を、味わせてもらいますぅ」


(よーし、私、エライぃ〜い! なんとか、切り抜けたぁ! それよりも、カインクムさんとフィルランカさんが、どうして夫婦になったのかの方が、気になるんですぅ〜っ。 こんな話は、男どもが居ない今こそチャンスなんですぅ〜っ! でも、私から言い出すなんてぇ、ハシタナイでうしぃ、アンジュが聞いてくれないかなぁ!)


 アリアリーシャには、何か言いたそうにしているように思えるのだが、側からはそれが何なのかはわからない。


 どうも、様子が変に見えるアリアリーシャだ。


「私達のは、もう少し後になるから、今回は余り気にならないわね。 ねぇ、シュレ」


「同感。 でも、魔法職である私には過剰装備のようなきがする」


(シュレは、性格的に2人の馴れ初めのような話を切り出すか?  いや、言い出すはずない)


 アリアリーシャは、時々、アンジュリーンに視線を送っている。


 何か思惑あり気なのだが、アンジュリーンの話を聞くと、少しガッカリしたような顔をしている。


(何か、自分の考えている事と違う)


 そんな雰囲気をアリアリーシャの表情に出ている様である。


「良いなぁ、アリーシャ姉さんは、前衛だから優先的に作ってもらえて、私ら二人は後回し」


「仕方が無い。 前衛は魔物に接近することが多い。 だから、危険が多い方が優先」


 アリアリーシャの顔が、ぴくりと動く。


(そんな話じゃなくて、女子トークをしよう。 女子トークを!)


 イラついたような態度で、お茶をすすった。


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