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ルイネレーヌとの会食 〜亜人専門の奴隷商人〜


 ルイネレーヌのメンバーの亜人の事を考えると、ジューネスティーンのパーティー同ように、亜人専門の奴隷商人のターゲットになっているのは、一緒だと、ジューネスティーンのメンバー達は思ったようだ。


 そんなジューネスティーン達のメンバーの思惑を知ってか知らず分からないが、ルイネレーヌが自分のメンバー達の状況を話す。


(パーティーランクの違いかもしれないな)


 ジューネスティーンは、ルイネレーヌのパーティーランクと自分達を比べて考えていた。


 そんなジューネスティーンではなく、他のメンバー、特に、エルフと亜人に大して注意を促すようにルイネレーヌは話す。


「うちのは、大柄なんでな、奴隷商人達は、二の足を踏んでいるみたいだ」


 ルイネレーヌは、身長2メートル10センチもある、エラント系亜人であるマルギーブの事を言って、体の大きさを強調しようとしたのだが、それがうまく通じてなかったようだ。


 同じように亜人のいるパーティーで、違いがあるのかと、アンジュリーンが、思わず口に出てしまった。


「なんでそうなるのよ」


 ルイネレーヌは、アンジュリーンのそのぼやきを聞いて、ニヤリと笑う。


「お前、うちのマルギーブと素手で戦ってみる気はあるか?」


 そう言って、ルイネレーヌは、自分のメンバーの中で一際大柄のエランド系亜人を指さす。


 指されたマルギーブは、何事かと焦った顔をするので、ルイネレーヌは面白そうに笑顔を返す。




 アンジュリーンは、隣の席に座っているマルギーブを見る。


 座っていても大柄だと分かるし、その割に線は細そうだが、それなりに鍛えてはいると思える。


 冒険者としては細いように思えるが、体を絞るだけ絞って、余計な脂肪は無いマラソンランナーを思わせる体つきをしている。




 アンジュリーンは、44歳ではあるが、エルフであることから、見た目は16歳程度である。


 自分自身も冒険者として南の王国でギルドの高等学校を卒業したが、人や亜人の同級生との格闘戦には苦労した事を覚えている。




 高等学校と言っても、冒険者を養成する為の教育機関なので、同世代の人だけとは限らない。


 貴族の子弟ならともかく、冒険者を行いながら学費を稼いでから入学するものも多々いるので、アリアリーシャのように成人後に入った人も多々居たのだ。


 そのため成長期のアンジュリーンでは力で敵わないことが多々あったのだ。




 そんな自分が、冒険者として実績もあるルイネレーヌのパーティーの中で1番の大柄のマルギーブと戦っても勝ち目は無いのは目に見えている。


 技でねじ伏せると言っても、それは、技を持たない力の有る人と戦った時で、技の技量の差が大きい時だけの話で、技を使える冒険者なら力が物を言う。




 ルイネレーヌのパーティーメンバーなら、1人での単独行動は限られるだろう。


 上位ランカーの冒険者を捕らえようと考えるなら、かなりの人数で捕らえる必要が有るだろうし、捉える際に犠牲になる者も出ることも考慮に入れる必要がある。


 そうなると、ルイネレーヌのメンバーの亜人を捕らえるにはそれなりのリスクを必要とする事になる。


 それなら、新人冒険者の亜人を狙うのは必然といえよう。




 ルイネレーヌに言われて、奴隷商人達の事を、考えているアンジュリーンをみると、真剣に問題の重要性を考えているように見える。


 そんなアンジュリーンに、ルイネレーヌは、言葉をかける。


「お前は、器量もいいから、奴隷商人達は一番に目をつけているはずだ。エルフの奴隷と遊びたい貴族なんていくらでもいるからな。高値で売り捌けると思われているに違いない」


 ただ、今回は、今までのように揶揄うような言葉の雰囲気はなく、真剣にアンジュリーンの事を思って言っているように聞こえた。


 ルイネレーヌに言われて、アンジュリーンはムッとするが、言われたことは正しいと思うので、反論はせずに堪えている。


 それは、ルイネレーヌの言葉の雰囲気によるのかもしれない。


「まあ、脅かすわけではないが、行動には十分に注意をしておくことだ」


 ルイネレーヌが言ったことは正しいので、納得しようと考えるが、相手が相手だけに、この女の言う通りにするのは、癪だと思うアンジュリーンだったが、言葉の雰囲気から、反論する事は無かった。


 食事が終わる頃、ルイネレーヌは、ジューネスティーンに話しかける。


「なあ、明日はどうする予定なんだ?」


 ジューネスティーンは、少し考える素振りを見せるか、直ぐに答える。


「明日は、鍛冶屋に行く予定です」


 ルイネレーヌは、昨日、帝国に来たばかりで鍛冶屋とはと思う。


 冒険者は、自分の気に入った鍛冶屋を贔屓にするので、余程の事がない限りは、同じ鍛冶屋を使うのだが、ジューネスティーンは、鍛冶屋を探すではなく鍛冶屋に行くと言った。


 だがルイネレーヌも、それがなんでなのか直ぐに理解できた。


「それは、ジュエルイアンの紹介か?」


「ええ、荷物を送ってもらう鍛冶屋なので、必ず、顔を出すようにと言われてます」


「それは、お前の装備のアレの事か?」


「ええ、自分のは、南の王国を出る時に完成させましたが、残りの5台はパーツの製作が間に合わなかったので、パーツの作成を、エルメアーナに頼んでおきました。完成したら帝国の鍛冶屋にジュエルイアンさんが送ってくれるように手配してくれるようになってます。帝国内で組み立てて完成させる予定になってますので、明日、教えてもらった鍛冶屋に行く予定です」


「なるほど、ちゃんと準備はされているのか」


 そう言って、ルイネレーヌは、安心した様子をした。


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