帝国での買い物 5
ジューネスティーンの横に居て、話を聞いていたシュレイノリアが、ボソリとジューネスティーンに言う。
「あの2人、何か買う事になる」
それを聞いたジューネスティーンが、仕方がないと思う。
「ジュエルイアンさんの知り合いだからな。 商売根性は、筋金入りだろうからな。 それに、せっかく来たんだから、店の商品を見せてもらおうよ。 ひょっとすると、掘り出し物が、あるかもしれないから」
後ろに居て、ジューネスティーンとシュレイノリアの話を聞いていた男子2人も話に乗り出した。
「「じゃあ、俺たちも見てきて良い」」
「ああ、お前たちも見てきて良いよ」
4人が、店の商品に興味を示すと、それに釣られたのか、シュレイノリアも、ジューネスティーンに話しかけてきた。
「私も、魔法関係の道具で良いのが有れば見てみたい」
「じゃあ、色々と見てみよう」
結局、全員が、フィンシェルの店の商品を見始める事となる。
結果、アンジュリーンとアリアリーシャは、長い髪を止めるためのリボンやら留め金やらと、何品か購入した。
男2人も、何か商品を、押し付けられている様に見える。
不要な物も有りそうに思えたが、顔を繋ぐためかと思って、ジューネスティーンは、そのまま何も言わずに購入するのを見るだけにする。
思わず時間を潰してしまったが、それも監視役への嫌がらせになるだろうと思い、ショッピングを楽しむことにした。
思わぬ買い物をしてからフィンシェルの店を出ると、早速、教えてもらった洋品店に行く。
やはり、女子2人は帝国の洋服に目を輝かせて、キャッキャと騒がしく洋服を選んでいた。
シュレイノリアだけ、時々、上を向いて何か呟いている。
そんな中、男性3人は、大して考えもせずに、適当に選んで直ぐに決まった。
そのまま、新しい服を着て女子達を待つことにする。
見ていると、女子3人がどれにしようか悩みながら決めている。
シュレイノリアは、早く決まるかと思ったがそうでも無い。
いつもの様に、気にしないで適当に決めてしまうかと思ったのだが、意外に気になっている様だ。
しばらく時間がかかりそうだが、見張りへの嫌がらせにもなるので待つ事にした。
店の奥から、洋服を確認しつつ、見張りの様子を見てみると、かなりイラついているのが伺える。
こちらも、女子達の買い物には付き合いたくは無いが、見張りへの嫌がらせとしては、丁度、良いかと、ジューネスティーンは、思った様子で、そのまま女子達の買い物に、口を挟まず時間をかけさせる事にした様だ。
アンジュリーンとアリアリーシャは、4着ほど気に入った服を購入することにした様だ。
シュレイノリアも、1着決めたと思ったら、アンジュリーンに、色々言われている様子で、時々、ジューネスティーンの方をチラチラと見ている。
なんだろうかと思っていると、シュレイノリアも新たに服を見始める。
それにアンジュリーンとアリアリーシャも一緒になって、新しく手に取った服をシュレイノリアの、前に当てては別のものに変えて、眺めては鏡の前に立たせたりしながら、何か言い合っている。
アンジュリーンとアリアリーシャは、シュレイノリアに着せる服の様子を見て、楽しそうにしている。
そんな様子で、時間を潰していたが、何とか、決まって、支払いを済ませてから、店の試着室を借りて、それぞれ、購入した帝国風の服に着替えて、次の店に向かうのだが、その前に、今まで着ていた服は、店から布製の大きな手提げ袋を貰ってその中に詰め込むと、残りの服と一緒に、シュレイノリアの収納魔法の中に入れる。
店のリーシェルリアにお願いして、見られない様に更衣室で行うが、大きな荷物を持って、更衣室に入るが、出てきたシュレイノリアは、が手ぶらで出てくるので、リーシェルリアは、不思議そうに見ていたが、気にせずにいた。
リーシェルリアも、店の服が無くなるのではなく、自分たちの服を入れた袋と、購入してくれた服が、消えただけなので不思議そうな顔をするだけで、それ以上の追求はしない。
自分たちの服を袋に入れるのを、目の前で見ていたので、他に、売っている服を入れてないこともわかっている。
帝国の見張り役は、相当ストレスが溜まった様子が伺えるのを、ジューネスティーンは、ほくそ笑みながら街路を歩く。
アクセサリーについては、魔法補助や能力向上が期待出来るものが多く、性能面でも王国で販売されている物より良いものを見つけた。
ダミーで入った店では、適当に商品を購入することにした。
購入した剣は、金糸雀亭に戻ってから、魔法紋の付与を行なって強化するので、魔法特性の無い物を購入したので安上がりだった。
金糸雀亭に戻ると、受付でルイセルが鍵を渡してくれた。
「おかえりなさいませ。 買い物はいかがでしたか?」
洋服は、朝と違う服を着ているが、着ていた服を持ってないことに気がつくが、ルイセルは、そんな事を指摘はしない。
何か言いたく無い事を聞いてしまう、余計なことを聞いて、顧客を不快にさせないための配慮をしている。
「ええ、色々と買い物ができました。 教えてもらったフィンシェルさんのお店で、アクセサリーも買えましたし、良いブティックを紹介してもらえたので、助かりました」
「そうですか。 それは良かったですね」
そう言って笑顔を向けると、ルイセルは、思い出した様にジューネスティーンに伝える。
「そうそう、先程、ルイネレーヌ様のお連れの方から、今晩、一緒にお食事をしませんかと、お伝えするように言付かっておりました」
「ありがとうございます。 伺う様にいたします」
せっかくなので、ルイネレーヌと一緒に食事をする事にするが、シュレイノリア、アンジュリーン、アリアリーシャは、嫌な顔をする。
ルイネレーヌの性癖を女子達は、よく思ってないが、情報は確かなので、仕方無く一緒になるのだが、本音とすれば、自分達のメンバーの男3人を誘惑する様にかまうので、それが面白くないのだが、自分達が居ないと、歯止めが着なくなる可能性があるので、仕方が無く一緒について行っている。
しかし、カミュルイアンとレィオーンパードは、恥ずかしそうにしている。
彼ら2人としては、年上の女性の、ちょっとエッチな話を聞けるのが楽しみではあるが、それを表に出すと、メンバーの女子3人に何を言われる事を考えると、あまり表情に出したくないのだ。
ただ、カミュルイアンは、レィオーンパードとは少し違う。
昨晩の食堂での会話を、ルイネレーヌ達が聞いていたのを知っているので、食事をした後の話で、からかわれるのではないかと思思ったのだろう、頬を赤くしていた。




