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帝国での買い物 3


 痺れを切らしたのは、シュレイノリアで、2人の寝室で、カミュルイアンの話を聞いている2人にイラついていたようだ。


 30分程すると、3人のいる部屋に行き、話を切り上げさせた。


 カミュルイアンは、シュレイノリアに引っ張られてリビングに来るが、女子2人が中々戻ってこない。


 しばらくして、リビングに戻ってきた、アンジュリーンとアリアリーシャの2人が、モジモジしながら寝室の前に出てくる。


「あのー、ちょっと、着替えをするので少し待ってくれるかなぁ」


 アンジュリーンが、顔を赤くして言う。


 すると、レィオーンパードが不満を漏らす。


「えーっ、お腹空いたよ。 早く朝食に行こうよ」


 アンジュリーンとアリアリーシャは、申し訳なさそうに、赤い顔をして俯いているので、仕方ないなと思う。


「構わないから、早く終わらせて」


 ジューネスティーンが、そう答えると2人は、そそくさと自分たちの寝室に入ってドアを閉める。


 着替えるとなったら、シュレイノリアの収納魔法から服を出さなくて良いのかと思ったのだが、2人がシュレイノリアに何も言わなかったのでそのままにするのだが、リビングには重い空気が漂っている。


 リビングには、先ほどの3人にカミュルイアンが加わって4人になったが、男3人は、無言で女子2人の着替えを待つ。


 そんな中、ジューネスティーンは、シュレイノリアに、何か話題を出してくれないかと思ったのだが、シュレイノリアは、石板を取り出して何かを書いているだけで、話題を振るようなことはなく、重苦しい時間だけが過ぎていく。


 意外な事に、それ程時間もかからずに、寝室のドアが開いて、アンジュリーンとアリアリーシャが、顔を赤くして部屋から出てくるのだが、何を着替えたのか、着ている衣装はそのままだった。


 ジューネスティーンは、何で同じ衣装なのか気になり、聞かなくてもいいのに、思わず2人に尋ねてしまった。


「なあ、2人は何を着替えたんだ?」


 そう言われて、2人は顔を更に真っ赤にすると、下を向いてしっまたので、不思議そうに見ている。


 ただ、その雰囲気に耐えかねたアンジュリーンが、突然、顔を上げると、ジューネスティーンの顔を睨むように見る。


 すると、ジューネスティーンに、ズカズカと近寄って行く。


 そのアンジュリーンの表情は、顔を赤くして、僅かに涙目になっている。


 ジューネスティーンは、そのアンジュリーンの表情が、何でなのか、理由が分からずに、ボーッとアンジュリーンを見ている。


 ただ、ズカズカとジューネスティーンに近づいてきたアンジュリーンは、右手を大きく振り上げると、その手を、ジューネスティーンの左頬に、本気で叩いた。


 その音が、リビング中に響くと、待っていた4人は、鳩が豆鉄砲を食ったようになり、2人の様子をただ見るだけで固まってしまった。


「えっ!」


 ジューネスティーンは、何でビンタをされたのかわからないのだが、アンジュリーンを見ると、涙目で睨んでいた。


 その顔を見て、ジューネスティーンは、思わす謝ってしまう。


「ごめん」


 思わず口にしたが、何で謝らなければならないか、全く理解ができない。


 アンジュリーンは、赤い顔のままそっぽをむき、この中で、1人だけ、アンジュリーンの気持ちのわかるアリアリーシャが、アンジュリーンを弁護する。


 アリアリーシャが半ベソ状態で、ジューネスティーンに訴える。


「ジュネス、ひどいです」


 ボソリと、一言言う。


 アリアリーシャの一言で、アンジュリーンが、何とか話ができるようになったのか、ジューネスティーンに答える。


「私たちから言えない事なの。 だから、これ以上聞かないで!」


「……。 はい」


 ジューネスティーンは、何の事か理解できないが、これ以上の話は出来ないと思い、それ以上の詮索はやめた。


 少し間を置いたが、全員で、1階に降りて、カウンターに行くと、ルイセルが迎えてくれた。


「おはようございます。 皆さん、朝食になさいますか? それともお出かけですか?」


 そう言って、ジューネスティーンの顔をよく見ると、左頬が赤くなっているように見えるのだが、ルイセルは、その頬を見ただけで、何も言わない。


 顧客の余計な詮索は行わない。


 そんなルイセルの思惑に気づく事なく、ジューネスティーンは答える。


「今日は、朝食の後に、買い物に出かけてきます。 それで、フィンシェルの店に行きたいのですが、場所を教えていただけますか?」


 そう言って、ジューネスティーンは部屋の鍵を渡すと、ルイセルは笑顔で答えてくれた。


「ああ、ジュエルイアンさんの紹介ですね。 それでしたらここを出て、その通りを右に行くと直ぐにわかります」


 フィンシェルの店と言って、ジェルイアンの名前が出てくると、ジューネスティーンは思わなかったので、驚いて聞き返す。


「何で、ジュエルイアンさんの名前が出てくるんですか?」


 ルイセルも思わずジュエルイアンの名前を出してしまったので、軽率だったと思ったようだ。


 ただ、ジューネスティーン達が、ジュエルイアンの客人なので、直ぐに、顔繋ぎの為に行くのだろうと思って、名前を出してしまったのだ。


 ルイセルは、ジューネスティーンの立場を考えたら、フィンシェルの立ち位置について、説明しておく必要があると思ったようだ。


「この新市街の半分を手掛けたのは、ジュエルイアンさんの商会が行ってくれたので、街の人達も、以前からジュエルイアンさんの、知り合いばかりなんですよ。 特にフィンシェルさんは帝国で商売をしている私達のまとめ役のような人なので、直ぐに分かりました。 それで思わず名前が出てしまいまったんです」


「そうだったのですね」


「この辺りなら、ジュエルイアンさんの名前を出せば、良くしてくれると思います」


「そうですか、ありがとうございます。朝食の後、早速、行ってみます」


 お礼を言って、部屋の鍵をルイセルに渡すと食堂に向かう。


 軽めの朝食を食べる。


 食べ終わると、一息してから、金糸雀亭を出て言われた通りに進む。


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